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The Promised River

 そのイワナがフッキングした瞬間、本当に心から思った
 『ここへ来て良かった…』と
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 『さて、明日はドコへ行こうか…』

 愛しのイトシロも、美しい忍野も、きっとどちらも涼しくて気持ちいいだろう…。西野川だって水もひいてちょうどいいコンディションになっているかもしれない。そういえば、下伊那にも今年はまだ一度も出掛けていない…

 結論を出せないまま、#2から#4までの長短何本かのロッドを車に積み、そのまま床についた
 そして、目が覚めた時間とそれぞれの目的地までの所要時間を計算し、夜明けと同時に釣り始めることのできる川を選ぶことにして…

 そして目が覚めた時間…それはいつも仕事に行く時間と同じ…石徹白や忍野はもちろん、どんなに近い川の”マヅメ時”もとうに過ぎていた

 すっかりテンションが落ちたまま、朝のラッシュも終わりかけの幹線道路を北上する
 豊川本流、海老川、そして寒狭中部…すでに多くの鮎師が立ち並ぶ川は、先週の濁流がウソのように清冽な流れとなっていた

c0041105_0352595.jpg そんな絶好のコンディションを見るにつけ、後悔ばかりがこみ上げてくる

 『朝イチで下伊那にでも入ってりゃ、きっと爆釣だったんだろうなぁ…』

 そんな冴えない気分のまま、車に載っていた中で一番の低番手ロッドを片手に竹藪の間を抜け、勝手知ったるポイントを流すいつものフライに、護岸際で水しぶきが上がった…

 寒狭でのアベレージ…いや、もしかしたら若干それを下回る程度の何の変哲もないイワナがフッキングした瞬間に感じた、『ここへ来て良かった…』
 それは、ただ”釣れたから”というような小さな満足感なんかじゃなく、何かもっと心の中から沸き起こってくるような不思議な感情だった
 
 そのイワナをリリースした直後には、やはりそれほど大きくはないけど精悍なアマゴがヒットした
 
 堰堤上のプールでライズしていた大物は見向きもしてくれなかったけれど、その上流の浅い流れからは、この谷らしい美しいアマゴが姿を見せてくれた

 もう、何も後悔していなかった
 
 石徹白で釣れたかもしれない野性的なイワナも、忍野でファイトしたかもしれないブラウンのことも、もうどうでもよくなっていた

c0041105_0502133.jpg 自分は、この日この流れで、ここに棲むイワナやアマゴと会うために昨夜から準備していたんだと思った
 
 そしてそんな”約束”を、寒狭川の魚たちが律儀に守ってくれたというコトが、『ここへ来て良かった…』と心から思えた理由だと実感した


*today's tackle
rod:EUFLEX XF 8'02 #2 (TIEMCO)
reel:Fates TM-1 (TENRYU)

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http://keiyuutei.fc2web.com/gomi/gomi.htm
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by taros_magazine | 2007-07-31 23:59 | fly fishing diary
逃げ水 (MotoGP 07' Round-11 USGP)
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 こうなることはレースが始まった直後…いや、フリー走行の時から分かっていた
 
 それでも、ザクセンの時のように『もしかしたら終盤になれば、ブリジストンタイヤが力尽きるんじゃないか…』という淡い期待を抱き続け、マルコに食らいついていったロッシだったが、力尽きたのは彼のミシュランタイヤの方だった… 
 
 そんなロッシの遙か前方で、ストーナーはひたすらハイペースで走り続けていた 
 その何かに取り憑かれたような走りは、彼の後ろにこのサーキットと抜群の相性を誇るバーミューレンがつけていたから…では決してない
 
c0041105_2155568.jpg 2位に対し十分なディスタンスがありながら、それでもストーナーがスロットルを開け続けた理由…
 それはいつまでたってもピットサインに表示されない『ROSSI』に対する”勝利宣言”だったのだろう
 
 彼は、GP屈指のチャレンジングなサーキットであるこのラグナセカで、フリー走行、予選、ウォームアップ、そしてファステストラップに勝利とパーフェクトな走りを見せつけることで、気が付けば今シーズン最大の”争点”になっていた『ロッシVSストーナー、勝つのはどっちか?』という構図に彼なりの最終回答を突きつけてみせたのだ 

 一方、この誰の目にも明らかなロッシにとっての”赤信号”とでも言うべき緊急事態の中にいながらも、レース後のロッシの言動は異様なほど冷静に見えた 
 
 歓喜のウィニングランを続けるストーナーを握手で称え、ピットに戻った後も感情的になることなく、前後のタイヤを軽く確認し、いつものようにスタッフとのミーティングのためにピットの奥へと消えていった
 
c0041105_21552810.jpg 昨年の同時期、『もうタイトルは意識していない』という言葉とは裏腹に、凄まじいまでの執念で最終戦の前には51ポイントをひっくり返してみせた彼が、今年は逆に『まだ可能性はある』と言いながらも垣間見せたあまりにも淡泊な”消化試合”…
 
 そんな裏腹な言動が示すのは、”もしかしたらロッシ自身が、置かれている状況を理解できていないのでは?”とさえ思えてしまう

 ”自身のコンディションはもちろん、マシンも悪くない。もちろん常にプッシュしているし、現に長いストレートのムジェロやテクニカルなヘレスで会心の勝利を挙げているのに、なぜ44ポイントもの差がついているのか?”

 昨年とは違ってノーポイントレースが少ないにもかかわらず、昨年と同じように大きなビハインドを背負っているこの状況が、彼には信じられない…いや、まったく理解できないのではないだろうか  
 
 今シーズン何度も、手を伸ばせば届きそうなところまで近づきながら、そのたびにスルリと逃げていくチャンピオンシップ…
 
 それは、Turn-6の彼方に現れては消える陽炎のように、ロッシを現実と非現実の隙間へと陥れていく…
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by taros_magazine | 2007-07-24 22:00 | motorcycle diary
理想のタックル
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 今年の渓流シーズンが始まる前後、何本かのロッドといくつかのリールを処分した
 
 どうしても欲しかったロッドがあったため、その購入資金に充てた…というのが最大の理由ではあったけれど、もうひとつ大きな理由があった

 それは、この数年”道具に振り回されている”と感じることが何度かあったからだ

 10数年間、フライフィッシングを楽しんできた中で、気が付けば道具だけは一丁前の数を揃えていた
 もちろん、それぞれなんらかの目的や意味があって購入したのだが、いつしか『最近使ってないから持っていこう』とか『せっかく買ったんだから使わなきゃ…』みたいな理由で、その日のタックルを選択していることがままあった

c0041105_2315369.jpg そのくせうまく振れなかったり、思うような釣りができないと『やっぱり慣れないロッドじゃ無理だ』などと自らの技術や戦略を棚に上げて嘆いてみせたりした…

 なかなか時間がとれない今シーズンは、少なくともそんな気持で釣りはしたくないと思った
 せめて釣りをしている時間だけは、自分と川、そして魚のことだけを考えていたかった

 この日川に入っていた時間はちょうど1時間。ネットに納まったのはアマゴ1匹

 でも、そんな短い時間でも、この日の川の表情や、たった1回のアマゴとのファイトの感触ははっきりと覚えているし、それはとても濃密なものだった
 一方、この日どんなロッドとリールを使っていたかは…すぐには思い出せなかった

 でも、それでいいと思った
 
 そんなふうに、余分なコトを考えさせずに、川での濃密な時間を提供してくれたロッドとリール…それこそが自分が思い描く”理想のタックル”だと思ったからだ

c0041105_2316117.jpg 世の中には飾っておくだけでも充分美しく、所有しているだけで満ち足りてしまうロッドやリールもあるだろう 
 でも、自分は渓流でいろいろな思い出を重ねていくことで、その”価値”を高めていこうと思う

*today's tackle
rod:EUFLEX XFP 7'09 #2 (TIEMCO)
reel:CFO1 (ORVIS)

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by taros_magazine | 2007-07-19 23:20 | fly fishing diary
Challenger Spirit (MotoGP 07' Round-10 Deutschland GP)
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 ストーナーはペースを上げるのか?それとも…

 バレンティーノ・ロッシが全身から派手に火花を散らしてグラベルに沈んだ後の若きポイントリーダーの走りを、フィアット・ヤマハのピットクルーはもちろん、『OUT ROSSI』のサインボードを出した当のドゥカティのチーム関係者も固唾を飲んで見守っていたはずだ

 そして、コントロールラインに帰ってきた彼と、トップを快走するダニ・ペドロサの間隔が若干開いたのを確認した時、両チームが抱いた感想はおそらくまったく逆だったのではないだろうか?
 
 チーム・ドゥカティにとってそれは、予定どおりだった
 このまま20ポイントを加算してアメリカへ渡り、そしてサマーブレイク後はポイント差を計算しながらレースをこなしていけば…と、サインボードの意味を理解してペースを落としたストーナーを見て安堵したことだろう
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 一方、チーム・ヤマハにとっては意外なペースダウンだったはずだ… 

 これまでストーナーが見せてきた速さ、そして強さは、その若さに似合わないある種”非情”なものだった
 特に雨のドニントンで見せた強気の走り…後方に沈んだロッシにトドメを差すかのような…に象徴されるよう、最大・最強の敵であるロッシに対しては、わずかなスキに対しても持てる全ての力で攻撃するような”好戦的”な姿勢で臨んできた

 その彼なら、ロッシが序盤でリタイヤという願ってもない展開となったこのレースで、ここぞとばかりに25ポイントを獲りに行き、そしてロッシに致命傷を与えるだろう…と、ヤマハの関係者は背中に寒さを感じながら予想していたのではないだろうか?

 そんなふうに両チームがストーナーの一挙手一投足に注視する中、一気にペースを上げたライダーがいた
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 それは、ストーナー同様に『ROSSI KO』のサインボードを確認した瞬間、このジレったいサーキットに耐えられなくなったかのように速さを爆発させたダニ・ペドロサだった

 序盤で多くの経験豊富なライダーがスリップダウンする中、まるでリタイヤしたライダーの仇を討つかのような、そしてチャンピオンシップ・ポイントで独走をしようとするストーナーに立ちはだかろうとするかのような情熱的な走りだった…

 そのペドロサがチェッカーを受けてから30秒以上後、BS勢3台による5位争いをやっとの思いで制し、11ポイントを獲得したストーナー… 

 32ポイントのアドバンテージは、”マッチレース”だった1週間前までなら”上出来”だったのかもしれない
 しかし、ついに目を覚ましたホンダ勢と、大きなアドバンテージと思われていたタイヤの思わぬ落とし穴…

 常にチャレンジャーとしてのスピリットを持っている者だけが制することのできる次戦ラグナ・セカに、はたしてストーナーはどんな気持で臨むのか…
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by taros_magazine | 2007-07-16 16:30 | motorcycle diary
"天秤座の男" (MotoGP 07' Round-9 Dutch TT)
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 ケーシー・ストーナーの走り…それは、他のどのライダーのそれとも一線を画す不思議な走りに見える

 ニッキー・ヘイデンのように、ある瞬間に肉感的な速さを爆発させるでもなく、ダニ・ペドロサのように全てを吸収しながら限界を高めていくタイプにも見えない
 そして、バレンティーノ・ロッシのようにサーキットのすべてを自らの勝利に引き込むような”華”も未だに見えてこない

 それでも、すべてのライバル達に見せつけてきた速さ・強さと、シーズン中盤までに積み重ねたチャンピオンシップポイント…その理由を考えたとき、もしかしたら『突出した要素がないことがその速さ・強さの理由なのでは…』と思えた

 グランプリで勝つライダーなら、誰もが1つは持っているであろう”世界一”の技術…
 あるライダーにとってそれは”突っ込み”であり、またあるライダーにとっては”立ち上がり加速”かもしれない
 そうした多くの要素で、ストーナーは何ひとつ”ナンバーワン”のモノは持ってないけど、そのすべての要素で僅差の”2番目”のポジションに位置しているんじゃないか…そんなふうに思えた

 そう考えると、いみじくもバレンティーノ・ロッシが『彼は絶対にミスをしない』と評したように、ストーナーの最大の武器は『あらゆる技術を極めて高度な次元でバランスさせることができる』というモノなのかもしれない
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 そうした天性の能力を天秤の右側の皿に、そして左側の皿に26ポイントを載せてやってきたオランダ…
 しかし、グランプリで最も古い歴史を誇るこのダッチTTは、ストーナーの精密な”天秤”の右側の皿に、小さな”重石”を載せてしまった

 ライダーズ・サーキットと言われたカタルニア、ドニントンを、それぞれドライ、ウェットの両方のコンディションで制した彼に、これまでまったく感じることのなかった”タイトル”という重石がのしかかってきたのである
 もちろん、今の段階ではそれはさほど大きなものではなかったが、彼の精密な天秤はそのわずかな重さにも反応してしまったことだろう

 結局このアッセンでは、スタートから逃げることも、序盤のアドバンテージを守ることもできず、およそ10ラップにわたってロッシの手のひらの上でもがき続け、そして突き放されてしまった

 かくして左側の皿に載っていた26ポイントは21ポイントとなり、天秤はさらに大きく傾きはじめた

 彼の天秤は、バレンティーノ・ロッシという”重さ”に対し、これ以上バランスを崩さずに耐えていけるのか?
 それとも、すべての”調和”を破壊するような強烈な走りに切り替えるのか?

 反撃を開始したライバル達とケーシー・ストーナーの本当の戦いが、今始まった

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by taros_magazine | 2007-07-01 00:21 | motorcycle diary