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priceless

 「利用料が1000円以上だったら、ゴミなんかテン場に放置して当然。管理人が片づけりゃいい」

 恥ずかしながら20年前ほどの自分のセリフだ

 その頃、オートバイで各地のキャンプ場を泊まり歩くことの多かった自分にとって、『キャンプサイトの利用なんてタダが当たり前。たかだかタタミ1~2畳のスペースを一晩使うくらいならせいぜい300円か500円が妥当だろう』と思っていた
 
 もちろん、まだ学生だった当時の金銭感覚のコトもあったが、それにも増してキャンプ場の維持や管理といった、裏方業務の大変さをしらなかった己の無知が言わせたセリフだった
(実際には、1000円以上の利用料のところでもゴミはゴミ捨て場に捨てて帰ったけど)
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 天竜川:1500円、宇連川:1000円、寒狭中部:1000円、寒狭上流:1000円、根羽川:700円、忍野:800円、石徹白:1000円

 昨シーズンに自分が訪れた漁協の日釣券の価格設定(解禁初日は除く)だ

 年券という設定や、あるいは鮎との共通利用可能な漁協もあるために単純に比較はできないが、これらは決して高いとは思わない

 集中豪雨や渇水という異常気象にさらされ、鵜の食害に悩み、後継者不足に不安を感じながらも、毎年楽しませてくれるこうした漁協の活動に対し、1000円前後の対価を支払うことにまったく抵抗はない

 だが、敢えて言わせてもらおう
 『名倉川の特別漁区の2000円は高い』と

 この3月1日解禁の漁協では、2004年から管内の一部区域を『特別に魚影の濃い区間』として他の区域より多く放流するかわりに、プラス1000円の価格設定で日釣券を別途発売している

c0041105_2213551.jpg その区間を初めて訪れたのは2006年。”放流日”だったはずの『特別に魚影の濃い区間』では、最下流部の堰堤から最上流部のプールまで釣り上がる間に、確認できた魚影はわずか数匹だった
 
 その日話をした多くの釣り人も「魚がいない」と怒り、ある漁協の関係者は「前日に放流済み」と言い、また別の監視員は「これから放流するところだ」などと曖昧な態度だった

 そして昼も近くなった頃、最上流部のプールで途方に暮れていると、片手にバケツを持った3~4人の男性が道路から降りてきて、そのプールにチョボチョボと魚を入れた

 この区間で一番人気のプール、取り囲む何人もの釣り人、放たれた2,30匹のアマゴ…

 『これが”特別”かよ…』
 目の前で泳ぐアマゴを見ながらも、気持ちは晴れなかった

 2年ぶりに訪れたこの日も、状況はほとんど同じ…それどころか、この日は目の前での”放流”すらなかった
 結局、午後からは”魚影の濃くない”一般区間に移動した
 
c0041105_2215259.jpg 美しい景色の中、ゆったりとした流れが作り出す大きなプールには、特別漁区よりもはるかに多くの魚影があった…

 ”釣り”に求める価値は、人それぞれ違って当然だろう
 1匹でも多くの魚をクーラーボックスに詰め込みたい人、美しい自然の中で渓魚との出会いに胸を踊らせる人…それぞれの価値観で楽しみ、そしてその対価として支払う遊漁料…

 はたして、名倉川の特別漁区にその価値はあるのか?
 名ばかりの”特別”で釣り人の心を弄んでいないか?
 
 この日、その区間が”特別”だったのは、魚影に比較して圧倒的に過剰な「釣り人の数」、そして渓流釣りをなんとか盛り立てていこうと努力を重ねている他の漁協と際だって異なるその姿勢だけに思えた…

 名倉川からの帰り道、寒狭上流の大物が潜むポイントをのぞきに行った

 かつて50センチオーバーのイワナが見られたその淵には、上流の養魚場から流れてきたと思われる大型のホウライマスが定位していた

 様子を見るだけのつもりが、いつしかロッドを持ち、時を忘れて夢中でキャストし続けた…が、やっぱり釣れなかった

 たった1匹の”落ちマス”相手の七転八倒…
 でも、端から見れば1円にもならないようなそんな釣りが、この上なく楽しかった

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*otherside…
 『輝ける沢の辺で』(by Mr,RISE)

*today's tackle  
rod:Freestone XT 8'08 #3 (Shimano)
reel:Marquis #2/3 (Hardy)

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by taros_magazine | 2008-03-18 22:27 | fly fishing diary
月と太陽 (MotoGP 08' Round-1 QATAR GP)
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 一体何が変わったのか?そして何が変わらなかったのか?

 その答えはすでにこのロサイルの事前テストの時から見えていた
 驚速を維持するストーナー、恐れを知らないニューカマーたち、そして雪辱に燃えるミシュラン…

 それら全ての要素からなる集合体から、バレンティーノ・ロッシだけが外れていた

c0041105_2241377.jpg 彼が切望したタイヤを履く他のマシンが勝利し、彼が跨っているものと同じマシンが2位となり、そして去年同じタイヤに悩まされた3位のライダーの影を踏むこともできず、このクラスで22ラップしかレースを走ったことのない同郷の新人の後塵を拝しての5位フィニッシュ…

 「十分なテストができなかった」
 「去年だって予選ではミシュランは良かった」
 「ここのレースは特別だから」

 この日のロッシのリザルトを擁護する言葉はいくらでもあるだろうし、多くのファンや関係者もそれを信じているだろう
 でも、それと同じくらい多くの人が、今のロッシをたったひとつの言葉で表現してしまうだろう

 ”衰え”

 GPの4ストローク化の大きな理由であったはずの環境問題を足蹴にするかのように強行されたナイトレース…そのために設けられた非現実的なまでの照明設備によって美しい輝きを放つマシンとは裏腹に、この夜のロッシの走りには見るモノすべてを虜にするような煌めきも、息をのむような力強さも感じられなかった

 「ホンダのマシンで勝つことはイージーだ」

c0041105_22413897.jpg かつてそう言い放ち、敢えて困難な道を選んだ若き王者は、やがて全てのライダーに追われる立場となり、そして崖っぷちに追いつめられた昨シーズン終盤、青々とした”隣の芝生”を切望し、そして半ば強引に手に入れた

 そこまでして臨んだ開幕戦で味わった試練、屈辱、失望…

 最終ラップの勝負所で、ドヴィツィオーゾにかわされていくロッシ…
 
 その時、彼の目にそのマシンは「イージー」に見えたのだろうか?
 あるいは、今や”隣の芝生”となってしまったそのタイヤが青々と見えたのだろうか?

 チャレンジャーとして走り続けるために選んだ道、そして王者に返り咲くために選んだ道…
 自ら選択した2本の道が、メビウスの輪の裏表のように彼の心の中で出口の見えない無限ループを繰り返し続ける…

 ヤマハにとって、そしてロッシ自身にとって、この夜の出来事は”レア・ケース”なのか、それとも”カウント・ダウン”なのか…
 
 逃げていくドヴィツィオーゾのマシンを見ていたロッシだけが、その答えを知っているのだろう

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by taros_magazine | 2008-03-10 23:30 | motorcycle diary
think about …

 『せっかくだから、普段行かないところの様子でも見てみようか…』

 名古屋からやってくるゲストを待つ間、もう何年も入っていない支流に沿って車を走らせた
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 ひなびた里の間を流れるその川が、お世辞にも綺麗とは言えない細く浅い流れになっていたのは何もこのとことろの渇水のせいばかりじゃない
 上流に行くほど大きな集落が点在するこの支流では、放流ポイントにほど近い下流部ですら解禁後1ヶ月もすると釣り人の姿を見ることはほとんどなくなる

 増水すれば田畑からあふれ出た水で濁り、渇水になれば生活排水が川底を覆う…
 
 『何もそんな川でウェーダーをぬらさなくても、寒狭上流には他にいくつもの好ポイントがあるんだから…』
 数年前にこの川沿いにある旅館で一泊したときですら、ここで釣りをしようとは思わなかった程だった

 左岸を走る細い道は、数年前の豪雨で部分的に寸断しているという
 でも、そんなことは関係ない。どうせ様子見に行くのは本流との合流点から数分の地点…もうずいぶん昔のコトだけど、大きなアマゴがクルージングしていたあのプールまでだから…

c0041105_0102855.jpg 小さな堰堤に立ち、上流のその浅いプールを双眼鏡で見るが魚影はなかった
 安心したような、ガッカリしたような、何とも妙な気分で車に戻ろうとしたとき、堰堤の下のプールで波紋が広がった

 『まさか…だよな…』

 そのプールは、カワムツの巣窟のはずだった
 あの頃も堰堤からいつも様子を見たけれど、群泳するカワムツに混じって、ほんの1~2匹のアマゴがいるかいないか、というのがセキの山だった

 しかし、双眼鏡を通じて見えたのは信じられない光景だった

 『アマゴだ!アマゴばっかりだ!』

 ハッキリとパーマークを確認できる何匹ものアマゴが代わる代わるライズしていたのだった

 久しぶりの再会の挨拶もほどほどに、すぐに2人で堰堤に戻ってきた…が、そこには既に餌釣りの人が陣取っていた…

 転戦した上流部では大苦戦となった
 時おり姿を確認できる底ベッタリのイワナやアマゴの姿を見るにつけ、さっきの堰堤のライズリングが頭をよぎった

 『堰堤…行ってみましょうか?』

c0041105_0105327.jpg 傾きかけた日差しの中、文字通りの鏡面フラットではまだアマゴのライズは続いていた
 ミッジ、ニンフ、果ては大きなストリ-マーモドキまでティペットに結んだけど、アマゴは最後までくわえてくれなかった

 思いがけないポイントでの、思い通りにいかない釣り…
 でも、だからこそ繋がっていく”次への想い”…

 『さぁ、今度は…   』


*otherside…
 『一から出直し修行的毛鉤釣』(by Mr,godzilla2004)

*today's tackle  
rod:Fujimaki Special 8'07 #3 (Factory haru)
reel:Freizeit 3/4 (NAC)

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by taros_magazine | 2008-03-10 23:29 | fly fishing diary
看板
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 かつて、このプールの左岸に位置する岩には、水位計が設置されていた
 そして対岸からは大きな柳の木が張り出し、その枝がプールを覆うように被さっていた

 その枝が作り出す淡い影の中で、大きなアマゴが悠々とライズを繰り返し、流れ込みの脇では何匹ものイワナが底に定位していた

 そんな姿を見て素通りできる釣り人などいないだろう
 
 かくして、この”水位計プール”にはいつも釣り人の姿があった
 餌釣り師は岩の上から枝に気をつけて慎重にダウンで流し、フライマンなら下流から枝の下めがけて水面ギリギリのサイドキャストを繰り返していた

c0041105_0582726.jpg 自分は”最後まで”この水位計プールでは釣れなかった
 
 何度かフッキングしたことはあったがすべてバラしてしまった
 何度も何度もフライを絡め取られた枝を気にしてしまい、無意識に合わせが小さくなっていたのかもしれない
 でも、この岩の上からアマゴやイワナの姿を見ながら弁当を食べていると、不思議と幸せな気持ちになったものだった

 ある日、そんなこのプールに棲む魚達を”守って”いた柳がボッキリと折れていた
 岩に刺さっていた水位計も跡形もなく消えていた
 
 東海豪雨が魚もろとも流し去ってしまったのだ

 時間の経過とともに、日当たりのいい”普通のプール”になってしまったこのポイントにも魚は戻ってきた
 しかし、釣り鉤から魚を守ってくれる柳の枝はもうない
 駐車スペース、それに入渓路の直下にあるこのプールでは、その姿が見えたなら釣り人の格好のターゲット…ここに残っているのはそんな”獲物”としての魅力の薄い小型のアマゴばかりになっていった

 『あの頃のように、ここで魚を見て(川から)上がろう』

 そう思い、今年初めての大名倉釣行となったこの日、岩の上からすっかり浅くなってしまったプールをのぞき込んだ

c0041105_0584571.jpg すると、流線型の影が川底に落ちていた
 そしてそのすぐ上には、一目見てそれとわかる魚の姿があった

 『イワナだ!』

 慌ててティペットをセットし直し、ニンフを底まで流し込んだ
 何度目かのキャストに、イワナがついに口を使った…

 
 リリースすると、イワナはそのプールではなく下流の瀬に去っていった
 ”丸見え”のプールを拒絶したその姿に一瞬安堵しながらも、すぐにまた暗澹たる気持ちになった

 『ここも…下流も…結局は沈んじゃうんだよ』

 車に戻り、ものの1~2分も下流に走ると、緑の里におよそふさわしくない紅白の看板が見える
 
 ”標高450m地点” 

 『ハッキリ書いたらいいじゃないか…”ここが水没ラインです”って…』

 さらに数分走ると、旧田口線の終点だった田口駅舎が見えた
 そこには、漁協が主だった釣りポイントに付けた名称が記された看板が立っていた
 
 ”駅裏”

 鉄道なんて、もう40年近く前に無くなった
 駅舎だって、明日崩壊するかもしれないし、そもそもこれが”駅”だったなんて想像すらできないのに…それでも、このポイント”駅裏”なのだ

c0041105_05720100.jpg 『そうか…それでいいじゃないか…』

 水位計が無くなっても、あのプールは自分にとって”水位計プール”なのだ
 そしてこの素晴らしい渓は、たとえダムの底に沈もうと、いつまでも”大名倉”だ


*today's tackle  
rod:Rightstaff 7'10 #3 (CFF)
reel:TR-L "solid" (abel)

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by taros_magazine | 2008-03-03 00:56 | fly fishing diary