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Restart
c0041105_22565795.jpg 去年から今年にかけての禁漁期間は、これまでになく”あせらない”4ヶ月だった
 
 釣欲を道具を買い集めることで治めたり、何だかわからない脅迫観念に駆られて毛鈎を巻きまくったり、一足早く解禁を迎える渓流…それも自分にはおよそ関係ない地域の…に押し寄せる釣り人をニュースで見て魚が釣りきられないか心配したり…
 そんないつもの冬に比べて、今年は驚くほど平穏に釣りと関係のない生活を送っていた

 「もう、ガツガツと釣りをするようなトシでもないか…」
 そう思いながら迎えた解禁は、やはり目の色を変えて釣る場所を探すようなことはせず、お気に入りの場所でゆっくりと過ごした

 そんな解禁からちょうど1ヶ月を過ぎた頃から、パッタリと魚の顔を見なくなってしまった

 別に釣りに行かなかった訳じゃない。釣れない…とにかく1匹も釣れないのだ
 いつもの川、初めての川。雨の日、晴れの日…釣れない言い訳をweb上に綴るばかりの休日…

c0041105_22563485.jpg 久しぶりの平日釣行となった今日も、この季節のこの地方としては異例の寒波と積雪、そして強風でほとんど釣りにならない状況だった

 『もう1カ所だけ…』
 そう思ってやってきたのは、今月最後の1匹を”釣った”あの川だった

 ネットから逃げていった銀色の巨体…思えばこの数週間、常にその残像に悩まされていた気がする
 「今行けば、まだいるかもしれない…」
 「明日には釣られてしまっているかもしれない…」
 そんな思いが交互に去来しながらも、あの日以来、そのポイントに足を運ぶことはなかった。”結論”を知るのが怖かったから…

 意を決してやってきたそのポイントは、あの日のように”何かが起きる”気配は皆無の、ちょっと濁った流れだった
 それでも、風の止み間を計ってキャストを繰り返した 
 
c0041105_2257305.jpg 何度目かのドリフトに、小さな波紋が広がった
 細く柔らかいロッド越しにもわかる小振りな魚体…しかし、不思議なほど胸は高鳴った
 不意に訪れた短い”禁漁期間”に終わりを告げてくれた小さなアマゴは、忘れかけていた釣りに対するトキメキを自分に思い出させてくれた
 
 自宅に戻り、毛鈎を巻き、リールに注油し、消耗品の残量を確認してもまだ物足りない
 まるで待ちわびた解禁を迎えたかのように、今も気持ちは高鳴ったままだ


*today's tackle
rod:Field advance 7'06 #3 (Mr,Don)
reel:philius baby trout (KIRAKU)

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by taros_magazine | 2006-03-31 23:03 | fly fishing diary
情熱 (motogp 06' Round-1 スペインGP)
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 逃げるカピロッシ、追うペドロサ…
 グランプリきってのジャジャ馬乗りのベテランと、13万人を超える地元の熱い大声援を受けて走るルーキーとの好バトルを見ながらも、心は10年以上前の2つのレースに思いをはせていた

 結果を恐れず、ただ速く走ることに熱中し、誰よりも早くチェッカーを目指す…
 ”若者の特権”というよりも、レーサーとしての本能を抑えることができない”若気の至り”とでも言うべき走りで、王者に追いすがっていった2人のルーキーの姿を今でもはっきりと覚えている

c0041105_23512563.jpg 1988年開幕戦、鈴鹿。前年までジュニアの250で走っていた彼は、いきなり世界GPのチャンピオンマシンを駆ってグランプリを走ることになった
 
 前年の王者ワインガードナー、この年3度目のタイトルを獲得することになるエディ・ローソン…居並ぶ実力者の中で、当時”シンデレラボーイ”と呼ばれたルーキーは、その端正なマスクからは想像できない激しいライディングで彼らに戦いを挑み、残り数ラップとなったところで1コーナー奥のグラベルに沈んだ…伊藤真一、このとき21歳

 さらに94年、急造マシンでスポット参戦した日本GPで、2位を拒否して勝ちに行き、そして砂塵に消えた史上最年少にして最後の全日本500cc王者、阿部典史…

 彼らの”熱い”走りは、公式記録には何も記されていない
 伊藤が転倒したときにサーキット中に響いた悲鳴も、号泣するノリックに送られた大きな拍手も…
 
 同時期に活躍していた他のライダーの多くが引退する中、彼らが今もなお現役として走り続けているのは、あのときと変わらない”情熱”を持ち続けているからだろう

c0041105_23465488.jpg 今回のスペインGP、トップを走るカピロッシに手が届くところまで迫りながら、ペドロサは明らかにポジションキープを念頭に置いた走りに終始していた
 
 勝手知ったるサーキットで大声援の後押しを受けながら、しかもジベルノーが消え、ロッシが後方に沈むという、これ以上ない”勝てる条件”をお膳立てされながら、彼は逃げていくカピロッシをただ見送った
 
 果たして、ペドロサに”情熱”はあるのか?
 トップを目指し、限界を超えたバトルを演じることができる”本能”を持っているのか?

 この日、折れたブレーキレバーで走りきったロッシが、その答えを見せてくれる日は近い


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by taros_magazine | 2006-03-28 23:54 | motorcycle diary
記憶 (Dedicated to "Camera ba-chan")
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 久しぶりに初めての川へやってきた
 いつも通っている寒狭川と根羽川の間に位置する漁協なのに、不思議と足を運ぶことのなかった名倉川…
 
 ここへ来る気にならない理由はいくつかあった
 整備された国道で名古屋圏から1時間ほどという、アクセスの良さによる混雑、要所要所に設けられた発電や取水用のダム、そして2000年の東海豪雨による壊滅的打撃…

c0041105_15563196.jpg そんな川にやって来たのは、”久しぶりの再会”という楽しみがあったから…
 『輝ける沢の辺で』のライズさん、『大好き!管理釣り場』のsammyさん、そして『Step into the river』のBILLさん…
 皆、web上で知り合ったフライフィッシャーたちだ 

 そんな気持ちのせいか、いつもは通り過ぎるだけの川がとても美しく見えた
 
 朝から1匹も釣れないというシビアな状況も格好の”話のタネ”。堤防に腰掛けて川を見ながら、いつもとはまた違ったランチタイムを楽しく過ごすことができた

 所用で午後からは家路に着かなければならなかったのだが、少しだけ遠回りをして寒狭川に沿って車を走らせた 
 
 いつも走り慣れている細い道…その脇に建てられた小さな倉庫を通り過ぎるとき、一人のおばぁちゃんのことを思い出した

c0041105_15564980.jpg もう何年も前…偶然見ていたそのテレビ番組に、自分が毎週のように通う寒狭川の風景が映し出されていた
 その脇の小道を、古びたカメラで写真を撮りながらニコニコを笑顔を振りまくおばぁちゃん
 その彼女の足が、小さな倉庫に掲げられた看板の前で止まった
 ”設楽ダム建設 絶対反対”
 「だーれも欲しくないわな、ダムなんて…」そう言って彼女はシャッターを切った

 彼女が岐阜の徳山ダムに沈む自分の村の写真を撮り続けている増山たづ子さんだということは、その番組の中で知った

 彼女が撮影したその倉庫の看板は、放送の翌週に撤去された
 この集落に住む人たちの思いも、彼女の村と同様に”過去のもの”にされてしまったのだ

 しかし、消えてなくなったわけではないと信じたい
 彼女の撮影した写真が、彼女が亡くなってしまった今も多くの人の心を揺り動かし、今まさに消えようとしている徳山村の記憶を”永遠のもの”にしているように、自分もこの川で釣りをしたことを、いつまでも忘れることはないだろう…

 たとえこの里がダムの底に消えようと… 
 
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 *「増山たづ子 徳山村写真全記録」(影書房)より

*today's tackle
rod:CFF Rightstaff 8'10 #2 (Caps)
reel:AMPEX SK-1 (Caps)

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by taros_magazine | 2006-03-26 16:12 | fly fishing diary
 
 次のポイントへ移動する車中で、思わず苦笑いしていた
 『ったく…ホントに”引き出し”が少ないなぁ…こんなに通ってるのに…』

c0041105_184077.jpg この日の寒狭川は想像を遙かに超えた釣り人で賑わっていた
 なんとか他の釣り人の姿の見えない区間を見つけて釣り始めたものの、すぐに他県ナンバーのRV車が土手に止められているのを見つけ、そこで川を上がって別の支流を目指すことにした

 『先週入ったポイントか、それともその前に行ったところにするか…』

 愛知県内では最大規模の流域面積を誇るこの漁協管内なのに、イザ釣ろうと思うと数えるほどしかそのポイントが思い浮かばない
 毎年”年券”を買い、早春から秋まで毎週のように通っているのに、気が付けば勝手知ったるポイントで”お馴染みの魚たち”にばかり遊んで貰っているのか…
 そんなことを思いながら、半ばあきれ気味に苦笑いしていた

 移動した先にも、当然のように無数の踏み跡が記されていた
 それでも川に降りてキャストしていると、何台もの車…明らかに釣り人の物と思われる車が、川沿いの道を上流へ走って行き、そして戻っていった
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 この渓でもまったく反応がないまま別の釣り人の車を見つけたため、さらに移動した先は今月の初めにも来たばかりの流れだった
 しかし、そこにはさっきのポイントで川沿いの道を走っていた車が止められ、大きな魚籠を持った釣り人が立ち込んでいた…

 結局、先週に続いて魚の顔を見ることができなかった
 
 『日曜日だから?人が多かったから?』…いや、原因がそんなことでないことはわかっている
 こんなに広いフィールドなのに、新しいポイントを”開拓”する努力を怠ってきたこと、何年も何十回も…いや、何百回も釣行しながら、技術も戦略もロクに磨いてこなかったこと…
 そんな狭い世界の中での自己満足の釣りをただ繰り返してきたことこそが、ちょっとした条件の変化に対応できない最大の理由だと十分に承知している

 ”井の中の蛙、大海を知らず”
 
 帰り支度をしている時、そんな戒めの言葉が一瞬脳裏に浮かんだ。が、今度はハナで笑って車を走らせた

 『カエルで結構。海にはアマゴもイワナもいないんだよ』 
 小さな池に住んでいるカエルの人生(?)が、つまらないものだとは限らない
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*today's tackle
rod:George Selvin Marriyat 8'00 #2 (SMITH)
reel:Marriyat CMR 3/4 (SMITH)


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by taros_magazine | 2006-03-21 01:20 | fly fishing diary
You Can't Always Get …
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 冷たい雨の中で繰り返すキャストも、もう限界だった
 
 久しぶりとなる友人との釣行は、ここ数日の陽気がウソのような冷え込みと、一向にその姿を見せてくれない魚たちに、完全にノックアウトされてしまった
 
 追加放流日翌日、日曜日の昼前、そしてみぞれのような冷たい雨…

c0041105_056317.jpg どれも出掛ける前からわかっていたハズの”釣れない条件”だった

 でも、何故か妙な自信を持ってこの川にやってきていた
 「先行者がいようと、雨だろうと、何匹かは釣れるんじゃないかな…」
 入渓前、そんな気持ちで橋の上から流れを見つめていたとき、「ま、結構いいコンディションだよ」などという軽口までたたいていた

 先行者の足跡を見ても、次第に強くなる雨脚にも、その”慢心”は揺るぎなかった
 雨粒に打たれながらドリフトするフライを見ては、そこに飛沫の上がる瞬間がすぐにやってくるような気がしていた

 小さな堰堤を越え、かつて尺近いアマゴが何匹も泳いでいた淵を渡り、滑り台のような滝をよじ登り、ブッシュをくぐりながらも、”その時”がくることを疑わなかった

c0041105_0565190.jpg しかしその先にある大きな堰堤が見えたとき、まるで体中の熱が奪われたかのように急激に寒さを感じた
 釣り上がりの終点となるその堰堤の下の淵で何度かキャストしてみたが、一投ごとに集中力が失われていくのがはっきりとわかった

 ここに堰堤があることなんてわかっていた
 でも、この巨大なコンクリートの壁を前にしたとき、この日のこれまでの妙な自信は粉々に吹き飛んだ
 
 ここから林道に上がることはできないため、その”壁”に背を向けて、敗走するかのように、今上がってきた谷を戻った…

 同じような釣果だった友人との、帰りの車中での話題は釣りではなく来月のローリング・ストーンズの名古屋公演のものだった
 車内の液晶モニターには、彼らの81年のライブが流れていた

 ”欲しいモノがいつも手に入るとは限らないさ”

 そう歌うミックとキースの姿が、そこには映し出されていた

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*today's tackle
rod:Freestone XT 8'08 #3 (Shimano)
reel:TR-L SOLID (abel)


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by taros_magazine | 2006-03-15 01:04 | fly fishing diary
定義
 
 なぜこれほど悔しいのだろう…
 あんなにいい釣りだったのに、なぜこんなに落胆しているのだろう…
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 この日は、この時期としては(自分としては)異例の調子よさだった
 先行者と思われる足跡こそ確認できたものの、この渓ならどんな小さなポイントからでもイワナやアマゴが飛び出す可能性があることを知っている
 よどんでいるような小さな”筋”、水深10センチにも満たないような”瀬”、そして壊れた排水溝の脇の”プール”…
 どれも他の川なら、里川がメインフィールドの自分でさえもパスしてしまうような”ただの水溜り”だけど、この渓に関しては『何が飛び出すかわからない』とても魅力的な一級ポイントだ
 
 そんな”玉手箱”のようなポイントからは、この日も小さいながらも何匹ものアマゴが飛び出した

c0041105_0242216.jpg そして、あの排水溝脇のプール…1段高くなっているその排水溝は、水面がちょうど自分の目線と同じになる…を慎重に覗き込むと、それこそ目と鼻の先で、何匹ものアマゴが水面で羽ばたく獲物を捕食していた
 いつもはベストの肥やしとなっているミッジ用のフライボックスを取り出し、かすかに震える指先でティペットに結ぶ
 1匹、2匹とワンキャストでヒットし3匹目をバラした後、その”超一級ポイント”はまた”ただの水溜り”に戻っていった
 
 午後からはさらに上流の支流を目指した
 砂防ダムが吐き出す富栄養化した水と、ほとりに建つ飲食店の排水で、その乏しい水量をかろうじて維持しているその谷は、多くの釣り人で賑わうこの水系の中でも、めったに入渓する人を見ない流れだ
 でも、雨が続いた後のほんの一時期にだけ、信じられないような釣果をもたらしてくれることを昨年の何度かの釣行で知っていた
 
c0041105_0261674.jpg 竹藪を抜け、大きな木が作り出す緑のトンネルをくぐり、蛇行した細い流れを越えると、目の前に現れたのはどんな有名河川にもひけを取らない輝いた流れだった
 すぐにグッドサイズのイワナが飛び出した
 そしてその後にさらに重い手応えがあった
 下流に引き寄せ、ランディングネットに誘導しようとして驚いた。「デカい…尺アマゴだ!」
 今日の釣りを締めくくるにふさわしい、最高のエンディング…

 しかしファイトはまだ終わっていなかった 
 浅瀬にネットを横たえ、カメラを取り出そうとしたとき、その銀色の巨体は身をよじらせてネットを飛び出し、流れに返っていってしまった…

 ”釣り”は何をもって完結とするのだろう?
 ネットに収めること?その姿を写真に撮ること?それとも…
 ただひとつ言えることは、春の陽気に包まれた川原でのランチの際に感じた幸福感が、帰りにはすっかり消え去っていた、ということだ
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*today's tackle
rod:Factory Haru 8'07 #3 , PETERS ROAD PAYTO 8'02 #2 (mamiya-OP)
reel:Halcyone babytrout (KIRAKU) , PETERS ROAD PAYTO 3/4 (mamiya-OP)

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by taros_magazine | 2006-03-09 00:38 | fly fishing diary
4500rpm
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 その日はすごく”乗れて”いた
 いや、実際にはオートバイの操縦技術なんて日ごとにそう変わるものじゃない。きっと”乗れている”と感じてしまっただけだろうけど…

 最近はバイクといえば小排気量のオフロードバイクか、通勤用のビジネスバイクにばかり乗っていたため、久しぶりに乗るリッターバイクのパワーとロードタイヤのグリップに、いつしか陶酔していた

 走り出して最初の交差点を曲がったとき、『今日はイケる』とわかった
 アクセルコントロール、ブレーキング、ライン取り…すべてが気持ち良く調和し、いつもなら4500回転あたりで心地よく感じるマシンの振動と排気音も、この日は6000回転を越えてからのそれが最高に気持ちよく響いた

 やがて県境を越え、小さな丘を越える農道にさしかかった

 20歳の頃には毎週…いや、週に何回も走っていたワインディング。登り始めの長いストレートで前を走っていたトラックを抜くと、目の前にはクリアなコースだけがあった

 右、左、グレーチングの排水路、右、左…
 あの頃…目の前にいる車なら、2輪4輪を問わずつっかかっていった頃のように、激しいリズムを刻んでカーブを抜けていく

 そして短いストレートにさしかかったとき、一瞬アドレナリンの分泌が止まった
 『おかしい…調子が良すぎる…』

 20年前なら躊躇せず、そのまま突っ込んでいっただろうその先にある右、左、左の3連…
 でも、こんな日に限って”良くない事”があるということを、この20年で何度も経験した

 雨がパラつき始めたサーキットで、自己ベストを狙ってマシンを大破させたこと…
 最新のマシンに乗る友人をチギった直後にコースアウトしてガードレールに突っ込んだこと…
 そして何より、スカイラインの丸いテールランプを追いかけて、この先の右で友人の車を廃車にしてしまったこと…

 結局、そのカーブのはるか手前でアクセルを戻し、ゆっくりと右から左へと切り返そうとしたとき、視界に飛び込んできたのは道路幅いっぱいに撒かれた大量の赤土だった…

 その後、下り坂のストレートをゆっくりゆっくりと走っていった
 さっきまでの高揚感はなくなってしまったけれど、なぜかとても満ち足りた気分だった

 タコメーターは4500回転を示していた


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by taros_magazine | 2006-03-06 23:45 | motorcycle diary