人は何を求めて釣りをするのか?
いきなり大袈裟な”テーマ”を掲げてしまったが、そんなコトは余計なお世話というものだろう
純粋に「魚が好き」という人もいれば、河川環境や生物学的な興味から”捕獲”している人もいるかもしれない
あるいは「釣ったサカナを自慢したい」という典型的(?)な”釣り師”もいれば、「水遊び!」というお気楽な人もいるだろう
ただ、興味や動機は人それぞれであるかもしれないけど、本質的な部分…なんというか、脳ミソのどっかに訴えかける部分は同じだと思う
それは”楽しいから”釣りをしている、ということだ
趣味全般に言えることかもしれないが、それが”楽しい”から何百キロも彼方へ山ほどの荷物を持って行ったり、険しい山道を何時間も登ったり下りたり、真冬に何時間も腰まで水に漬かったりできるのだ
今日も、そんな”楽しさ”を求めて根羽川へ出掛けた
ここ最近何度も足を運んだ下伊那や木曽川の河川に比べれば、釣れる魚のサイズも数も比較にならないかもしれないけど、おいしいソバ屋と温泉があって、のどかな田園風景があって、そして何より車で1時間半という距離が理由で自分の”フェイバリット・リバー”となっているところだ
いつものポイントはすっかり減水していて驚いたけれど、今日も小さいながらも美しい艶のアマゴが何匹か顔を見せてくれ、自分の”ささやかな楽しみ”を満たしてくれる…はずだった
それは、次のポイントへ移動すべく車に乗り込もうとしたときだった
反対車線に停車した軽トラックの運転席から、なにやら話しかけてくる声が聞こえた
タバコをくわえ、ウィンドウに右肘を乗せ、やぶにらみ気味にこちらを見ている初老の男…
あまりにその態度が横柄だったので、自分も「はぁ?」と思いっきり不機嫌な表情で聞き返した
一瞬の間を置き、その男は「鑑札は?」とぶっきらぼうに言った
僕は身体を反転させ、フライベストの背中にぶら下げている年券を一瞬だけ見せた
『そんなに確認したかったら車から降りてこい』という無言の意思表示のつもりで…
男は怪訝そうな表情を浮かべながらも、走り去っていった
もうこれ以上、根羽川で釣りをする気にはなれなかった
別の漁協の管内へ移動した後も、このことが引っ掛かったままで心から楽しむことはできず、降り出した雨が”通り雨”だとわかっていても、納竿を決意した
自分は渓流に魚を買いに来ているのではない。釣りを楽しみに来ているのだ
そのために”遊漁”証をあなたの漁協から購入しているのだ
こんなことはきっとないだろうが、もしこの記事を見ることがあったら僕に謝ってほしい
あなたは僕が楽しみにしていた1日を台無しにしたのだから…
*today's tackle
rod:Cremona 7'11 #3 (coatac) , ELNOA 8'01 #3 (KEN Craft)
reel:MARQUIS 2/3 (HARDY) , RIVER BLEEZE 3/4 (KEN Craft)
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