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蜘蛛の糸 (MotoGP 2011 Round-7 Dutch TT)
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 もし、マルコ・シモンチェリがホルヘ・ロレンゾを道連れにしていなければ、リザルトは違うものになっていたかもしれない

 もし、"Dutch Weather"が路面を冷やしていなければ、GP11.1もまた”他人が作ったバイク”と同様に言うことをきいてくれなかったかもしれない

 しかし、そんな”タラレバ”もこの日のバレンティーンノ・ロッシにはどうでもいいことだった…

 
 かねてから噂されていた12年モデルとのハイブリッド・マシンを持ち込むとしたら、このアッセンしか考えられなかった

蜘蛛の糸 (MotoGP 2011 Round-7 Dutch TT)_c0041105_1404419.jpg それは、これまで7勝を挙げている得意のコースだから、という理由ではない

 それは、このコースでこれまで何度も味わった逆境を、そしてそれを跳ね返してきた自分を今一度取り戻すために…

 フリー走行で手足を骨折しながらも強行出場し8ポイントをかっさらっていった2006年
 オープニングラップで転倒し、ハンドルバーを曲げシフトペダルを失いながらも鬼神の走りを見せた2008年
 
 今のロッシが復活を掛けて臨むにこれほどふさわしい舞台は他にないからだ 

 だから、目の前でシモンチェリとロレンゾが消えても関係なかった
 またもアンドレア・ドヴィツィオーゾに表彰台を阻まれても冷静でいられた

 何より大事なのは、着順やライバルのポイントよりも、彼の中にまだ”勝ちたい”という欲望と”勝てる”という自信が残っているかどうかを確かめることだから

蜘蛛の糸 (MotoGP 2011 Round-7 Dutch TT)_c0041105_140594.jpg 果たして、ロッシはそれを確認することができたのか? 

 ただ言えることは、この日のロッシの走りはとても美しく、そして力強いものだった
 それは少なくとも希望を失った者の走りではなかった、ということだ

 もしかしたら、ロッシが見出したその”希望”は、まるで蜘蛛の糸のように細いものなのかもしれない
 
 しかし、それでも彼はその糸を登っていかなければならない
 赤いマシンに跨ることを選んだのは、ほかならぬ彼自身なのだ

 ロッシが必死でよじ登るその細い糸には、数え切れないほどのファンもまたぶら下がっている

 ロッシの希望の糸はそのプレッシャーに耐えられるのか?
 イタリアのファン達は今ロッシに何を求めているのか?

 ”審判の日”がいよいよ近づいてきた
蜘蛛の糸 (MotoGP 2011 Round-7 Dutch TT)_c0041105_1411270.jpg

by taros_magazine | 2011-07-03 13:56 | motorcycle diary


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