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川は誰のものか?

c0041105_2219307.jpg 隣町に、”ラグーナ蒲郡”というレジャー施設がある
 ショッピングモール、プール、遊園地、それにヨットハーバーやリラクゼーション施設などを備えた施設で、最近では隣接する敷地にマンションや私立の学校までが建設されている

 夕日を浴びて輝く巨大な観覧車やマンション…そんな華やかで壮観な景色を目にするたびに、自分はいつも何ともやりきれない気持になってしまう

 『これだけの海を、たかが数年の間権力を持った人間の判断でツブしやがって…』

 その”ラグーナ”一帯はかつて三河湾でも屈指の干潟だった
 名古屋の大学からバイクで帰るとき、小さな峠を越えた瞬間に目の前に広がる金色の海は、言葉では表現できないほどの美しさだった
 
 大学卒業後も、その海岸にほど近い高校に勤務していたことがある自分は、仕事が早く終わると海岸へ向かい、「星越」と名付けられた海岸のあたりをのんびりとバイクで走ったものだった

 ところがある日、干潟の真ん中に重機が据え付けられていた

 みるみる干潟は埋め立てられ、国道から見えるのはセイタカアワダチソウがまばらに生えた荒野だけになってしまった
 
 おそらく何万年も息づいてきた海は、20世紀の終わりのほんの数年の間だけそこに”権利”を持った何人かの人間の判断によって、この世から抹殺されたのである


c0041105_22195648.jpg 石徹白の清掃会に初めて参加したのは去年のことだった
 
 そこで、峠川でキャッチ&リリースを実現するまでに乗り越えてきたいくつもの高いハードルの存在を知った

 一方で、そんな努力を重ねてなんとか理想の釣り場を実現した川に、上流のスキー場から重油が流入するという悲劇が起きてしまう

 釣り人、スキー場、行政、漁協、下流の住民、農家、そして地元の人たち…

 1月の峠川での出来事からは、今まで想像もしなかったほど多くの人が”川”というものに関わっていることを思い知らされた

 そして今年の清掃会も多くの釣り人が各地から集まった

 峠川をもっと魅力的な川にしたい、という熱い想いを持った仲間達がゴミを集める姿を見ながらも、やはり心のどこかに小さな不安を感じてしまうのである

 『これだけの釣り人が峠川を美しくするために努力しても、”権利”…いや”利権”を持った一握りの人間によってすべてが台無しになる日が来るんじゃないだろうか…』

 そんな不安は、ダムに沈む寒狭川で釣りをしている者の”杞憂”であってほしいと心から思う
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by taros_magazine | 2007-10-24 22:24 | fly fishing diary
答えのない疑問 ( MotoGP 07' Round-17 Malaysian GP)
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 それが競争である以上、最後に必ず栄冠を勝ち取る”勝者”が現れる

 そして、それが何十年にも及ぶ歴史を持つ競技であれば、単なる勝利者ではなく、その時々に”王者”と呼ばれる存在が君臨してきたはずである

 しかし、それら歴代の王者たちの直接対決による”王者の中の王者”というべき者の決定を目にすることは夢の中でしかできない… 
 
 
 モーターサイクルグランプリの歴史においても、これまで何人もの伝説的王者が存在した

 60年代ならMVアグスタで圧倒的な強さを見せたマイク・ヘイルウッドやジャコモ・アゴスティーニ
 70年代には"KING"と呼ばれたケニー・ロバーツ
 80年代に入るとフレディ・スペンサー、エディ・ローソンといった2人の天才
 そして記憶に新しいウェイン・レイニー、ケビン・シュワンツ、ミック・ドゥーハンという傑出した才能が次から次へと頭角を現した90年代…

 『彼らの中で誰が一番速いのか?』
 
 以前、海外のレース専門誌がグランプリ創生期から現在に至るまで、何十人ものライダーにアンケートを採り、その解決を図ろうとしたことがあった

 「自分以外で」という但し書きがあったせいか、シュワンツはレイニーの名前を挙げ、レイニーはシュワンツの名を挙げた
 
 しかし、何人ものライダーが『そんな質問はナンセンスだ』と回答を拒否したという
 
 そう、どんなに頑張ってアンケートを集計してみたところで、スペンサーとロッシのバトルは見ることが出来ないのである
 それにシュワンツがNSRに乗り、ドゥーハンがRGV-Γに乗っていたら、どちらか…もしかしたら、両方ともがタイトルには縁がなかったかもしれないのだから…

 
 そんな解決されない”究極の疑問”に対するジレンマ…
 それと同じような感覚を、このマレーシアのレースから感じてしまった

 『ストーナーと、同じパッケージでロッシやダニが走ったら…』
 『ヤマハにドピュニエやホプキンスが乗ったら…』
 『いや、ストーナーがRC212Vで走ったら…』

c0041105_2301234.jpg 予選9位からスタートし最後まで表彰台争いにさえ絡むことなくレースを終えたロッシの姿を、コーナーを立ち上がるたびにスモークを上げるミシュランのリアタイヤを見ているうちに、同じレースを走っている彼らの”速さ”を、客観的に計ることがまったくできなくなってしまった

 ホールショットを決め、最後までチャンピオンらしい力強い走りを見せたストーナーと、そのストーナーに手も足も出ない後続のライダーたち…
 
 昨年、ロッシとカピロッシが狂おしいまでのバトルを見せた、2本の長いストレートと何本ものラインがある幅広いサーキットでこの日繰り広げられたのは、まるでケーシー・ストーナーのタイトル獲得を祝うパレードランのようだった

 ロッシが走れば走るほど、ストーナー勝てば勝つほど、クッキリ浮き彫りになる、今グランプリを覆っているジレンマ…
  
 自らの力を信じ、これまで全力で走り続けてきた結果であったはずの勝利やタイトルが、今や来期のレギュレーション変更のきっかけになろうとしている

 長い長い”パレード・ラン”を終え、本当の”ウィニング・ラン”の最中もほとんど笑顔を見せなかったストーナーこそが、今そのジレンマを最も強く感じていることだろう
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by taros_magazine | 2007-10-22 23:01 | motorcycle diary
旅立ち ( MotoGP 07' Round-16 Australian GP)
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 プレッシャーから解放された”王者”ケーシー・ストーナーと、そのプライドに賭けて負けたくないバレンティーノ・ロッシが、ポイント計算を抜きに真っ向から対峙する1戦…
 
 そんなふうに楽しみにしていたオーストラリアGPだったが、ちょうど1週間前の悲劇から気持の整理がつかず、正直言って見るのがとても辛かった

 テレビ局が編集した追悼VTRを見るまでもなく、サーキットの、パドックの、そしてどのライダーを見ても彼の事を思い出してしまうだろうということはわかっていた
 『もしかしたら、何人かのライダーはメッセージボードを掲げるかもしれない』
 『あるいは、優勝したライダーがインタビューで彼へのトリビュートを口にするかもしれない』

c0041105_21595614.jpg 無意識のうちにそんな光景を期待している自分に嫌気がしながらも、その期待が裏切られることもまた恐かった…

 薄曇りのフィリップアイランドはとても寒そうに見えた
 
 テレビ局のアナウンサーは『深い悲しみに包まれている』と言い、モーニングセッションの後には彼を追悼する黙祷が捧げられたという

 そしてヤマハのチームスタッフ、それに日本人ライダーやニッキー・ヘイデンらが左腕に喪章を付けているのを見たとき、それは自分が”期待”していた光景だったにもかかわらず、ちっとも嬉しくなく、悲しい現実を思い知らされただけだった…

 でも、それ以外はいつものレース前の光景だった
 グリッドでのライダー達は、いつものようにカメラに笑顔を見せ、観客の声援に応えていた

 レースもストーナーが好ダッシュを決め、それをロッシ、ニッキー、ダニの3人が追い、後からカピロッシが追い上げるという、現時点での力関係を象徴するかのような展開だった

c0041105_2201650.jpg ただ、テレビの実況を担当したアナウンサーだけが彼の死にこだわっていた

 ことあるごとにゲストの岡田忠之や宮城光に思い出を語らせ、現役のライダー達に与えた影響を何度も紹介した
  
 アナウンサーが紡ぎ出すストーリー
 ストーナーの激走に沸くサーキット…

 その強烈にアンバランスな放送に、自分は2003年の8時間耐久を思い出した

 あの時も、集まった観客やテレビ放送も含めた運営サイドの描いた物語とは裏腹に、HRCのライダーは予選から決勝当日まで一言も自分からは”大治郎”という言葉を出さなかった
 現地で感じたそれは”不自然”というより、やはり”意図的”なものだろうと思った

 でもその”想い”は、決勝レースを走っている彼らからヒシヒシと伝わってきた
 彼らが亡き”大治郎”のためにするべきことは、グリッドでメッセージボードを掲げることでも、レース前のインタビューで『”大治郎”のために頑張る』というセリフを吐くことでもなく、”勝つ”ことなのだと…
 
c0041105_2203436.jpg だから、この日ロッシがマクレーの悲劇の時のように"Miss You"のボードを掲げなかったことに、彼の”想い”をより強く感じた
 
 そして勝ったストーナーは『彼にこの勝利を捧げる』などというセリフはもちろん言わなかったけど、この日のレースが旅立っていった彼に対する最高の贈り物のように思えた

 出走19台、完走17台。クラッシュによるリタイヤ0台…

 レースの安全性について、誰よりも熱心に行動してきた彼が望んでいたのは、きっとこんなレースだったんだろうと思った

 そんなことを思いながら見るストーナーのウィニングラン…
 
 まるであの日の鈴鹿での彼のように、地元での勝利に熱狂する観衆の前で、誇らしげに、そしてちょっと恥ずかしげに国旗を掲げて走るストーナーの姿を見て、やっとこの言葉を言える気持になれた

 さよなら、ノリック。安らかに…
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by taros_magazine | 2007-10-14 21:47 | motorcycle diary
「ありがとう」、"thank you"
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 彼のことを初めて知ったのは、レーシングヒーローという雑誌の1コーナーだった
 ”クラッシュキング”こと高橋サトシ氏が書いていた記事で毎回のように取り上げられていた一人の日本人少年…
 
 『だから、これからは”ノリック”の時代なんだ!』

 ちょっとくらいアメリカにダートの修行に行ったからといって、全日本ですらほとんど実績のない少年に後にライダースクラブ誌の編集長となる高橋氏が肩入れしている様は、一読者の自分から見れば滑稽にすら感じたものだった

 しかし、その走りはあまりに強烈だった

 当時空前の層の厚さを誇っていた全日本の500ccで、いきなりの表彰台獲得というリザルトもさることながら、マシンを路面にこすり付けるようなフォーム、そして表彰台でうれし泣きする姿を見た瞬間、彼のファンになった

c0041105_13242427.jpg その後、初勝利で号泣し、負けては悔し涙を見せるなど、喜怒哀楽をストレートに出す彼の前途に、自分もいつしか高橋氏と同様に”世界”を見るようになっていた

 そして運命の94年。史上最年少にして最後の全日本500チャンピオンとなった彼が見せた伝説的なライディング…ミック・ドゥーハンを力でねじ伏せ、ケビン・シュワンツを突っ込みでオーバーテイク、そして鈴鹿に訪れた一瞬の静寂と絶叫…
 
 この悔し涙の1戦で世界への道をついに切り拓いた彼は、その2年後の鈴鹿で優勝し、やっぱり号泣した
 
 だけど彼の涙は、多くの人に笑顔をもたらした
 
 彼が勝つと、まるでサーキット中に明るい光が降り注いできたかのように、皆が暖かいものを感じ、レース後の彼のインタビューはいつも笑いに包まれていた

 ノリックは、その記録だけでは到底表現しきれない多くのものを残していった
 
 今、きっと多くの人が、それぞれのノリックからの贈り物をかみしめていることだろう
 そしてそれは、言葉ではうまく伝えられない…

 だから、こんな当たり前の言葉でしか、今の気持を表現できない
 
 ”ありがとう、ノリック”
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 『アイツはピットから出て行くとき、マシンを押すスタッフに必ず”thank you !”って言うんだ。そんなライダーは他にはいないよ』(彼のWGP時代の担当メカニックの言葉)
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by taros_magazine | 2007-10-08 13:22 | motorcycle diary
阿部 "Norick" 典史 (1975~2007)

c0041105_1171035.jpg 信じられない

 その人は本当にノリックなのか?
 その記事は何かの間違いじゃないのか?


 もう何も考えられない…
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by taros_magazine | 2007-10-08 00:27 | motorcycle diary
First Step
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 この川へ通い出した頃、自分にとって環境とかゴミ問題なんっていうのは縁のない話だと思っていた

 それどころかお気に入りのポイントへ向かう山道でさえ『早く拡幅工事してもっと走りやすくしてくれりゃイイのに…』とか、『川沿いにちゃんとした駐車場とかコンビニがあれば…』などと、ここへ遊びに来た趣旨からすれば”本末転倒”とも言える理想論を抱いていた

 やがて行動範囲が広がり、近隣の河川や源流部にも出掛けるようになった

c0041105_11125154.jpg そこで目にしたのは、自分が住む街の道路脇とかわらないゴミだった

 吸い殻の山、何年も前に廃盤になったブランドの空き缶、変色したペットボトル、コンビニの弁当箱…そして『こんなところに釣りに来るのはオレくらいのもんだろ』と思っていたところにさえ、当たり前のように放置されているエサ箱や仕掛けのパッケージ…

 そのとき気が付いた

 ロストしたフライや、それに付いたままのティペット、カットしたラインのクズ、何度も落としてきたフォーセップや偏光グラス…

 結局、捨てた(落とした)方は何とも思っちゃいないのである
 でも、誰かが拾わなければ、それはずーっとそこにあるのである
 
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 今年も僅かな時間ではあるけれど、シーズンの最後にゴミ拾いをしてみた
 ただ、今年は何人かの仲間と一緒に、釣り同様に笑いながらゴミ拾いをすることができた

 そしてゴミ拾いの後には、コーヒーを飲みながらの釣り談義に花を咲かせ、そしてこの流れに発眼卵の放流活動をしているゼフさんと一緒に少しだけ釣りも楽しませてもらった

 まずはイワナが、そしてアマゴが顔を見せてくれた

 そのアマゴは、もしかしたら…いや、きっとゼフさんが放流したアマゴだと思った
 そんな”我が子”のような魚たちが棲む渓は、やはり少しでもキレイな方がいいと思った

 雨の中での短い釣り…

 いつも何か寂しい釣りとなるシーズン最後の1日を、今年は来シーズンへつながる”初日”のように、希望を持って過ごすことが出来た
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special thanks …
 「流離の渓流師」(Mr, Sasurai / Sairyu)
 「ゼフのフィールド日記」(Mr, Zeph)
 「さおだし隊」(Mr,SUE)
 「渓魚と戯れ」(Mr,Mihira Sanpei)

*today's tackle (both my first main rod and reel !) 
rod:6 Pack Rod 7'06 #3/4 (Caddis)
reel:Bliss 4/5 (Jackson)
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*こちらもご覧ください
c0041105_11344852.jpg石徹白・峠川清掃会2007
http://itoshiro.exblog.jp/6332628
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by taros_magazine | 2007-10-01 11:23 | fly fishing diary