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VR model '09 (MotoGP 2009 Round-11 CZECH GP)
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 今シーズンの開幕以来、バレンティーノ・ロッシはいつも見えない”何か”を追い求めているように見えた

 カタールでは信じられないほどあっさりとケーシー・ストーナーに逃げられた
 ラグナ・セカでは手を伸ばせば届きそうだったダニ・ペドロサのテールを見送った

 それでも、ロッシの表情からは”勝てなかった悔しさ”ではなく、自分の走りに対しての”手応え”を確かめられたというような充足感が垣間見えた

 それは、タイトルを確実にモノにするための哲学である”ステディ”あるいは”クレバー”という言葉で表現されるものなのかもしれないと思っていた

c0041105_232538.jpg ウェットレースで露見してしまった守りの姿勢や、逆に勝つという強い意志を見せたカタルニアでのミラクルな逆転劇を目の当たりにした時、やはりロッシはエディ・ローソン的な”タイトル獲得の方程式”を身につけようとしているのだろう、という考え方が正しいような気がしていた

 しかし、このブルノのレースのロッシを見て、そんな考えが根本から間違っていたことに愕然とした…

 好スタートを切ったロッシは、そのまま一気にペースを上げて後続を引き離すでも、ダニの後ろで様子を見るでもなく、淡々と速いラップでライバル達を引き連れて周回を重ねていった

 かつて予選では後ろにへばり付いてくる”セカンドグループ”のライダー達に苛立ちを隠さなかったロッシが、自らの手の内を見せたくないがために、ル・マンのストレートエンドで原田哲也と並んだままコースアウト寸前まで”譲り合い”を演じたロッシが、ラップレコードのペースで今や最大のライバルとなったホルヘ・ロレンゾを引き続けたのだ

 ザクセンリングの時のようにタイヤに確信が持てなかったわけではない
 カタルニアの時のように気力で鍔迫り合いをしているわけでもない

 それでもロッシは持てるすべての技術をロレンゾに披露し続けた

c0041105_2331458.jpg そんなロッシの心境を、テレビ画面で見ている我々はもちろん、真後ろで見ているロレンゾ自身もきっと理解できなかったのだろう

 彼はその答えを引き出すべく、やはり彼が持てるすべての技術をもってしてロッシに襲い掛かった
 そしてそんな彼に対して、ロッシがどのように反応するかによって、この禅問答のようなロッシの走りを理解しようとした

 結局、グラベルに叩きつけられたロレンゾはその”答え”を得ることができなかった

 しかし、ビッグバトルもほとんどなかったこのレースで、チェッカー後のロッシが久々に何度も見せた会心のガッツポーズが、その答えを教えてくれた

 ロッシは誰ともレースなどしていなかったのだ
 彼は、この日のコースコンディションをよみ切り、彼自身のレースプランニングに基づき、彼と彼のマシンが成し得る最高の走りで118.866kmを走りきることだけを考えていたのだ

 バレンティーノ・ロッシが到達した”方程式”は、『勝つべきレースとポイントを獲るべきレースを分けること』ではなく、『自らの最高の走りをスタートからフィニッシュまで完璧にこなすこと』だったのだ

 その方程式が完成した今、もはやライバル達の存在はロッシにとってレースプランニングの中の一つの不確定要素にしか過ぎないだろう

 もしロレンゾが、ペドロサが、そしてストーナーが今のロッシに勝とうと思うなら、未だわずかに灯っているロッシの”ファイター”としての本能に強力な燃料を投下するような熱い走りが必要だろう
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by taros_magazine | 2009-08-17 23:12 | motorcycle diary