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大漁

c0041105_026530.jpg もう、一人で大笑いしていた 
 小さな渓に立ち、バカみたいに『あはは』と笑っていた

 長い間寒狭川で釣りをしてきたが、この日ほど活性が高く、そして出てくる魚のサイズがデカかったことなどほとんど記憶にない

 小さな谷の堰堤下で、いつも狙う瀬で、橋を降りてすぐのプールで、木の下を流れる細い筋で…ありとあらゆるところから25センチから尺ほどの魚がドンピシャのタイミングでヒットした

 その他にも、『たぶん出るだろう』と思ったポイント全てからグッドサイズのアマゴが飛び出した

 でも、そんな魚の活性の高さに、一人高笑いしていたわけじゃない
 次々とヒットする良形たち…その全てに、ことごとくバラされ続けるうちに、何故だか無性に可笑しくなってきたのだ

 10匹連続…くらいなら、過去にもあったかもしれない
 でも、この日は10、20…と、流す、出る、掛かる、ファイトする、バレるというサイクルを延々と繰り返した 

 もちろん、フックが折れていないことを何度も確認した。フックサイズを大きくしたり、形状の違うものも試した

c0041105_0272799.jpg それでも、結果は全て同じだった

 途中からは、何か現実世界ではなない、どこか別の空間で釣りをしているような気分にさえなった

 どこか、魚がウジャウジャいる秘密の川に立ち、次から次へと魚をヒットする…しかし、その手には触ることができない…そんな、いつか見た夢の中の出来事のようだった

 何度かポイントを変え、浅い流れで15センチほどのアマゴをやっと手元まで引き寄せ、ネットに横たえることができた
 
 でも、写真撮影はできなかった
 何故なら、この日はカメラを持ってくるのを忘れ、しかも携帯電話のメモリまでが既に一杯になってしまっていたからだ

 何一つ記録も残らず、そして誰にも見てもらえなかったあのイワナとの、あのアマゴとのファイトシーン…

c0041105_0281531.jpg 本当に楽しかった
 本当に楽しい”釣り”だった

 いや、もしかしたら、こんなのは”釣り”とは言わないのかもしれない
 尺だ、良形だと言っても、別に証拠があるわけじゃない

 でも、楽しかったからそんなことは構わない

 だって、自分は”漁”をしているわけじゃない
 こんな”釣り”で、充分すぎるほど幸せなんだ


*today's tackle  
rod:Rightstaff 8'10 #2 (CFF)
reel:CT2/3 (REDINGTON)

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by taros_magazine | 2007-09-27 00:36 | fly fishing diary
Dramatic Rain ( MotoGP 07' Round-15 Japanese GP)
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 雨のレースは、いつも劇的な展開を見せてくれる

 20年ぶりにグランプリが日本に帰ってきた1987年には、250ccクラスでは小林大が優勝し、500ccクラスでは伊藤巧が表彰台に上がって見せた
 92年のハンガロリンクでは、エディ・ローソンがカジバについに優勝をプレゼントし、2005年の中国ではオリビエ・ジャックがカワサキに2位をもたらした

 でも、雨のレースは残酷な現実をもまた垣間見せる

 89年サンマリノでのP・Fキリの優勝は、滑りやすいミサノのコースを彼のチーム以外の全てのワークスがボイコットしたことによるものであるとされ、チームとスポンサーの圧力、それに冷たい雨の中でレース開始を待ち続けた地元イタリアのファンのために出走した彼は、その後長い間パドックで他のライダーや関係者から辛辣な言葉を浴びせられた

 では、この日もてぎで繰り広げられたレースは、テレビの実況アナウンサーが何度も叫んだように本当に”劇的”なものだったのだろうか?
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 ウェットからハーフウェットへと変化していく路面コンディション、レース中にマシンを乗り換えてのスクランブル、そしてその選択するタイヤ…

 これらの”不確定要素”を”ドラマ”に仕立て上げるのは、あまりに単純で、そしてライダーの実力を軽視した見方ではないだろうか?

 確かに雨が降らなければ、ダニ・ペドロサが宙を舞うという”波乱”も、バレンティーノ・ロッシが2度もコースアウトするという”思いもしない出来事”も起きなかったのかもしれない
 もしかしたら、シルバン・ギュントーリの4位はもちろん、これまでもこのもてぎで強烈な速さを見せてきたロリス・カピロッシの優勝さえ”タイヤ交換の妙”と言われるのかもしれない
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 実は、こうした見方こそが、この日遂にタイトルを獲得したケーシー・ストーナーが今シーズン戦い続けてきた”最大の敵”だったのでは…と思えてならない

 どんなに勝ち続けても、ついて回る”ブリヂストン”と”ストレートスピード”…
 勝負どころで決まってバレンティーノ・ロッシに訪れる”悲劇的な演出”…

 本当は、この日ドライを一番望んでいたのは、予選まで圧倒的な速さを見せていたペドロサでも、勝負できるパッケージを手に入れたロッシでもなく、ストーナーだったのではないだろうか?

 もてぎ入りしてから、彼がめずらしく非常に刺々しい雰囲気を漂わせていたのは、もしかすると前戦エストリルで『ミシュランとM1がついにBS+ドカの戦闘力に並んだ』と評されたことで、”ロッシとの力と力の勝負を制してタイトルを獲得する”という強い決意があったからではないだろうか…
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 そうした意味では、このもてぎでは”本当の決着”はついていないのかもしれない

 もはやケーシー・ストーナーというライダーにとって、この日手にした栄冠など、この先何年にも及ぶ熾烈なバトルの序章に過ぎず、そしてそれをはねのけて勝ち取る”本当の栄誉”のための通過点でしかないだろう…バレンティーノ・ロッシという存在がグランプリにある限り… 

 そのストーナーに、最高の舞台が次のグランプリで用意される
 
 ”雑音”から解放され凱旋する”王者”ストーナーと、勝つことだけを求めて走る”挑戦者”ロッシ…

 その舞台のエンディングは、妙なドラマ仕立ての演出のない”直球勝負”の決着であることを祈りたい


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by taros_magazine | 2007-09-23 21:25 | motorcycle diary
スポーツ (MotoGP 07' Round-14 PORTUGUESE GP)
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 何故こんなにも心が熱くなるのか?
 何故これほどまでに彼らのハートが伝わってくるのか?

 モータースポーツが他の”スポーツ”と呼ばれる競技と決定的に異なるのは、人間以外の”力”を借りるという点だろう

 多くのアスリートが自らの肉体を鍛え上げ、そして限界に挑んでいくのに対し、レーサーと呼ばれる選手はその使う道具の性能を極限まで高め、そしてその道具に命を預けて限界に挑んでいく

c0041105_15463991.jpg 厚いレザースーツと、コーティングされたシールドの付いたヘルメットに身を包む彼らの”スポーツ”は、陸上選手のような筋肉の躍動も見られなければ、サッカーやラグビーのような激しい肉体のぶつかり合いももちろんない

 しかし、このエストリルの長いストレートで、バレンティーノ・ロッシがストーナーに、そしてペドロサに襲いかかる時に見せた姿からは、彼の暗殺者のような鋭い視線がはっきりと見え、そして激しく脈打つ心臓の鼓動がはっきりと聞こえてきた

 それはペドロサも同じだった

 ストーナーがブレーキをかけるまで絶対にブレーキレバーを握らない、という命懸けの意地の張り合いの時には『そんなもんか!』という声が、そしてロッシとのバトルでは『ここで離されてたまるか!』『それがどうした!』『まだまだ!』という彼の叫びがダイレクトに鼓膜に響いてきた…


 レース後、ラリー・ドライバーのコリン・マクレーの悲劇に言及したロッシ
 
 スタート前のグリッドではマクレーへのメッセージを掲げ、この勝利を彼に捧げると言ったロッシのセリフこそが、この”スポーツ”の本質を語っているように思えてならない…

c0041105_1546493.jpg 1週間前、ドイツのユーロスピードウェイで芳賀紀行がやはりその勝利を直前に無くなった彼の友人=沼田憲保に捧げた
 
 93年のスペイン・ヘレスでは、125では坂田和人が、250では原田哲也が、予選中に亡くなった若井伸之に勝利を捧げた

 彼ら”レーサー”は、他のどんな”スポーツ”の選手よりも”命”というものの重さを知っている
 
 他のどの”スポーツ”の選手よりも、多くの”血”を流し、”痛み”を経験している

 しかし彼らは、決して”無謀”で”危険”な行為をしているのではない
 彼らにとっては、速く走ることも、ギリギリの接近戦も、、絶大な信頼関係に上に成り立つ純粋な”スポーツ”なのだ 

 だからこそ、彼らは亡き友にその最大の栄誉を捧げるのである

 だからこそ、彼らが見せる”スポーツ”は、たとえ血の通わない道具を使っていても、大きな排気音しか聞こえなくても、体に、そして心に熱いものが伝わってくるのだと思う

 そんな素晴らしいスポーツが、また日本にやってくる…
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by taros_magazine | 2007-09-17 15:44 | motorcycle diary
七不思議

c0041105_2237889.jpg ”何故か急いでいるときに限って、必ず狭い山道で黒煙をモウモウと吐き出すトラックの後ろを延々と走ることになる”

 ”『今日はこのロッドを使う!』と決めて、細く短いロッドを持ってきたときに限って、現地に着くと何故か強風がビュービュー吹いてる”

 ”魚影を確認し、ラインとフライを新しくした最初の1投は、何故か決まって後ろの枝を釣ってしまう”

 ”そしてやっとの思いで落としたフライがうまく流れたときには、不思議ともうそこに魚はいない…”

 ”すっかり気落ちして、ただ何となくキャストしているときにだけ、すごく魚の反応がいいのは何故?”

 そして…”やっと手にしたその美しい魚たちが、流れに帰っていった後…あと4日で『禁漁期間』が訪れるというのに、再び姿を見せてくれることはほとんどないのは何故だろう…”

c0041105_22375648.jpg 根羽川での、シーズン最後の釣りとなるこの日は、いくつもの”何故”を思いながら過ごした
 
 当たっているような当たっていないような、理由がわかっているようでわからない、なんとなく漠然といつも思っている”何故”…
 そんな「禅問答」とも「マーフィーの法則」ともつかない”不思議”を、一人思い出しながら傾きかけた山の里川での短い時間を楽しんだ

 帰り道でも、まだいろんな”何故”を考えていた
 
 そして、大増水している寒狭川を見ながら、つい数時間前、自分を突き動かした”究極の何故”を思い出した

 バッテリーの上がった車をケーブルで繋いで始動させてまでして
 前夜まで降り続いた雨で寒狭川の流量計がメーターをふり切っているのを見てもなお
 そして何より、昼過ぎから出掛けて、夕方には戻らなければならないのに…

 「それなのに、どうしてそこまでして釣りに行きたいのか?」

 ただ、この”何故”は、言葉ではうまく説明できないけれど、きっとたくさんの人にわかってもらえると思う
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*today's tackle  
rod:Fieldadvance 7'00 #3 (MR.DON)
reel:Philius babytrout (KIRAKU)

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http://www.tees.ne.jp/~ito-taro/ff/gomihiroi2007.htm
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by taros_magazine | 2007-09-13 22:44 | fly fishing diary
!!!!!…?
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心臓に悪いです…というか、普通気付くか
(先日のミサノ以来、どうにも不安だったもので…)



一応詳細(笑) ↓ http://news.goo.ne.jp/article/jiji/entertainment/070904171852.mvbku7e3.html
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by taros_magazine | 2007-09-07 22:53 | toyohashi diary
沼田 憲保 (1966'~2007')

   「カーブを曲がりきれず…」

   「運転ミスと見られている…」
 
 バカか、お前らは。市街地をスクーターで走ってるんじゃねーんだ
 この前の鈴鹿も、菅生も、いつもいつも悲劇が起きたときだけ警察発表そのままのベタ記事で紙面を埋めやがって…

 沼田が日本で、そして世界を相手にどれだけの事をやってきたのか少しは調べたのか?
 
 残された家族の事を少しでも考えたのか?

 お前らの基準で言う”スピードの出し過ぎ”…それが沼田の、そして世界中で走ってるレーサーの仕事なんだよ
 
 だから、もう少しだけ、不幸にもそんな仕事の中で亡くなってしまった連中に対して敬意を払った記事を書いてくれよ

 
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 つつしんで沼田憲保選手のご冥福をお祈りいたします
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by taros_magazine | 2007-09-04 23:59 | motorcycle diary
ミサノ (MotoGP 07' Round-13 San Marino GP)
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 原因が何かはわからなくとも、それがこのレースを戦う上で、そしてチャンピオンシップを争う上で、”致命的な一撃”であることは瞬時に理解できたことだろう…

 もはや” ただの乗り心地の悪いバイク ”と化したYZR-M1…それでもピットまでの長い道のりをノロノロと走り続けたロッシの胸中に去来したものは一体何だったのか?

 
 思えば80年代以降、この華やかな街にあるサーキットは、いつも壮絶なドラマを演出してきた

c0041105_22481459.jpg スタートミスで最後尾まで落ちた平忠彦が全車を抜き去って優勝した86年の250ccのレース
 
 観客席からのまばらな拍手とピットレーンからの冷笑の中、地元のキリが初優勝を”記録”した89年の500ccのレース
 
 91年、125ccで鈴鹿、ヘレスと驚愕の速さを見せつけた上田昇がトップ走行中に激しくクラッシュした直後、砂煙の中で見せた魂の叫び
 
 同じく91年のエディ・ローソンのカジバでのオープニングラップ奪取と、トップを走っていたミック・ドゥーハンを追い抜いたラップ遅れのウェイン・レイニーのプライド
 
 そして93年、そのレイニーの悪夢のようなクラッシュ…

 まるでかつてのローマのコロシアムのように、戦士の力を試し、勇者の運命をもてあそんできたこの高いフェンスに囲まれたサーキットは、今また一人の王者を葬り、そして新たな英雄を生み出した

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 この事実上の最終決戦にチェッカーフラッグが振られた後、ケーシー・ストーナーはその目から流れ落ちそうになるものを隠すかのように、何度もシールドを下げては首を振った
 
 一方、ヤマハが発表した「まだ諦めない。残り5戦で全力を尽くす」というロッシのコメントには、絶望の中で必死にモチベーションを繋ぎ止めようとするチームの悲壮感しか感じられなかった

 
 クールダウンラップでも、パルクフェルメでも、ストーナーは彼のデスモセディッチのタンクを愛おしそうに撫で続けた
 わずか24時間前、ロッシが予選でのフライングラップ直後に、彼のM1のフロントカウルにしたのと同じように、何度も何度も…

 ストーナーのそんな姿を見るにつけ、こんな結果になってさえも、” ただの乗り心地の悪いバイク ”と化した彼の”相棒”をコースサイドに置き去りにできなかったロッシの心境が、ただただ痛々しかった
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by taros_magazine | 2007-09-03 22:55 | motorcycle diary
胸騒ぎ (MotoGP 07' Round-13 San Marino GP "Qualify")
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 正直、ポールはダメかもしれないと感じていたのだろう
 ただ、そのタイム差だけはしっかりと確認しなければいけないと思っていたのだろう

 予選アタックを終え、そのままコース上を流しながらコーナーごとに観客席用の大型モニターに映し出されるストーナーのフライングラップを食い入るように見つめていたロッシ…

 案の定、ストーナーは計算していたかのようにロッシのタイムを上回り、さらに続けてもう1ラップもアタックしてみせた
 
c0041105_14411396.jpg それはまるで、最後の1ラップでタイムをたたき出したロッシに対して、『オレは予選スペシャルのタイヤじゃなくてもこんなタイムを出せるんだ』か、はたまた『オレなら終わったタイヤでもこのタイムで走れるんだ』という、強烈なカウンターパンチのようだった

 チェッカーを受けたストーナーは、そのままクルージングするロッシを追い越し何度も何度も長い距離のウィリーをロッシと黄色く染まったスタンドに見せつける
 
 その一方で、ロッシはウィリーもバーンナウトも見せず、そのままストーナーの背後で恐ろしいまでの威圧感を漂わせながらパルクフェルメへ向かっていった…

 おそらく、ロッシにとって、このタイム差…0.176秒は”条件”さえ揃えばギリギリ削り取れる差だという手応え感じているのだろう
 だからこそ、そのタイム差を確認した瞬間から、心も、身体も、そしてマシンも…すべての力を決勝にむけて”温存”したのだろう

c0041105_14422280.jpg そして、日曜日…
 ミサノの観客席は黄色く染まり、何万ものファンが彼のマシンに向かって声を振り絞って声援を送るだろう

 『自分を応援してくれる大勢の観客の声援こそが、自分に最高のパフォーマンスを引き出させるんだ』

 予選終了後のロッシのコメント…そう、この”ファンの声援”こそ、今 彼が切望する”勝つために最も必要な条件”なのだ

 そして、その条件の中で彼が出す結果…
 
 それは、最高のものであったにしても、残念なものになってしまったとしても、彼の心にひとつの大きな結論を出させてしまうのではないかという気がしてならない…

c0041105_1444393.jpg それは、"give up"の宣言なのか、それとも…

 決勝レースを前に、こんなに胸騒ぎがするのは初めてのことだ


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by taros_magazine | 2007-09-02 14:43 | motorcycle diary