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あの時代を忘れない day-2 「大名倉」
 
 釣りに行くときのもうひとつの楽しみ…それは道中のドライブだ

 一人でぼーっとする時間なんて、最近ではほとんどなくなってしまった
 仕事のときは無論、家にいても、買い物に行くのも、いつも誰かと一緒だ

c0041105_23595590.jpg もちろん、それが”苦痛”だとは思わないし、とても”幸せ”なことだとも思う
 
 でも、こうして好きな音楽の流れる空間で、その曲を毎日聞いていた遠い日のことを思い出しながら過ごす時間が、今ではとても大切に感じてしまう

 大名倉での釣りも、いつもあの頃のことを思い出させてくれる
 
 朝イチで入ったプールで悠々と定位していたコイのような大イワナ、ホタルの乱舞する中でのイブニング、目の前の山の斜面に突き刺さった稲妻…
 どんなポイントにも思い出がいっぱいに詰まっている

 この数年、めっきり釣れなくなったと言われるこの川だけど、当時だってそんなに釣れたわけじゃない
 でも、ほんの数年前の、それも1日釣り上がって”釣果なし”ということもザラだった頃の思い出が、車の中で聴いていたドリカムの曲のように甘酸っぱく感じてしまうのは、きっと…

c0041105_003758.jpg 照りつける日差しの中で、ずいぶん昔のこと、あの頃のこと、そして遠くない未来のことを漠然と思いながら釣り上がっていたとき、ふと見た流れの中で水しぶきが上がった

 『ライズだ!』
 大きく張り出した枝と、その下の”いかにも”な流れ…
 それは、フライを始めて3年目の解禁の週、キャストに四苦八苦しながらやっとの思いで送り込んだフライでイワナをヒットした場所だった

 慎重に下流に回り込み、真下に垂れ下がった枝の向こうにいるはずのライズの主を想像する
 それはきっと、あの日釣れたイワナと同じようにオレンジ色のお腹をした、この川特有の愛嬌に満ちた表情のイワナに違いない

 ワンキャストでフライはライズの1メートル上流に落ちた
 そして、水面に向かって1匹の魚が浮き上がってくるのが見えた

 完璧な一瞬に思えた。しかし、軽く引っかかった感触だけを残してフライは波紋の中から戻ってきた…
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 帰りの車中、下流で大勢の若者たちが水遊びに興じる姿を見た
 
 そんな光景を見て、自分が彼らと同じような年代の頃、何度もコンサートを見に出掛けたバンドのCDをデッキに入れた

 ”もう、あの頃のことは夢の中へ 知らぬ間に遠く years go by …"

 自分が20年前に戻れないのと同じように、この川が東海豪雨の前のように輝くことももうないだろう
 そしてあと何年かすれば、巨大なダムが作り出す湖の底に沈んでしまう大名倉川。でも…

 ”Sugar, sugar, ya ya, petit choux 美しすぎるほど
 Pleasure, pleasure, la la, voulez vous 忘られぬ日々よ


*Lyrics from "Ya Ya (あの時代を忘れない)" (by keisuke kuwata)

*today's tackle  
rod:Freestone XT 8'03 #2 (Shimano)
reel:Silver Marquis #2/3 (HARDY)

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by taros_magazine | 2007-08-28 00:17 | fly fishing diary
あの時代を忘れない day-1 「根羽川」
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 自分がこの漁協管内に通い出した頃、この渓は禁漁区だった

 しかし、わざわざ禁漁にしなくても、こんな幹線国道のすぐ横を流れる細い谷で、釣りをしようなどと考える人間がいるなどと思えないような流れに見えた

 ある年、その下流の支流に入り、その小さな谷との合流点まで釣り上がると、この付近に表示されていたはずの”禁漁”を示すロープが外されていることに気づいた…

 その時、いつも漁券を買うよろづ屋での出来事を2つ、思い出した
 ひとつはその前年、よろづ屋のご主人が悲しそうに言っていた「最近は役所の方から『もっと禁漁区を減らせ』とわれとって…」というセリフ
 
c0041105_22372990.jpg そしてもうひとつ。それはこの年そこでもらったエリアマップのその谷から、”禁漁”の表示がなくなっていたこと…
 
 初めて足を踏み入れたその谷は、国道から眺めていたときには想像もできなかったほど濃密な自然の中にあった
 苔むした倒木、モリアオガエルの卵がべっとりと貼り付いた枝葉、そしてそれらが創り出す緑のトンネルの中の小さな流れからは、次々とイワナが飛び出した
 
 10センチほどの稚魚から25センチを越えるものまで…どれも痩せてはいたが、色黒で白班の小さなそのイワナたちからは、この厳しい環境の中で命を繋いできた”野生”がひしひしと伝わってきた

 そんな谷をかなり上流まで釣り上がり、脱渓点を探していたときのことだった
 いきなり上空の景色が開けて来たと同時に、山肌が大きく削り取られている場所があった

 そこで釣りを切り上げ、途中に見える林道らしきところまで這い上がると、その看板が目に入った

 ”別荘地 分譲中!”

 国道から伸びる荒れた未舗装路の先にある森の中で、その毒々しい赤い文字で書かれた看板を見たとき、ここが”解禁”されたわけを理解した…

c0041105_22375178.jpg もはや、この谷のイワナを保護する理由などない…いや、保護など不可能だったのだろう

 やがて何かの冗談にしか思えなかった”分譲地”には、洒落たログハウスが何棟も建ち並んだ 
 毎年、夏前の”書き入れ時”には、その別荘の建築に使われるモルタルをかき混ぜるのに使われた汚水の流入で下流まで川は白く濁った…

 
 そして、今年初めてこの谷に入ったこの日、イワナは最後まで顔を見せてくれなかった

 モルタルのカスが堆積したプールでは、この夏を迎える前に放流されたであろうアマゴがライズを繰り返していた

 この谷で、イワナが次々とフライに飛び出したあの日…
 それは、もうずっと昔のことのようだった


*today's tackle  
rod:EUFLEX XFP 6'09 #3 (TIEMCO)
reel:CANTATA 2200 (UFM ueda)

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by taros_magazine | 2007-08-27 22:53 | fly fishing diary
a thread of hope (MotoGP 07' Round-12 Czech GP)
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 「7位」

 SUZUKIにかわされ、KAWASAKIに最後まで突つかれながら”死守”したバレンティーノ・ロッシのチェコでのリザルトだ

 タイヤの、そしてマシンの大幅な進化を期待して乗り込んできたこのブルノ…しかし金曜の午前中に1ラップしただけで、彼はこの事態を覚悟したことだろう

 22ラップの間ベストを尽くして走り続け、やっとの思いで得た結果…
 それが、おそらくは転倒もマシントラブルもない状態でのリザリトとしては、彼のキャリアで最低の成績であろう「7位」…


 レースを重ねるごとに広がるチャンピオンシップ・ポイント
 走るごとに積み重なっていく失望感

c0041105_23263787.jpg タイトルや記録といったものよりも、”走ること”を、そして”バトル”を楽しむことで築き上げてきた”王者”という称号が、今度は巨大なフラストレーションとなって彼の心も身体も蝕んでいく…

 今、彼を走らせてるものは一体何なのか?
 巨額の契約金と名声を守るためなのか?
 ファンやスタッフを喜ばせるためなのか?
 
 それとも、”かつて最速と呼ばれた”ライダーとしてのプライドなのか?

 思い出すがいい
 
 上田昇や坂田和人の老獪な走りに対して、何も恐れずにその速さで勝負していった頃の走りを
 原田哲也の研ぎ澄まされた走りに対し、感情を剥き出しにして挑み掛かっていった頃の走りを
 そしてその頃、レースというものがどれほど楽しかったか、ということを…

 今、ロッシに必要なのは、ブリスタを起こさないタイヤでも、ストレートでロケットのように加速していくエンジンでもなく、彼を全ての呪縛から解き放つものの存在である

 そして、もし彼がそれを見つけ出すことができるとしたら…

 その場所は、かつての彼と同じように、ただ走ることを楽しんだ一人のライダーの魂が眠る場所…
 そして、常に熱狂的に彼を支え続ける何万ものティフォージの集まる場所…

 次戦、”イタリア”のミサノしかないだろう

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by taros_magazine | 2007-08-20 23:42 | motorcycle diary
明日の忍野
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 忍野に出掛けるとき、いつも決まってひとつの不安が頭をよぎる
 『今度こそ…釣れないんじゃないか…』

 昨年、初めて忍野の川岸に立った時、まず思ったのは『これは…絶対に釣れないだろう』というコトだった

 10年以上、フライフィッシングをしてはいるけれど、それまで目の前で悠々と泳いでいる尺ほどもある魚が釣れたことなど1度もなかった
 それに忍野での鱒釣りについて、他のフライフィッシャーのブログやホームページに綴られている内容から、忍野は”エキスパートと称される人が、その経験と技術で賢い鱒たちを相手に知恵比べをする川”だという印象を持っていた

 しかし、ごく普通のニンフを流すとあっさり最初の1匹が釣れた
 
c0041105_239045.jpg 自分はその瞬間、忍野での”サイトフィッシング”の魅力の虜になった
 1日中ニンフを沈めては鱒が口を開けるのを待ち、『入った!』と思った次の瞬間、合わせた右腕に伝わる魚の重さに酔い続けた

 2度目の忍野は豪雨と濁流だった
 それでもマーカーを付ければウソのように魚が釣れた
 部分的にクリアになっているところではドライでヤマメのライズもキャッチできた

 3度目、家族でのドライブの途中に寄った短い時間の中でも、サイトの釣りを充分に楽しむことができた

 4度目、相変わらずのサイトの他に、小さなドライでヤマメのライズを何回も仕留めた

 こんな他の渓流では考えられないような素晴らしい釣りを毎回経験しながら、それでもこの日の道中はやっぱり…というよりも、これまでになく大きな不安に悩まされた
 『今日こそ釣れないんじゃないか…』

 そんな不安に拍車をかけたのがこの日の魚影だった

 漁協駐車場から見える魚の姿は、これまでより明らかに寂しいものだった
 
c0041105_2383882.jpg 鯉の釣り堀が大賑わいなのに比べ、お盆休みだというのに普段の週末より少なく見える釣り人の数も、その不安を増幅させた…

 しかし、結論から言えば、この日も充分な釣果を得ることができた
 
 レインボーは相変わらずのファイトを楽しませてくれたし、ブルックや忍野で初となるブラウンもキャッチすることができたというのに…

 それでも、次に忍野へ行くときのことが不安なのである
  
 毎回素晴らしい釣りをコンスタントに経験しているのに、そのたびに次の忍野に対する不安…『今度こそ釣れないんじゃないか』…はどんどん大きくなっていく

 他の渓流では考えられないような素晴らしい釣りを毎回経験させてくれる忍野…
 そこでは、他の河川では笑ってネタにできるはずのことが、いつの間にか自分にとってもの凄いプレッシャーになってしまっていた

 このまま”不安”は膨らみ続けるのか、それとも”現実”になると同時に弾け飛ぶのか?
 自分にとっての忍野の”明日はどっちだ?”

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*other side …
大好き!管理釣り場』(by Mr,sammy)
アマゴ釣りの憂鬱』(by Mr,M's)

*today's tackle  
rod:Cremona 8'07 #3/4 (Coatac)
reel:Philius small trout (KIRAKU)

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by taros_magazine | 2007-08-15 23:14 | fly fishing diary