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"Satisfaction" (MotoGP 2011 Round-11 Czech)
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 自分達が前に進めば、ライバル達はそれよりもさらに前へと進む
 自分達がコンマ5秒削れば、ライバル達は1秒削ってくる…

 バレンティーノ・ロッシがこんな迷宮に入り込んでから、もう8ヶ月が過ぎた
 
 ライバルはストーナーでもロレンソでもペドロサでもない
 シーズン当初は何とか手の届いたドヴィツィオーゾやシモンチェリですら、今では追いかけるのも難しくなってしまった

 コース外での発言も、『いまに見てろよ』的なものはすっかり鳴りを潜め、困難な状況の中にある米粒ほどの希望を語るだけになってしまった


c0041105_23525935.jpg それでも、このブルノの状況は違うものになるはずだった

 20日間のサマーブレイク、それは急造のGP11.1を熟成させる願っても無いインターバルになるはずだった

 そして迎えた土曜
 これまでカタルニア以外ではすべて”秒”差だった予選タイムは、ポールのペドロサから0.776秒差まで迫ってみせた

 それは、デスモセディチ×ストーナーを相手にタイトルを奪還した2008年を思えば、十分”射程距離”と言っていいほどのタイム差だった

 意気上がるドゥカティ陣営…しかしそれもレーススタートまでだった

 スタートダッシュに失敗すると、いとも簡単にホンダとヤマハのワークスマシンに先行を許すいつもの展開となった

c0041105_23531837.jpg 独走するストーナーには逃げられたが、表彰台を窺うベン・スピーズのテールに迫った、とは言うものの、逆に後からはスズキのバウティスタが猛然と突っつかれていた

 そして何よりもロッシが置かれている状況の深刻さを物語るのが、そのレース後の当のロッシのコメントだった

 このリザルトを『とてもうれしい』と表現し、マシンの改善に満足していると言うのだ

 昨年、このブルノで転倒した後、誰はばかることなく全身で”怒り”を表現した彼が、これまで9つの世界タイトルを獲得した伝説的ライダーが、昨年まで常に優勝争いに絡んでいたマシンに跨り、そして今、トップと10秒以上離された6位を大いに喜んでいるのだ

 はたして、この先表彰台へ、そして勝利へと進むために一体どれほどのマシンの進歩と時間が必要だというのか…
 
 まるで途方も無く遠い目標に対し、見ないフリを決め込んだかのように、小さな喜びをみつけてはポジティブなコメントを繰り返す姿は、かつて勝てないレースの中でもブリジストンタイヤの特性を掴もうとしていた頃に口にしていた発言と、言葉こそ同じではあるがそこに込められた”気持ち”がまったく違っているように思えてならない

c0041105_23505833.jpg 確かに、この日の彼の走りとリザルトに対する評価は分かれるかもしれない

 しかし、彼のレース後のコメントが”現実逃避”でないならば、その真偽はインディアナで明らかになるだろう

 そして、そのレース後のロッシのコメントの中にこそ、これまで覆い隠してきた本心が見えるはずだ
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by taros_magazine | 2011-08-27 23:58 | motorcycle diary
"myth" (MotoGP 2011 Round-10 United States)
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 1970年代、ケニー・ロバーツの登場がその幕開けだった

 ヨーロピアンが集う”クラブ”の中で、その発言やパドックでの過ごし方、そして何よりその突出した速さから”異星人”と称されたこのアメリカ人の成功こそが、その神話の始まりだった

 そのケニーと入れ替わるように現れたフレディ・スペンサーは、まさにその神話を具現化したライダーだった

 コース上で見せる誰にも真似することのできない圧倒的なライディングと、それに相反するように繊細でミステリアスな私生活…彼もまた神話だった

c0041105_2343930.jpg ほどなくグランプリ最高峰は、アメリカ人の独壇場となった

 100キロ少々の車体とプアなタイヤ、そこに搭載されたピークパワー重視のエンジン…そんなモンスターマシンを、エディ・ローソン、ウェイン・レイニー、ケビン・シュワンツらはまったく苦にしないどころか、そのコントロールを楽しんでいるかのように操り、勝ち続けた

 『ダートトラックをルーツに持つ彼らならではの速さだ』

 『いや、AMAの荒れた路面での経験が活きているんだ』

 『無駄にコーナーリングスピードを追求せず、ラップタイムをトータルで稼ぐという発想こそ画期的だ』

 彼らの速さを目の当たりにするたびに多くの人が様々な考察をしてみせたが、そこで交わされるどんな説も彼らの異次元の走りを裏付けているようには思えなかった

 ”アメリカン神話”

c0041105_235683.jpg 突如として現れては驚異的な速さを見せつけ、涼しい顔で勝利をさらっていくアメリカン達…いつしか彼らの母国を”神話の世界”としてとらえることが、彼らの速さを説明できる唯一の理論になっていった

 しかしジョン・コシンスキーを最後に、神話といえるほどの衝撃を与えるライダーは現れなかった
 そして神話は南半球やラテンの国のライダー個人へと移り変わっていった

 そんなミック・ドゥーハンの王朝以降、グランプリでは目にすることのできなくなったこの神話の久々の継承者を、ある日ワールド・スーパーバイク選手権で目撃した

 スポット参戦でのいきなりの勝利、ワークスのエース、トロイ・ベイリスを豪快なドリフトで追い詰めるライディング…
 ベン・ボストロムはまさしく神話の国からやってきたライダーに見えた

 しかしベイリスやコーリン・エドワーズ、さらには後輩のニッキー・ヘイデンがMotoGPにコンバートしていく中、マシンやスポンサーという”現実”の部分でほんの少し運が足りなかったボストロムは、WSBからAMAへと静かに戻っていった

c0041105_2352770.jpg その彼が10年の時を経て遂に上がってきた最高峰の舞台…しかしそこに用意されていたのはあまりに無情なシナリオだった

 Moto2の王者をもってしてもブービーが御の字というマシンをシェアしての参戦…

 フリー走行・予選と後方から迫ってくるレギュラーライダーの邪魔にならないことだけに神経を使いながら過ごし、『せめて決勝だけでも気持ちよく』と臨んだレースも、コースアウトした後はマシンをいたわるかのように走り、そしてチェッカーをあきらめてピットへと戻っていった

 ”10年前だったら…。せめてプラマックかグレシーニのマシンだったら…”
 
 いや、おそらく結果は大きくは違わなかっただろう  

  ”アメリカン神話”

 それは、類まれな才能と時の運に恵まれた一握りのライダーの輝きが創り出した”幻想”だったのだろうか?

 あるいは、もうひとりの”ベン”による第二章があるのだろうか
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by taros_magazine | 2011-08-27 23:08 | motorcycle diary