カテゴリ:fly fishing diary( 123 )
言い訳
 
 『同じタックルのエキスパートの方と同行すると、ホントにいろいろ考えさせられますよね…”道具が悪い”という言い訳を封印せざるを得ないツラい状況になることもしばしばです』
 
 リンクさせていただいているita-gonさんのブログにこんなコメントをしたのは土曜日の夜のことだった

c0041105_2156144.jpg そのわずか数時間後、自分はまったく同じロッドを使うエキスパート・フライフィッシャーのわずか数メートル横で、同じ毛鉤を使い、同じようなラインシステムで、一週間前に解禁となった宇連川のプールて並んで釣りをすることになった

 そして釣り初めてからほんの数分のうちに、前夜自らコメントした”言い訳できない”状況に陥った

 元気の良いレインボーを皮切りに、良型のアマゴを次から次へとヒットし続けるライズさん
 一方の自分は、最初の1匹をバラしてしまった後はただの1匹もランディングすることができない

 移動した先でも、まるでリプレイを見るようだった
 第一投、そして二投目と息つく間もなくロッドをしならせるライズさんの傍らで、またしても自分は序盤に1匹をバラしたのが最初で最後のフッキングだった…
 
 タックルがどうのこうのとか、ラインシステムうんぬんというレベルでは到底理由付けできない、完膚無きまでのウデの差…

c0041105_21563010.jpg 考えてみれば、一日中一人で釣り上がっていた頃にはそんな体験などするはずもなく、自分のウデでも出てくれる心優しい渓魚に遊んでもらっていただけだったんだろう
 反応がなければ『魚がいねー』、ライズが獲れないときには『マッチするフライを持ってないし…』なんて言ってきたことも、心のどこかでは”言い訳”だって分かっていた

 何人かで並んで竿を出す機会が増えたことにより、ハッキリと自分のレベルを見せつけられることが多くなったこの数年…

 でも、 そんなにヘコんでるわけじゃない
 釣るまでの過程も楽しめるのがフライフィッシング。だから自分には、まだタップリと”楽しむ余地”があるってコトだから…

 あ、もしかしてコレも言い訳?


*other side …
輝ける沢の辺で』(by Mr,Rise)

*today's tackle  
rod:Rightstaff 8'10 #2 (CFF)
reel:setter classic1 (Caps)

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by taros_magazine | 2007-03-06 22:06 | fly fishing diary
報い
 
 寒狭上流の解禁日…毎年その日、決まって天に祈ることがある
 『どうか大雨が降りますように… ガンガンに冷え込みますように… 』

 この管内では、解禁初日はフライ(ルアー)は禁止となっている
 ところが今年は”フライ・ルアー専用区”なるものが設置されると聞き一瞬腰が浮いたが、その内情…前年に禁止の件を知らずに入漁券を購入し、釣ろうとしたルアーマンが他の釣り客および漁協とトラブったための緊急避難的対応…を知り、やはりいつものように自宅でテルテル坊主を逆さ吊りして過ごすことにした

c0041105_194174.jpg そして解禁日は見事に雨だった
 前日から三河山間部に降り続いた雨は、保水力の乏しい山林を駆け下り、濁流となって寒狭上流に流れ込んだ
 前日に河原に突き刺さっていた何本もの”場所取り棒”もあっけなく流され、大増水した本流での釣果は非常に厳しいものだったと地元紙は報じていた

 この結果に、自分は手放しで喜んだ
 リリース派が圧倒的に少ない東三河のこの渓では、大勢の釣り人がクーラーボックスを抱えて集まってくる解禁初日の天候が、その後9月末までの釣りを大きく左右する”はず”だからだ
 
 自分の性格の悪さに呆れながらも「これで今年は良い年になる…」と思っていた。この時までは…

 解禁から2日後、選んだポイントは増水の治まった本流区間だった
 ここ数年、橋から確認できなかった魚影が、この日はいくつも見えた。フッキングこそしなかったものの、ファーストキャストでアマゴが出迎えてくれた

 何度かの惜しいやりとりの後、およそ5ヶ月ぶりに寒狭上流のアマゴをキャッチした
 至福の瞬間を迎えたはずだったが、やや銀化したそのアマゴの表情はとても怒っているように見え困惑した

c0041105_191159.jpg 理由はすぐにわかった
 
 すぐにフライを外したはずのそのアマゴの口には、別の鉤が残されていたのだ
 フォーセップで外そうとしたが途中で折れてしまい、結局完全には外せないままリリースしてしまった
  
 気分を変えようとお気に入りの支流に向かった
 ところが、入渓して様子がおかしいことに気づいた
 水量も透明度も相変わらずなのに、何かが違う…

 それは魚の気配だった
 
 小さいながらも、イキの良い美しいアマゴが春先からドライに反応してくれるはずのこの渓に、まったく魚の気配がないのである

 いつも何匹もがクルージングしている浅いプールも、完全に釣り人をナメきって定位している木の下の淵にも魚の姿はなかった

 そのとき、解禁日の様子を報じていた新聞記事の一節を思い出した
 『増水した本流を避け、支流を選んだ○○さんは好釣果を…』

 
 やがて、ネット上でも寒狭上流での釣行記がアップされだした
 そのどれもが”支流”や”上流部”での釣果を誇らしげに掲載していた
 中には、腹を割かれたピレピンの小型アマゴをプラケースに山盛りにした画像もあった

 猛烈に腹が立った
 小型アマゴまでもキープする釣り人に…ではなく、解禁日の雨を、増水を願い、そして大喜びしていた自分に…

c0041105_110261.jpg 結局、悪天候は成魚放流のない支流や自然繁殖で種を保っている上流部へ”キープしたくてたまらない釣り人”を誘導しただけだったのだ
 そして、ここで10何年も釣りをしていながら、そんなことにすら自分は気づいていなかったのだ…

 この支流に魚影が戻ってくるまでどれくらいの時間がかかるのか?もしかしたら、もう二度とそんな時は来ないんじゃないだろうか?
 解禁日、多くの釣り人の不幸を願った”報い”がこれなのだろうか?

*today's tackle
rod:"fujimaki"Special 8'07 #3 (Factory Haru)
reel:Halcyone baby trout (KIRAKU)

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by taros_magazine | 2007-02-24 01:14 | fly fishing diary
寒狭川

 少なくとも、自分のまわりで”寒狭川”と言えば、それは大名倉や当貝津…つまり寒狭川上流漁協の管内のことである
 しかし多くのフライフィッシャー…それも全国の名だたる名川をフィールドとしている人たち…にとっては、その名は広見ヤナ上の流れや、その下流の大きくカーブしたプールで渋いライズを繰り返すシラメをイメージさせる言葉だという

c0041105_22393367.jpg 寒狭川中部漁協がこうした”名声”を獲得したのは、言うまでもなく”フライ・ルアー専用区”の設置によるものだ
 著名なフライフィッシャーが足を運び、シラメの渋いライズに一喜一憂するシーンはテレビや雑誌でも何度となく取り上げられ、今では長良川と並ぶ2月解禁河川の風物詩となっている

 これまではこうした評判に対し、自分は機会があるごとに『上流の方が絶対にいい釣り場だよ』と主張してきた

 『大名倉の方が渓相は抜群にいいし、魚影も型も当貝津あたりの方が絶対に期待できるのに、何でわざわざ遠くからあんなトコロに…』

 その自分が、3週連続でこのプールに立ち、9xのティペットでシラメと格闘することとなった
 そして、3回目にしてついに寒狭中部名物の”ゼロ釣法”ならぬ”ゼロ釣果”を味わうことになった

 でも、不思議なほど落胆していなかった
 考えてみれば、これこそが自分がイメージしていた”寒狭川中部”なのである
 立ち並ぶフライフィッシャーやルアーマンの中で、スレきったシラメを相手にラインを可能な限り細くし、フライを取っ替えひっ替えしてなんとか仕留めようとするも、最後の最後にフラれる…
 その一方で、確かな技術と戦略を持ったエキスパートが次々とヒットを繰り返す…
 まさに、フライにハマりつつあった頃に雑誌で読んだとおりの光景だった

c0041105_22564529.jpg この日、広見ヤナのプールの水面は、あの頃から技術的にも戦略的にもちっとも進歩していない自分の姿を映す鏡のようだった
 そういった意味で、新しいシーズンを迎えるこの時期に寒狭川中部で半月を過ごしたことは、とても意味深いものだったと思う

 そんな中、ひとつだけ”確実に進歩した”と感じることもあった
 
 それは、釣りを楽しむ、ということ…
 
 仲間たちと並んで竿を出し、バレた釣れたと嬌声を上げる。ランチタイムでも話題は尽きず、持ち寄った料理や、ときには美酒に酔う…

 そんな”大いなる進化”も確認できたこの半月だった
 そして今、季節も気持も自分にとっての本当の”寒狭川”…寒狭川上流へと向かっていくことを強く感じている
 
 この日仲間から頂くことになったお酒を味わいながら…
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 *other side …
一から出直し修行的毛鉤釣』(by Mr,godzilla2004)
Step into the river』(by Mr,BILL)

*today's tackle
rod:G2 8'08 #4 (Scott) , FREESTONE XT 8'08 #3 (Shimano)
reel:CMR 3/4 (Marryat) , TR-L Solid (Abel)

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by taros_magazine | 2007-02-19 22:50 | fly fishing diary
c0041105_2273459.jpg
 2月のこの時期になると、自宅からほど近い界隈が俄に活気づく
 赤鬼、青鬼、そして天狗…1000年以上の歴史と伝統を誇る”鬼祭”に向けて、各町内が日毎に熱気を帯びてくるからだ

 自分も以前、ちょっと関わったことがあったのだが、その時古参の役員が言った”注意事項”がどうにも引っ掛かった
 『みんな興奮してますから、行列に不用意に近づくと殴られるかもしれませんので気を付けてください』
 
 ”それは違うだろう…人を殴るのは祭りで興奮とかじゃなく、横暴なだけの輩がそれを口実にしているだけの暴力だろうに…”
 祭自体はキライじゃない。でも、それに乗じて暴れるのを楽しみにしている連中がいるような気がして、それ以来鬼祭を見に行っても、どうにも心から楽しめなくなっていた

c0041105_2284721.jpg 解禁の”お祭り騒ぎ”から1週間。寒狭川中部は相変わらず賑わっていた。
 細い道路は夜明け前から4駆やワゴン車で渋滞し、薄暗いうちからプールには何人もの釣り人が陣取っていた

 「解禁だから」という理由だけで、そんな”祭り”の中に身を置くことをこれまでは思いっきり避けていた
 人の視線を気にしながらキャストするのもイヤだし、ライズを他の釣り人と奪い合うようなこともしたくなかった
 
 しかし1週間前に経験した2カ所の”お祭り”は、意外なほど"friendly"だった
 橋の上から右だ左だと”コーチング”してくれる地元のオヤジ連中や、目が合えばニヤリと笑顔を返してくれる餌釣り師、そして丸見えながらもナカナカに賢いアマゴたち…

c0041105_22192249.jpg そんな雰囲気に身をゆだねているうちに、自分が狙っていたライズ目がけて対岸の堤防から垂らしてきたエサ釣りのラインと”オマツリ”した時も、『あー、ちょっとまって…ハイ、取れましたよ!』などと自然に対応するようになっていた

 2週続けて訪れることになったこの日の寒狭川も、例によって至る所でルアーやテンカラ、それにもちろん多くのフライフィッシャーが狭い間隔で竿を振っていた
 時には絡みそうになり、ときにはライズを奪い合いながら…

 結局、”祭り”とか”争い”とかじゃなく、”ただの釣り”なんだと思った
 
 川が流れていて、魚がいて、それを釣るためにやってくる…
 そのことが楽しければ、それでいいんじゃないかと思った

 そして、石徹白でライズを狙うときのように、前日放流された魚を相手にフライボックスをかき漁り、細いラインで狙い続けた…
 あれほど避けていた寒狭中部で、その解禁直後のフィールドで…

c0041105_2291464.jpg そして豊橋の街では盛大に鬼祭が開催された
 たまたま近所に買い物に出掛けたとき、青鬼の行列に出くわした

 『すみませーん、ちょっと止まってくださーい…ハイ、ご協力ありがとうございます!』
 行列の最後尾で交通整理をしていた役員の人は、丁寧に一礼しタンキリ飴を1袋くれた

 きっと、今度から鬼祭も心から楽しめるだろうと思った


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輝ける沢の辺で』(by Mr,Rise)
釣り三昧・猫三昧』(by Mr,NENEKO)

*today's tackle  
rod:Rightstaff 7'10 #3 (CFF)
reel:CT 3/4 (Redington)

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by taros_magazine | 2007-02-13 22:21 | fly fishing diary
銀鱗
 
 もうすっかり記憶が薄れてしまっている”幼稚園時代”のコト…その中で、未だにはっきりと覚えていることがある

 それは『お絵かき』の時間だった

 何がテーマだったかなんて覚えてはいないけれど、自分は新幹線と、山と、太陽を描いていた
 そしてまわりの子も似たり寄ったりの構図の絵を描いていた

 でも、自分の絵だけがまわりの子たちと違う部分が一カ所あった
 それは太陽を塗った”色”だった

 皆、赤色で鮮やかに丸を描いていたのに、自分だけが黄色で塗っていた
 『ねぇ、なんで赤く塗るの?太陽って赤くないじゃん?』
 『太陽は赤いんだよ』

 でも、何度空を見上げても太陽は黄色…せいぜいオレンジ色にしか見えなかった
c0041105_115095.jpg
 
 この季節になると、スポーツ新聞はもちろん、一般紙でも渓流釣りの解禁の模様を報じることが多い
 そして、決まり文句のように”銀鱗踊る季節…”などの文字が紙面に躍ることとなる

 しかし自分がこの季節の渓で出会う魚たちは、サビの残ったような魚体であることが多いせいか、この”銀鱗”という表現にいつも違和感を抱いていた
 それにイワナならどうみても”銀色”ではないだろうし、レインボーならそれこそ”虹色”だ

 結局、誰かが言いはじめた”決まり事”として、渓流釣りを体よく何となく綺麗にまとまるフレーズとして、”魚は銀色”と決めているような気がしていた
 
 フライフィッシングを始めて10数年、この日初めて寒狭川中部漁協の解禁に出掛けた
 何年か前から設定された”フライ・ルアー専用区”で一躍全国区になったこのフィールドまで、普通に車で走っても自宅から1時間はかからない
 なのに、このエリアに足が向かなかった理由…そのひとつが、ここは良くも悪くも”銀鱗踊る…”というフレーズがピッタリなフィールド、という自分の偏見であった

c0041105_121035.jpg そこで手にした始めての”シラメ”…
 
 ほんの数キロ上流の寒狭川上流の支流に棲むアマゴとは明らかに違うその容姿を、角度を変えて何度も何度も見つめた。太陽の色を確かめようとした幼い日のように…

 やっぱり、銀色には見えなかった

 でも、これを銀色と言う人の気持ちも、ちょっとだけわかったような気がした


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輝ける沢の辺で』(by Mr,Rise)
大好き!管理釣り場』(by Mr,sammy)
釣り三昧・猫三昧』(by Mr,NENEKO)
アマゴ釣りの憂鬱』(by Mr,M's)

*today's tackle  
rod:Rightstaff 8'10 #3 (CFF)
reel:SK-CL (Caps)

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by taros_magazine | 2007-02-06 01:06 | fly fishing diary
やっぱり、解禁
c0041105_2244936.jpg 
 例年、解禁日には期待なんかしていない

 吐く息は白く煙り、指先は凍え、つま先の感覚はしだいに薄れていく
 そこまでして早春の渓の立っているというのに、魚の反応も決まって”冷ややか”なのが常だから…

 だから、負け惜しみでもなんでもなく、今年は『雰囲気を楽しもう!』と思った
 
 魚がウヨウヨいなくてもいい。三面護岸だって気にしない。それに、ほかの釣り人と並んでの釣りになっても、それはそれで『やっぱり…解禁らしくていいんじゃない?』と思った

 飛騨川の川岸に着いたのは9時過ぎ…細い橋の上から真下に向かって釣り糸を垂れているオヤジどもの姿に一瞬唖然とし、そして笑った
 『あはは!やっぱり解禁だ!』
 
 ラインの飛びがおかしいのに気づき、見上げたティップに光る氷を見て一瞬驚き、そしてやっぱり笑った
 『すげーよ、やっぱり解禁だよ!』

c0041105_22443098.jpg たたみ1畳ほどのよどみに群れている100匹ほどのアマゴの姿に、エサ釣り師やルアーマン、そしてこの日同行した仲間の何人かが堤防で並んで釣りに興じている光景に、そして彼らがひとつのライズめがけて一斉にロッドを向ける姿に、釣り人しか味わうことのできない”解禁の日”…その楽しさを感じられずにはいられなかった

 godzillaさん持参の最高の飲み物と、”ザ・chef”シャックマンさんがウデをふるった絶妙な鍋でエネルギーを充填し、午後は上流部を目指した

 そして日が陰りだした頃、自分が入っていた小さなプールでライズが散発しはじめると一気に緊張感に包まれてきた
 でも9Xのティペットに結ばれた小さなCDCパターンは、何度も一瞬だけアマゴの口を捕らえては、宙を舞ってまた手元に戻ってきた

 再び戻った下流部でも、結局1匹もランディングすることはできなかったけど、名古屋の街に戻って、ちょっとイイ雰囲気の赤チョウチンで仲間たちと釣り談義に花を咲かせ、解禁の日を最後まで満喫することができた…

 いつもの年と違った気持ちで迎えた渓流解禁の1日だったけど、まったく例年と同じだったコトがひとつだけあった

 それは釣果…
 『なんて言うか…やっぱり解禁だわ…』
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一から出直し修行的毛鉤釣』(by Mr,godzilla2004)
空色ライフ』(by Mr,Hiroshi)
Step into the river』(by Mr,BILL)

*today's tackle
rod:Cremona 7'11 #2/3 (Coatac)
reel:MARQUIS 2/3 (HARDY)

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by taros_magazine | 2007-02-05 22:54 | fly fishing diary
楽しいところ、楽しいこと
 
 とにかく、普通に釣りができればどこでもよかった
 トラウトと呼ばれる魚がいるであろう川の水面に向かって、フライをキャストできればそれでよかった…

 わずか1週間ほどの間に3度も黒いスーツを着たことで、意識はしていなくても自然と無口になっていた
 そんな中で訪れた久しぶりの休日。朝からただぼんやりとテレビを見て過ごしているとき、なんとなく”楽しいところ”へ行きたいと思った
 
c0041105_0551260.jpg 天竜のダム下の駐車場に着いたのは、もう11時を過ぎた頃だった
 川の両岸にはもう大勢の釣り人が立ち並んでいた

 いつもなら”イヤな予感”に目眩がしそうなこの光景だったけど、この日はそんな天竜の風景がちょっと嬉しかった
 暖冬とは言え1年で一番寒さの厳しいこの季節に、朝から釣りに興じる人たちが集まっている姿は、ここが”楽しいところ”であることを証明しているように思えたからだ

 そんな釣り人たちの間に入り、水面を流れるマーカーや対岸のフライマンたちの姿をぼんやりと見つめる
 およそ一ヶ月ぶり、年が明けてから最初のフライフィッシングは、天竜の流れと同様にゆったりと流れる時間の中で過ぎていった

 やがて遠くに見えるフライマンがレインボーをキャッチした
 心の中で拍手をし、視線を手前に戻すと自分のマーカーがクィっと動いた

c0041105_0552464.jpg 反射的に振り上げた右手に伝わる小気味よい振動…
 小振なレインボーが体をくねらせながらネットに納まるまでの時間は、実際にはものの数秒だったかもしれないけれど、まるで斜のかかったスローモーションの映像を見るように、ゆったりと味わうことができた

 すぐ横の瀬から笑顔で祝福してくれた若いフライマンにポイントを譲り休憩のため駐車場に戻ると、そこには見覚えのある仲間たちの笑顔があった

 今日の釣果報告から始まり、タックル、フライ、そして時計や靴の話へ…釣りをすることも忘れてしまいそうなほど、いつまでも”楽しい話”は続いた…

 魚を釣ることはもちろん、そこへ出掛けること、川に立つこと、フライをキャストすること、そして仲間との会話…フライフィッシングは、やっぱり楽しかった
 
 そして、こんなにもシンプルで、こんなにも大事なことに今さらながら気づかせてくれたすべての人たちにあらためて感謝しながら、今は解禁をゆったりと待っている
c0041105_0555317.jpg

*other side …
大好き!管理釣り場』(by Mr,sammy)
アマゴ釣りの憂鬱』(by Mr,M's)

*today's tackle  
rod:"fujimaki"Special 8'06 #5 (Factory Haru)
reel:CR5/6 (coatac) , halcyone trout (KIRAKU)

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by taros_magazine | 2007-01-30 00:58 | fly fishing diary
当たり前の1日
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 尺アマゴ、ヤマトイワナ、ブルック、忍野、石徹白、そして20インチオーバーのレインボー…
 初めてづくしの今年の釣りの締めくくりは、やはり初めての体験となる管理釣り場のポンドで過ごす1日だった

 いつも血眼になって探す魚影が、そこには掃いて捨てるほどあった
 あれほど熱望していた”尺”という基準が、何の意味も持たないようなサイズのレインボーを何匹も釣った。右腕が痛くなるまで、何匹も何匹も…

 ”今年最後の釣り”と言ったって、天竜へ行けば明日にだって普通に釣りができる
 この日出掛けた「すそのフィッシングパーク」のような”カンツリ”なら、それこそオフシーズンも関係なくフライフィッシングを存分に楽しむこともできることを知った今年…

c0041105_23175871.jpg 「魚が居て当たり前」、「釣れて当たり前」、「尺オーバー当たり前」…そんな釣り場を体験した今年だからこそ、釣れるか釣れないか、魚がいるのかどうかもわからない寒狭川上流が心から愛しい

 2月。寒さと花粉のまっただ中、ところどころに氷の残る渓に立つ。居るか居ないかさえもわからない、それも小さなアマゴやイワナの姿を求めて…
 
 今まで当たり前のように過ごしてきた早春の休日、それが当たり前でなくなるという現実を突きつけられた今年だからこそ、大名倉川で過ごす1日が本当に待ち遠しい…


【12月20日に内示された財務省の07年度予算案に、設楽ダムの工事関係予算として19億円が計上されました(完成予定 2020年)。】


*today's tackle  
rod:G2 8'08 #4 (Scott) , Japan special 8'03 #3 (Talon)
reel:CMR 3/4 (Marryat) , SPIRIT 3/4 (PetersRoad)

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by taros_magazine | 2006-12-31 23:23 | fly fishing diary
後悔
c0041105_23382727.jpg 寒狭川、宮川、大田切川、姫川、西野川…
 フライフィッシングを始めるようになる随分前から、それらの川が流れる地域へは何度も足を運んでいた
 
 高校生の頃からヒマさえあればバイクを乗り回していた自分にとって、奥三河はもちろん、愛知県に隣接する静岡や岐阜、それに長野あたりの山道は、走るにもキャンプするにも”格好のフィールド”だったから…

 やがて同じ場所に行く機会が訪れる。今度は革のツナギではなく、エントラントの”胴長”に身を包んで…
 
 そんな時、いつも浮かんだのは『あー、あの頃フライをやってたら…』という後悔にも似た感情だった

 川のほとりのテントサイトで夕食を作っている時、その数メートル横ではさぞかし沢山のライズリングが広がっていたことだろう…
 夜明けにコーヒーを沸かしながら寝っ転がっている時も、何匹ものトラウトが淵尻で悠々と流下物を待っていたのだろう…
 そして何より、当時はそれらの場所で釣り人の姿などほとんど見ることがなかったという記憶が、”失われた桃源郷”に対する想いをより切ないものに仕立て上げるのである

c0041105_23385038.jpg 先日、現地でフィッシングガイドもこなすニュージーランド人のPeter Schasching氏と、日本のトップキャスターの岡田裕師氏のフライタイイングを、自らもエキスパートフライフィッシャーであるgodzillaさんのはからいで間近に拝見する機会を得ることが出来た

 Peter氏の大胆でありながらも常に魚の視点を計算に入れてデザインされるフライ、岡田氏の美しくも実戦的なフライ、そしてgodzillaさんの技術と経験に裏打ちされた見事なフライ…

 それらの完成度の高さ、そしておそらくは鱒を確実に誘い出すであろうそのスタイルに感動したのはもちろんであったが、何よりもタイイングしている時の彼らの”目の輝き”に心を奪われた

 ポイントを説明しながらも、リズミカルに、そして楽しそうにフライを巻いていくその姿に、タイイングという行為そのものが、フライフィッシングの”楽しみ”を構成する極めて重要な要素のひとつであるという事実に、あらためて気づかせられたのである

c0041105_2345022.jpg 渓で見つけたなかなか取れないライズに、ありったけの知識と経験、そしてイマジネーションを総動員して対峙するときのようなスリルを、自宅で机に向かいながら…水面から飛び出してくるであろう魚を思いながら…味わうことも可能なのだと…

 自分はこれまで、フライフィッシングというものに実際に川に立つ以外の”楽しみ”をほとんど見いだそうとしてしてこなかった  
 
 でもこの日、大都会・名古屋のオフィス街の一室で自分が体験したのは、紛れもなく”フライフィッシングの楽しさ”だった…
 
 
 かつてバイクで走った川沿いの道を、フェルト底の靴を履いてため息まじりで歩いていたあの日のように、やがてロクにタイイングもせずにダラダラと過ごしていたオフシーズンを後悔する日がくるのかもしれない
 
 『あー、どうして何も考えずに手抜きなフライばかり巻いていたんだろう…』と…

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by taros_magazine | 2006-12-25 23:50 | fly fishing diary
予想外の…
 
 まさかこんな時期に2日続けての釣行をすることになるなんて、本当に予想外だった

 前日、まるで解禁日の有名河川のような賑わいの中、やっとの思いで手にしたレインボー…
 『人の少ない平日なら、もうちょっと釣れるんじゃないか…』
 そんな下心もあっての強行軍だった

 「この冬一番の寒気がやってくる」はずだったこの日の天竜は、予報に反して快晴・ほぼ無風。しかも前日よりも暖かいと思える好条件だった

c0041105_028288.jpg ただ、釣り人の数も思った以上に多かった
 自分たちが右岸に渡り釣りを始める頃には、めぼしいポイントにはほとんど釣り人が陣取ってラインを垂れていた

 しばらくすると、フックサイズで#16程度の虫のハッチが起こり始めた
 思いがけない出来事に、思わずマーカーそっちのけでライズを探す…が、前日の冷たい風の中でさえ起きていたような派手なライズはほとんど見られなかった

 上流でも下流でも、魚の姿すら確認できなかった
 途中で他のフライマンと話をしても、出てくるのはため息、そして『今日は釣れると思ったんだけどなぁ…』というセリフばかり…

 『そろそろ昼食にしようか…』
 そう思い、上流へ向かいながら適当に岸際の瀬を流す
 何度もの根がかりで”ちゃんとしたフライ”も残り少なくなってしまい、ティペットの先に結ばれているのは、100円ショップで買ったモールを適当にフックに留めただけの投げやりなフライ…

c0041105_0284541.jpg その派手なピンクの物体が着水した瞬間、レインボーがひったくるように水面に飛び出したのがハッキリと見えた
 
 『こんなフライで釣れるのかよ!』何度も何度も心の中で…いや、声に出して言いながらも、絶対にバラさないつもりで引き寄せた

 天竜用に新調したLLサイズのネットに控えめに納まったのは、まるでサツキマスのようにシルバーに輝く綺麗なレインボーだった

 スケジュール、天候、人出、魚の反応、ヒットフライ、そして釣れた魚のコンディションに至るまで、何もかも”予想を裏切られた”この日…

 そんな中、ただひとつ予想どおりだったモノ…それは、『仲間との釣りはやっぱり楽しい』ということ

 でも、考えてみると、たった一人で宇連川の魚の気配のないプールでキャストを繰り返すことで始まったシーズン
 そんな自分が、何度も大勢で西へ東へ出かけ、渓流シーズン終了後もこうして管理釣り場で過ごしているなんて…

 こんなふうに楽しめるようになったということこそ、自分にとって今シーズン最大の”予想外”なのかもしれない
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一から出直し修行的毛鉤釣』(by Mr,godzilla2004)
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rod:"fujimaki"Special 8'06 #5 (Factory Haru)
reel:Halcyone Trout (KIRAKU)

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by taros_magazine | 2006-12-20 00:34 | fly fishing diary