<   2005年 08月 ( 6 )   > この月の画像一覧
思い出の川
 
 自分が普段、せっせと通っているのはこんな川である
c0041105_23164115.jpg

 およそ良識あるフライフィッシャーなら通り過ぎるか、あるいは避けて通るようなところかもしれないし、環境に詳しいフライフィッシャーなら、もしかしたら「こんな川にサカナだけ放流して、生態系を…」などと漁協に怒鳴り込むかもしれないようなところだ

c0041105_23204396.jpg いつしかこんな川で釣りをすることに何の抵抗も感じなくなっていた
 もちろん、阿寒川のような美しい景色の中でキャストするのはとても気持ちよかったし、西野川のような広い川原でのんびりとライズを待つのも楽しいと思う
 でも、たいして大きなアマゴが釣れるわけでもなく、数が出るわけでもなく、すぐ脇には幹線国道が走り、延々と両岸護岸された水路のような川で過ごす1日が、とても心地よいものになっていたのである

 今日も、この根羽川で午前中を過ごした

 前夜の雨が刺激となったのか、いつもよりちょっとだけ大きめのアマゴが何匹か顔を見せてくれ、今日も気持ちよく釣りを終えるハズだったが…
 
 帰り支度をしようとして気が付いた。家を出るときにフライをセットしたままのロッドが1本、まだ使われずに車に載っていた

c0041105_2334521.jpg 「大名倉に行ってみよう」

 およそ2ヶ月ぶりの寒狭川。それも大名倉地区となると、ほぼ4ヶ月ぶりだった
 
 自分が初めてフライフィッシングというものを体験した”思い出の川”。その寒狭上流屈指の清流として人気の大名倉は、この日本流との出会いから源流部近くまで、釣り人と思われる車は皆無だった

 川に入ってすぐに、ある種の違和感が身体にまとわりついてきた

 渓をせき止めるように横たわる何本もの巨木、灰色に変色した石垢、何年も放置されている川底に沈んだビニールシート…
 ここには真新しい護岸も、トラックがひっきりなしに走る国道もないけれど、根羽川よりも遙かに濃密な不快感が漂っていた

c0041105_23504371.jpg もうやめようと思い、フライをピックアップすると、ロッドに振動が伝わってきた
 ティペットの先には、22~3センチのイワナが食いついていた
 ネットに収まったイワナをしばし呆然と見つめていると、なぜかちょっと笑ったように見えた
 
 ようやく落ち着いた気持ちになり、川沿いの道を家へと急ぐと、人気ポイントの入渓点に1台のワンボックスが止まっていた

 「イブニングまで粘るのかな?」…
 車の回りでは、作業服姿の男性が3人…うち1人が持っていたのは『測量中』と書かれた大きな看板だった

 ダムに沈む”思い出の川”
 
 その現実を認めたくなくて、この川を避けているのかもしれない


*today's tackle
rod:Rightstaff 7'10 #2 (CFF) , FREESTONE FS 8'00 #3 (Shimano)
reel:CT 2/3 (Redhigton) , Caprice miu SG-1 (GRAIN)

   taro's magazine main site …  

 
[PR]
by taros_magazine | 2005-08-31 23:59 | fly fishing diary
Cross Road (motoGP 2005' チェコGP)
 
 ロッシは怒っていた
 思うように進まないセットアップに、実力差の出にくいサーキットに、そしてセッションのたびにゾロゾロと付いてくる”金魚のフン”に…
 フロントロウさえも逃した予選終了直後、いつもの軽快さを微塵も感じさせない暴力的なウィリーは、決してファンサービスなどではなく、やり場のない怒りを爆発させるかのような激しいものだった
c0041105_20171782.jpg

 ジベルノーは意外なほど落ち着きはらっていた
 今シーズン未だ勝利ナシ。しかしサマーブレイク明けのこのブルノで、彼の強さは際だっていた
 決して破綻を感じさせないスムーズかつキレのある走りを取り戻した彼は、予選でも狙い通りにトップタイムをたたき出し、決勝前のウォームアップでも誰よりも速いペースで何周も走り続けた
 
 その対照的な週末を過ごした二人が、決勝レースについては同じような展望を語った
 「きっと混戦になる」

 レースが始まっても、ロッシの怒りはおさまってはいないようだった
 何度もジベルノーのマシンをかすめるように、ときには接触しながらのオーバーテイクを繰り返す。ジベルノーの前に出ても突き放せず、むしろペースを乱して再びかわされる姿は、まるで彼の心理状態を表しているかのようだった

 そんなロッシの”挑発”にもかかわらず、ジベルノーは冷静だった
 強引に突っ込まれることを承知していながらも、あえてインを抑えるようなラインを通らず、大きなラインで自分のペースを守る。前で後ろで、さかんに仕掛けどころを探すロッシを気にも留めず、タイヤの消耗を抑えた走りを心がけているようだった

 その2人を1~2秒差で伺うカピロッシ、ヘイデン、ビアッジ、バロスら…一見、久しぶりの大混戦だが、これを予想していた前を行く2人だけは、このレースが”2人のマッチレース”であることを本当は見抜いていた

 ”勝負は最終ラップ”

 2人にとって、3位以下との差はコンマ5秒あれば充分だった
 どうせファイナルラップになれば誰もついてくることなどできないということを、この日の2人は暗黙のうちに共通理解としていたから…

 しかし最終ラップの残り半周を切ったところで、このレースウィークの運命が交差した
c0041105_20571834.jpg

 すべて順調に運んでいたジベルノーのマシンは息絶え、土壇場でセッティングを変えるほどもがいていたロッシがトップでチェッカーを受けた

 残酷なまでに対照的な両者のピットの風景、そして2人のライダーの姿…

 チームグレシーニを覆った突然の暗雲…しかし、その中に差し込んだ一筋の力強い光があることもまた事実だ
 「今日、一番”強かった”のはジベルノーだったと思うよ」
 ロッシがインタビューで語った言葉は、決して社交辞令でも敗者への気遣いでもないはずだ

 この日、ジベルノーは25ポイントを失ったが、ライダーとしての”輝き”とライバルからの”尊敬”の2つを取り戻したのだ
c0041105_20562266.jpg


   taro's magazine main site …
[PR]
by taros_magazine | 2005-08-29 21:23 | motorcycle diary
ワクワク
c0041105_2110579.jpg
 高校生のとき、体育の授業で大嫌いな長距離走がある日なのに、朝からワクワクしていたことがあった
 苦痛なだけの3,000メートル…それを“待ち遠しい”とさえ思わせたのは、買ったばかりのナイキのコルテッツだった
 ずっと欲しかった靴を“実戦投入”できるという高揚感が、3,000メートルを走るという苦痛をいとも簡単に吹き飛ばしてしまい、易々と自己ベストをたたき出したのだった

 本来大嫌いな長距離走でコレである。もともと好きな“フライ・フィッシング”なら、その“ワクワク感”たるやもはや測定不能であることは想像に難くない

 ということで、新しいフライベストと新しいランディングネットで迎えるこの日は、たとえどんなに釣果がショボくても、天気が悪くても“ワクワクする日”になることは、出かける前から約束されていた

c0041105_21105753.jpg 案の定、天気予報に反して道中は土砂降りだった
 普段なら釣りをあきらめて引き返してしまいそうなほどの激しい雨。それでも何の迷いもなく小さな里川を目指した

 その甲斐あって、夜明けとほぼ同時に雨は上がった
 曇天、無風、回復した水量、そして誰もいない川…

 もう、自分でも訳がわからないほどボルテージが上がっていく。同時に、見慣れた川のあらゆるポイントに、大きな渓魚が潜んでいるのでは…という確信が芽生えてくる

 太い蜘蛛の巣も、伸び放題の葦も、大雨で流されてきた流木もまったく苦にならない。ただひたすら、心地よいリズムでキャストを繰り返した
 
 やがて狙ったラインから思い通りにアマゴが何度も飛び出した
 真新しいランディングネットに横たわるアマゴは、どれも普段の何倍も艶やかに見えた

c0041105_21175090.jpgc0041105_21175970.jpg








                                                           

 これで完璧な”入魂”の1日になるハズだったのだが…

 「もう少し…」と欲張って入った川。何匹か良い型のアマゴを釣った後、ややフラットな流れにさしかかったところでラインを引き出そうとしたが…『あれ…ラインが出ない…』
 
 ドラグ調整ノブが外れて無くなっていて、飛び出したボルトがスプールに引っ掛かっていたのだった

 回らないリールを呆然と見つめる
 充実感に満ちていた1日だったのに、一瞬にして後悔が押し寄せる
 『あぁ…あそこでやめときゃ良かった…』

c0041105_21464126.jpg 半ばヤケクソで、短いラインを目の前の流れにキャストする
 ”バシャ!” 水面を割ったのはこの日1番の大きなアマゴだった

 川から上がり、林道を歩きながら思う 『今度はどんなリールを買おうカナ…』
 
 そんなことを考えているうちに、またワクワクしてきてしまった
 



*today's tackle
rod:EUFLEX XFP 6'09 #3 (TIEMCO) , FREESTONE FS 8'03 #3 (Shimano)
reel:CANTATA 2200 (UFM ueda) , Setter Classic 1 (Caps)

   taro's magazine main site …
[PR]
by taros_magazine | 2005-08-19 21:58 | fly fishing diary
楽しみにしていた1日
 
 人は何を求めて釣りをするのか?

 いきなり大袈裟な”テーマ”を掲げてしまったが、そんなコトは余計なお世話というものだろう
 純粋に「魚が好き」という人もいれば、河川環境や生物学的な興味から”捕獲”している人もいるかもしれない
 あるいは「釣ったサカナを自慢したい」という典型的(?)な”釣り師”もいれば、「水遊び!」というお気楽な人もいるだろう 

 ただ、興味や動機は人それぞれであるかもしれないけど、本質的な部分…なんというか、脳ミソのどっかに訴えかける部分は同じだと思う

 それは”楽しいから”釣りをしている、ということだ

c0041105_20562892.jpg 趣味全般に言えることかもしれないが、それが”楽しい”から何百キロも彼方へ山ほどの荷物を持って行ったり、険しい山道を何時間も登ったり下りたり、真冬に何時間も腰まで水に漬かったりできるのだ

 今日も、そんな”楽しさ”を求めて根羽川へ出掛けた
 
 ここ最近何度も足を運んだ下伊那や木曽川の河川に比べれば、釣れる魚のサイズも数も比較にならないかもしれないけど、おいしいソバ屋と温泉があって、のどかな田園風景があって、そして何より車で1時間半という距離が理由で自分の”フェイバリット・リバー”となっているところだ

 いつものポイントはすっかり減水していて驚いたけれど、今日も小さいながらも美しい艶のアマゴが何匹か顔を見せてくれ、自分の”ささやかな楽しみ”を満たしてくれる…はずだった

 それは、次のポイントへ移動すべく車に乗り込もうとしたときだった

 反対車線に停車した軽トラックの運転席から、なにやら話しかけてくる声が聞こえた
 タバコをくわえ、ウィンドウに右肘を乗せ、やぶにらみ気味にこちらを見ている初老の男…

c0041105_21313284.jpg あまりにその態度が横柄だったので、自分も「はぁ?」と思いっきり不機嫌な表情で聞き返した
 
 一瞬の間を置き、その男は「鑑札は?」とぶっきらぼうに言った

  僕は身体を反転させ、フライベストの背中にぶら下げている年券を一瞬だけ見せた
 『そんなに確認したかったら車から降りてこい』という無言の意思表示のつもりで…

 男は怪訝そうな表情を浮かべながらも、走り去っていった

 もうこれ以上、根羽川で釣りをする気にはなれなかった
 別の漁協の管内へ移動した後も、このことが引っ掛かったままで心から楽しむことはできず、降り出した雨が”通り雨”だとわかっていても、納竿を決意した

 自分は渓流に魚を買いに来ているのではない。釣りを楽しみに来ているのだ
 そのために”遊漁”証をあなたの漁協から購入しているのだ

 こんなことはきっとないだろうが、もしこの記事を見ることがあったら僕に謝ってほしい
 あなたは僕が楽しみにしていた1日を台無しにしたのだから…

c0041105_2224016.jpg
   

*today's tackle
rod:Cremona 7'11 #3 (coatac) , ELNOA 8'01 #3 (KEN Craft)
reel:MARQUIS 2/3 (HARDY) , RIVER BLEEZE 3/4 (KEN Craft)

   taro's magazine main site …
[PR]
by taros_magazine | 2005-08-10 22:20 | fly fishing diary
お約束 ( motoGP 2005' ドイツGP )
c0041105_22381149.jpg
 レースを見終わった後、「あぁ、なんかどこかで見たようなレース展開だったなぁ…」なんて思うことがたまにある

 そんなときは、「あー、そうそう。89年のスペインだよ!」とか、結構思い出せるもんなんだけど、今回のジベルノーの最終ラップのオーバーランは…どこかで見た気がするんだけど思い出せない
 
c0041105_22422749.jpg 何故か?
 それは、あまりにも似たようなシチュエーションが多すぎて、何時のドコのレースだかわからなくなってるからだ

 もうジベルノーが前、ロッシが後ろで残り3ラップくらいになってからは、ずーっと「いつジベはオーバーランするんだろう?」と思って見てた
 「ロッシが差す」ではない。ジベルノーの自爆を確信をもって見てた

 おもしろいことに、テレビで解説してた青木琢磨も、最終ラップに入るときに同じようなコトを言っていた
 「後ろを見なくても…」みたいな口調だったが、あきらかに精神的に追いつめられたセテの破綻を予言してた

c0041105_22441233.jpg いったい、この勝負弱さは何なんだろう?
 レース結果だけ見れば、それでもホンダのトップ。ここ数年の実績でも、ホンダの”エース”であることは間違いない速さを持っているのに…
 
 いままでも肝心なところでコケるライダーはたくさんいた。91年ごろまでのシュワンツ、250時代のカピロッシ、8耐の宇川、伊藤…
 それでも、彼らはそれを糧に強さを身につけたし、そもそも”攻めて”のクラッシュだ

 ジベルノーについて、これまで”得体の知れない速さ”と表現してきたけど、今彼に一番必要なのは、”確固たる強さ”だ 
 そして、それを得るためにしなければならないこと…それは”攻め続ける”こと
 
 その最高の手本が、手を伸ばせば届くところにいるのだから…
c0041105_22425717.jpg



  taro's magazine main site …
 
 
[PR]
by taros_magazine | 2005-08-02 00:00 | motorcycle diary
時代は変わる (2005 鈴鹿8時間耐久ロ-ドレース)

 「8時間耐久レース」は、その役目を終えたと思う

 新婚旅行のメッカとしての熱海や、バブル景気の象徴としてのジュリアナ東京と同じように、日本の”バイクブーム”の頂点としての8耐は、これで完全に終わったと思う

c0041105_21493619.jpg
  名物であったはずの”ドラマ”があまりにも少なかったから?GPライダーに鼻であしらわれるようになったから?それとも目一杯水増ししても全盛期の半分以下の入場者数だから…?

ハッキリしてるのは、鈴鹿に足を運んだファンの意識が、もはや”祭り”とか”感動”というモノから離れているという事実と、それにもかかわらず『真夏の祭典』で『感動の花火』とかという方向でしか盛り上げ方を知らない運営サイド(一部のエントラントも含む)との溝の果てしない深さである

 今回のレースでいちばんショックだったのは、ヨシムラのクラッシュでも、北川のペナルティでもなく、転倒してピットに戻ってきた岡田忠之の”笑顔”だった

c0041105_21502844.jpg  かつて世界GPの頂点で闘い、今やHRCを率いる立場にいる者が、耐久レースの最中に自ら犯したミスによる修復作業のさなかで、笑顔でインタビューに応じる…

 もちろん、多少の”照れ”と「どうせガチンコじゃ勝負にならない。見せ場を作らなきゃね」という心理が作らせた笑顔だろうけど、少なくとも自分が「世界の岡田」に期待していたのは、昇格したての若いライダーのようなNO FEARな速さではなく、舌を巻くような”強さ”だった

 『お祭り』として楽しんでいるライダーと、『レース』を見に来ている観客
 かつて奇跡の上に奇跡を重ねて両立していた需要と供給は、重ねた年月の分だけ…正確には観客がとった年の分だけバランスを崩し、くしくも多くのバイク雑誌が”8耐再生論”を企画した2005年夏、それは完全に崩壊した

c0041105_21505035.jpg ”ハチタイ”が、ライダーとチームの純粋な力のぶつかり合いとしてレースを見せてくれるその日まで、自分はもう夏の鈴鹿へ足を運ぶことはないだろう

 徳留や出口、それに清成が見せてくれた魂の走りが、多くのライダーと関係者の心を動かすことを期待して…


   taro's magazine main site …
[PR]
by taros_magazine | 2005-08-01 21:54 | motorcycle diary