カテゴリ:fly fishing diary( 123 )
synchronicity
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 その日も、いつものように昼前にダム下の駐車場に車を止め、まずは堰堤直下の瀬に向かった
 そのファーストキャストに、この日最初のレインボーがヒットした

 『また今日も第一投だ』
 そう、このところ天竜ではいつも最初の1投でヒットしていた
 ”場荒れしていないから”、あるいは”フライが目新しいから”…いろいろと理由はあるのだろうけど、とにかく気持ちよくその日の釣りをスタートできるのだから文句なんてもちろんない

 ただ、問題はその後なのだ

 いつも、その後わりと早い段階で2匹目がヒットする
 しかし、ソイツはどういうわけだか必ずバレるのだ…

 そんなコトを考えているうちに2匹目が掛かった
 さっきよりもワンランク上の重い手応え…足下で浮いてきたのは40センチオーバーと思われるレインボーだった

 しかし、ネットを置いてある浅瀬に誘導しようとロッドを寝かせた瞬間、スッとテンションが抜けてしまった…

 『もう1匹釣れたら移動しよう』
 そしてこのところの定番、30センチほどの美しいレインボーをネットインしたところで、下流へ向かった

c0041105_2151732.jpg 第1プールの流れ込みが空いていなかったので、そのやや手前の瀬を流してみると、またも最初のキャストで30センチほどのレインボーがヒットした

 そしてその数分後、マーカーのわずかな反応に半信半疑で合わせると、砲弾型の体躯のレインボーが水面に浮いてきた

 『デカい!』
 と思った次の瞬間、またもやフライだけが宙に舞った

 そしてその後20センチほどのかわいいレインボーをキャッチし、プールへ向かった

 冷たく、重い流れの上をゆっくりと移動していたマーカーが突然上流に向かって動いた
 またしても第1投でのヒットに驚きながらも、今度は慎重にネットまで運び、無事美しいレインボーをランディングした

 そして三たび訪れる魔の刻…
 目の前わずか数メートルで反応したマーカーの先では、この日イチバンと思われるサイズのレインボーがのたうっていた

 『今度は慎重に…あと少し、もうちょっと…』
 ”ピシィッ”

 乾いた音と共に、レインボーは濁った流れへ戻っていった

 この後は…そう、小振りなレインボーをキャッチしたのである

 「レギュラーサイズが第1投でヒット」
 「その後すぐ、今日イチをバラす」
 「最後にまたレインボーをキャッチ」

c0041105_21513055.jpg 先週からポイントを移動するたびに不思議と繰り返される。奇妙な偶然の一致…
 いや、それは同じ人間が、同じ川で、同じようなシステムで釣るということが引き起こす”必然”なのか?

 それを解明する方法は、おそらく一つしかない
 もちろんそれは…”天竜に通う”ことだろう


*today's tackle  
rod:Fujimaki Special 8'05 #5 (Factory haru)
reel:FLYSTART 1 (ROSS)

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by taros_magazine | 2008-01-22 21:54 | fly fishing diary
祝福

 渓流釣りをしていて、こんなふうに言葉をかけられたのは初めてだった

 『デッカイですね!おめでとうございます!』

c0041105_23225944.jpg だたっ広い天竜の流れのど真ん中でライズしていたレインボー…新しい相棒のsageとフォローの風のおかげでなんとかキャストしたフライをひったくったレインボーは、何度もその”住処”へ帰ろうとリールからラインを引きずり出した

 そんな慣れない大物とのリールを使ったやりとりの後、なんとかネットインした直後に、すぐ横のポイントにいたフライマンがかけてくれた言葉だった

 その言葉に本当に嬉しくなりながらも、リリースした後に思い出したのはまったく逆の気持になった時の出来事だった

 フライを始めた頃に通った奥飛騨のとある渓…成魚放流で有名だったその渓には、自分と同じように”ここなら釣れるだろう”と思ってやってくる釣り人も多かったのだろう
 
 その川のほとりで、帰り支度をしていた他県ナンバーの釣り人から声をかけられた 
 『ココさー、何が釣れるの?』

 ”あれ、釣れなかったのかな?”と思いながら『アマゴやイワナ、それにレインボーなんかも結構釣れますよ』と答えると、『どうせ尾ヒレのまーるいヤツでしょ!』と吐き捨てられた

 はるばる奥飛騨までやってきて釣れなかった悔しさ、さらに他人が釣ることの悔しさ…

 彼は他人にも同じような不愉快さを味わわせることで、自らの気持をなだめようとしたのだろうか…
 
c0041105_232441.jpg もちろん、この天竜川での釣りは、休日ともなれば何人もの釣り人が数メートル間隔で並んでキャストを繰り返すという、普通の渓流に比べれればかなり特殊な状況にあることは間違いない
  
 しかし、そのことが逆にここに集まる釣り人を”おおらか”にしているように思う
 駐車場ではフライ・ルアーを問わず見ず知らずの者同士が挨拶を交わし、時にはランディングの手伝いさえもすることもあるという

 もし、あなたがココで大きなレインボーをキャッチしたら…
 たとえそのレインボーの尾ヒレが丸くても、まわりの釣り人はきっと祝福してくれるだろう


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大好き!管理釣り場』(by Mr,sammy)
アマゴ釣りの憂鬱』(by Mr,M's)

*today's tackle  
rod:G3 RPL 9'00 #5 (Sage)
reel:FLYSTART 1 (ROSS)

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by taros_magazine | 2007-12-27 23:28 | fly fishing diary
闘争心
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 小学生の頃、サッカーやソフトボールのクラブに入ってはいたが、肝心の大会が近づくときまって不安になった
 『選手に選ばれたらイヤだな…』

 もっとも、自分の技術ではそんな心配をするまでもなく万年”補欠の補欠”ではあったが、それよりも代表選手として試合に臨む、という”プレッシャー”が、競技自体の”楽しさ”を奪ってしまうような気がしてイヤだったのだ

 時が経ち、ミニバイクでレースをするようになっても同じようなコトを思った

 公道では絶対に許されないような走りで、対向車も飛び出してくる子供もいないサーキットを走ることはメチャクチャ楽しかったけど、コーナーで強引にイン側にネジ込んできて、ヒジで人を押し出しながら前に出て行くようなヤツが”好成績”で賞賛されるのを見ているうちに、自然とコースからは足が遠のいていった

c0041105_23244580.jpg 基本的に、自分には”闘争心”というモノが欠如しているんだと思う
 
 だから釣りみたいな”趣味”においては尚のこと…誰かと何かを競う、なんて考えてもみなかった

 ただ、この日の天竜へは『絶対に、何が何でも、とにかく1匹でも釣ってやる!そうすれば…』という、猛烈な闘争心を持ってやってきた

 しかし日曜のお昼前…お気に入りのダム下のポイントは当然のように満員だった
 仕方なしに入ったプール上の瀬…対岸にはDHを振る彼女連れのフライマンの姿があった

 自然とそのDH氏を”仮想ライバル”と見なし、何とか彼より先に1匹釣ろうとキャストを繰り返す…が、向かい風と背後の枝(そして己の技術)にジャマされて思うように流せない
 寒い中、岩に腰掛けている彼女にヒットシーンを見せたいであろうDH氏も、思うようにコトが運ばない様子…

 ガマン比べのような”対決”は、DH氏が下流へ移動したことでひとまず休憩となったが、闘争心旺盛なこの日の自分のアドレナリンはさらに妄想を加速させる

 『アイツが釣れなかったポイントで、オレが釣ってしまえば…』

c0041105_2325330.jpg 急いで対岸へ渡り、流れるマーカーに神経を集中させる
 
 やがて、一目でソレとわかるレインボーのアタリ…ネットに納まったのは30センチほどのナイスコンディションだった

 リリースしてすぐに下流にいるはずの”元ライバル”を探す…が、すでにその姿は消えていた

 その後、ほどよくリラックスしたのが良かったのか、そのポイントで同じようなコンディションのレインボーを数匹ヒットした後、今度は格段に重い手応えが伝わってきた

 美しい弧を描く2日前に手に入れたばかりのニューロッド…そのバットに軽く左手を添えて、浅瀬に誘導したレインボー…その1匹で、”仮想対決”に終止符を打った

 『今週はオレの勝ち、だよな?』

 その後下流へ向かい、友人たちと合流してのんびり釣りを楽しんだ
 すると対岸のスペイキャスターも、”ライバル”ではなく”仲間”に見えた
 そして、もうバレようが、サイズが小さかろうが、とにかく天竜で釣りをしていることが楽しかった

 『やっぱり…”競争”するより、普通に釣りしてるほうが面白いな…』
 
 それにしても、どうしてあんなにシャクに障ったんだろう?(苦笑)


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rod:G3 RPL 9'00 #5 (Sage)
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by taros_magazine | 2007-12-17 23:32 | fly fishing diary
自戒
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 それを見た瞬間、ついさっきまで全身に分泌されていたβ-エンドルフィンはみるみる沈静化していった…

 今シーズン初めての天竜川
 目の前のやや濁った流れの中に見える魚影は、ニンフが鼻先を流れていったと思われたとき、大きく頭を振った

 冬の天竜での”相棒”である#5ロッドは大きくベンドするが、その魚はジャンプはおろか一向に浮いてこない

c0041105_037599.jpg 一がバチかで力任せに寄せると、見えてきたのは大きな体に小さな白斑をいくつも纏った姿…イワナだった

 それでも、天竜でのシーズン最初の1匹に興奮していた
 ただ、この季節にイワナが浅瀬に定位しているということがどうにも気になっていた

 その流れ…右岸に流れ込む支流を上流に向かって歩いていくと、すぐに”何組”もの大きな魚影が確認できた…
 
 鮭のように婚姻色に染まったレインボーが、ブルックのように色鮮やかなイワナが至る所でペアリングしていた
  
 そしてその浅瀬の岸際に、力尽きたサツキマスの”ホッチャレ”が横たわっていたのだ…

 翌週、再び訪れた時にその支流をのぞいてみると、魚影は激減していた
 そして合流点では”タイガートラウト”がヒットし、そのすぐ横ではサツキマスが産卵床を掘っていた…

c0041105_0383836.jpg そのサツキの姿に、この日駐車場で話をした地元の釣り人の言葉を思い出した
 『もともとここらはシラメの川なんですよ。ダムが出来る前は”ジン・クリア”な流れだったんですけどね…』
 ここで小学生の頃から釣りをしてきたというその人は、下流のカーブを指してこう続けた
 『あそこらには今でもいるんじゃないかなぁ…』

 正直に言って、この天竜川で”在来種”とか”再生産”ということなど考えてもいなかった
 
 水温が低い季節に大きなレインボーをドーンと入れて、春になったらエサ釣りで釣りきってオシマイ…そんなイメージでこのC&Rエリアを見ていた

 しかし、10月に清掃会に出掛けた石徹白ですら見ることができなかった”ペアリングするイワナ”や”産卵床を掘るサツキマス”の姿をこの天竜で目撃したこと、そして地元の釣り人の言葉に、この天竜川に生きる魚達も寒狭や石徹白の魚達と何ら変わりなく、必死に生きて種を繋ごうとしていることに気づき愕然とした

c0041105_0405869.jpg 3度目の釣行となった25日は、多くの仲間達と会うことができた
 
 プールの濁りは相変わらず酷かったけれど、そこでは”冬の天竜らしい”レインボーが何匹もヒットした
 
 そして、そんなレインボーとのファイトは、イワナが釣れた時の気まずさも、タイガートラウトが釣れたときのような困惑も感じない、とても清々しいものだった

 もちろん、レインボーだって天竜の在来種じゃない
 でも、イワナやサツキマス同様に、あの日あの浅瀬でペアリングしていた彼(彼女)らを見たときに感じたいとおしさ…

 だから、少なくとも自分はもうあの合流点付近には入らない
 
 釣果だけじゃない、もっと大切で楽しいコト…
 天竜川はあの一画以外でも、それを充分体験させてくれるはずだから


一から出直し修行的毛鉤釣』(by Mr,godzilla2004)
大好き!管理釣り場』(by Mr,sammy)
アマゴ釣りの憂鬱』(by Mr,M's)

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*today's tackle  
rod:Fujimaki Special 8'05 #5 (Factory haru)
reel:Halcyone trout (KIRAKU)

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by taros_magazine | 2007-11-27 00:27 | fly fishing diary
川は誰のものか?

c0041105_2219307.jpg 隣町に、”ラグーナ蒲郡”というレジャー施設がある
 ショッピングモール、プール、遊園地、それにヨットハーバーやリラクゼーション施設などを備えた施設で、最近では隣接する敷地にマンションや私立の学校までが建設されている

 夕日を浴びて輝く巨大な観覧車やマンション…そんな華やかで壮観な景色を目にするたびに、自分はいつも何ともやりきれない気持になってしまう

 『これだけの海を、たかが数年の間権力を持った人間の判断でツブしやがって…』

 その”ラグーナ”一帯はかつて三河湾でも屈指の干潟だった
 名古屋の大学からバイクで帰るとき、小さな峠を越えた瞬間に目の前に広がる金色の海は、言葉では表現できないほどの美しさだった
 
 大学卒業後も、その海岸にほど近い高校に勤務していたことがある自分は、仕事が早く終わると海岸へ向かい、「星越」と名付けられた海岸のあたりをのんびりとバイクで走ったものだった

 ところがある日、干潟の真ん中に重機が据え付けられていた

 みるみる干潟は埋め立てられ、国道から見えるのはセイタカアワダチソウがまばらに生えた荒野だけになってしまった
 
 おそらく何万年も息づいてきた海は、20世紀の終わりのほんの数年の間だけそこに”権利”を持った何人かの人間の判断によって、この世から抹殺されたのである


c0041105_22195648.jpg 石徹白の清掃会に初めて参加したのは去年のことだった
 
 そこで、峠川でキャッチ&リリースを実現するまでに乗り越えてきたいくつもの高いハードルの存在を知った

 一方で、そんな努力を重ねてなんとか理想の釣り場を実現した川に、上流のスキー場から重油が流入するという悲劇が起きてしまう

 釣り人、スキー場、行政、漁協、下流の住民、農家、そして地元の人たち…

 1月の峠川での出来事からは、今まで想像もしなかったほど多くの人が”川”というものに関わっていることを思い知らされた

 そして今年の清掃会も多くの釣り人が各地から集まった

 峠川をもっと魅力的な川にしたい、という熱い想いを持った仲間達がゴミを集める姿を見ながらも、やはり心のどこかに小さな不安を感じてしまうのである

 『これだけの釣り人が峠川を美しくするために努力しても、”権利”…いや”利権”を持った一握りの人間によってすべてが台無しになる日が来るんじゃないだろうか…』

 そんな不安は、ダムに沈む寒狭川で釣りをしている者の”杞憂”であってほしいと心から思う
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by taros_magazine | 2007-10-24 22:24 | fly fishing diary
First Step
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 この川へ通い出した頃、自分にとって環境とかゴミ問題なんっていうのは縁のない話だと思っていた

 それどころかお気に入りのポイントへ向かう山道でさえ『早く拡幅工事してもっと走りやすくしてくれりゃイイのに…』とか、『川沿いにちゃんとした駐車場とかコンビニがあれば…』などと、ここへ遊びに来た趣旨からすれば”本末転倒”とも言える理想論を抱いていた

 やがて行動範囲が広がり、近隣の河川や源流部にも出掛けるようになった

c0041105_11125154.jpg そこで目にしたのは、自分が住む街の道路脇とかわらないゴミだった

 吸い殻の山、何年も前に廃盤になったブランドの空き缶、変色したペットボトル、コンビニの弁当箱…そして『こんなところに釣りに来るのはオレくらいのもんだろ』と思っていたところにさえ、当たり前のように放置されているエサ箱や仕掛けのパッケージ…

 そのとき気が付いた

 ロストしたフライや、それに付いたままのティペット、カットしたラインのクズ、何度も落としてきたフォーセップや偏光グラス…

 結局、捨てた(落とした)方は何とも思っちゃいないのである
 でも、誰かが拾わなければ、それはずーっとそこにあるのである
 
c0041105_11134448.jpg 
 今年も僅かな時間ではあるけれど、シーズンの最後にゴミ拾いをしてみた
 ただ、今年は何人かの仲間と一緒に、釣り同様に笑いながらゴミ拾いをすることができた

 そしてゴミ拾いの後には、コーヒーを飲みながらの釣り談義に花を咲かせ、そしてこの流れに発眼卵の放流活動をしているゼフさんと一緒に少しだけ釣りも楽しませてもらった

 まずはイワナが、そしてアマゴが顔を見せてくれた

 そのアマゴは、もしかしたら…いや、きっとゼフさんが放流したアマゴだと思った
 そんな”我が子”のような魚たちが棲む渓は、やはり少しでもキレイな方がいいと思った

 雨の中での短い釣り…

 いつも何か寂しい釣りとなるシーズン最後の1日を、今年は来シーズンへつながる”初日”のように、希望を持って過ごすことが出来た
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special thanks …
 「流離の渓流師」(Mr, Sasurai / Sairyu)
 「ゼフのフィールド日記」(Mr, Zeph)
 「さおだし隊」(Mr,SUE)
 「渓魚と戯れ」(Mr,Mihira Sanpei)

*today's tackle (both my first main rod and reel !) 
rod:6 Pack Rod 7'06 #3/4 (Caddis)
reel:Bliss 4/5 (Jackson)
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*こちらもご覧ください
c0041105_11344852.jpg石徹白・峠川清掃会2007
http://itoshiro.exblog.jp/6332628
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by taros_magazine | 2007-10-01 11:23 | fly fishing diary
大漁

c0041105_026530.jpg もう、一人で大笑いしていた 
 小さな渓に立ち、バカみたいに『あはは』と笑っていた

 長い間寒狭川で釣りをしてきたが、この日ほど活性が高く、そして出てくる魚のサイズがデカかったことなどほとんど記憶にない

 小さな谷の堰堤下で、いつも狙う瀬で、橋を降りてすぐのプールで、木の下を流れる細い筋で…ありとあらゆるところから25センチから尺ほどの魚がドンピシャのタイミングでヒットした

 その他にも、『たぶん出るだろう』と思ったポイント全てからグッドサイズのアマゴが飛び出した

 でも、そんな魚の活性の高さに、一人高笑いしていたわけじゃない
 次々とヒットする良形たち…その全てに、ことごとくバラされ続けるうちに、何故だか無性に可笑しくなってきたのだ

 10匹連続…くらいなら、過去にもあったかもしれない
 でも、この日は10、20…と、流す、出る、掛かる、ファイトする、バレるというサイクルを延々と繰り返した 

 もちろん、フックが折れていないことを何度も確認した。フックサイズを大きくしたり、形状の違うものも試した

c0041105_0272799.jpg それでも、結果は全て同じだった

 途中からは、何か現実世界ではなない、どこか別の空間で釣りをしているような気分にさえなった

 どこか、魚がウジャウジャいる秘密の川に立ち、次から次へと魚をヒットする…しかし、その手には触ることができない…そんな、いつか見た夢の中の出来事のようだった

 何度かポイントを変え、浅い流れで15センチほどのアマゴをやっと手元まで引き寄せ、ネットに横たえることができた
 
 でも、写真撮影はできなかった
 何故なら、この日はカメラを持ってくるのを忘れ、しかも携帯電話のメモリまでが既に一杯になってしまっていたからだ

 何一つ記録も残らず、そして誰にも見てもらえなかったあのイワナとの、あのアマゴとのファイトシーン…

c0041105_0281531.jpg 本当に楽しかった
 本当に楽しい”釣り”だった

 いや、もしかしたら、こんなのは”釣り”とは言わないのかもしれない
 尺だ、良形だと言っても、別に証拠があるわけじゃない

 でも、楽しかったからそんなことは構わない

 だって、自分は”漁”をしているわけじゃない
 こんな”釣り”で、充分すぎるほど幸せなんだ


*today's tackle  
rod:Rightstaff 8'10 #2 (CFF)
reel:CT2/3 (REDINGTON)

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by taros_magazine | 2007-09-27 00:36 | fly fishing diary
七不思議

c0041105_2237889.jpg ”何故か急いでいるときに限って、必ず狭い山道で黒煙をモウモウと吐き出すトラックの後ろを延々と走ることになる”

 ”『今日はこのロッドを使う!』と決めて、細く短いロッドを持ってきたときに限って、現地に着くと何故か強風がビュービュー吹いてる”

 ”魚影を確認し、ラインとフライを新しくした最初の1投は、何故か決まって後ろの枝を釣ってしまう”

 ”そしてやっとの思いで落としたフライがうまく流れたときには、不思議ともうそこに魚はいない…”

 ”すっかり気落ちして、ただ何となくキャストしているときにだけ、すごく魚の反応がいいのは何故?”

 そして…”やっと手にしたその美しい魚たちが、流れに帰っていった後…あと4日で『禁漁期間』が訪れるというのに、再び姿を見せてくれることはほとんどないのは何故だろう…”

c0041105_22375648.jpg 根羽川での、シーズン最後の釣りとなるこの日は、いくつもの”何故”を思いながら過ごした
 
 当たっているような当たっていないような、理由がわかっているようでわからない、なんとなく漠然といつも思っている”何故”…
 そんな「禅問答」とも「マーフィーの法則」ともつかない”不思議”を、一人思い出しながら傾きかけた山の里川での短い時間を楽しんだ

 帰り道でも、まだいろんな”何故”を考えていた
 
 そして、大増水している寒狭川を見ながら、つい数時間前、自分を突き動かした”究極の何故”を思い出した

 バッテリーの上がった車をケーブルで繋いで始動させてまでして
 前夜まで降り続いた雨で寒狭川の流量計がメーターをふり切っているのを見てもなお
 そして何より、昼過ぎから出掛けて、夕方には戻らなければならないのに…

 「それなのに、どうしてそこまでして釣りに行きたいのか?」

 ただ、この”何故”は、言葉ではうまく説明できないけれど、きっとたくさんの人にわかってもらえると思う
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*today's tackle  
rod:Fieldadvance 7'00 #3 (MR.DON)
reel:Philius babytrout (KIRAKU)

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by taros_magazine | 2007-09-13 22:44 | fly fishing diary
あの時代を忘れない day-2 「大名倉」
 
 釣りに行くときのもうひとつの楽しみ…それは道中のドライブだ

 一人でぼーっとする時間なんて、最近ではほとんどなくなってしまった
 仕事のときは無論、家にいても、買い物に行くのも、いつも誰かと一緒だ

c0041105_23595590.jpg もちろん、それが”苦痛”だとは思わないし、とても”幸せ”なことだとも思う
 
 でも、こうして好きな音楽の流れる空間で、その曲を毎日聞いていた遠い日のことを思い出しながら過ごす時間が、今ではとても大切に感じてしまう

 大名倉での釣りも、いつもあの頃のことを思い出させてくれる
 
 朝イチで入ったプールで悠々と定位していたコイのような大イワナ、ホタルの乱舞する中でのイブニング、目の前の山の斜面に突き刺さった稲妻…
 どんなポイントにも思い出がいっぱいに詰まっている

 この数年、めっきり釣れなくなったと言われるこの川だけど、当時だってそんなに釣れたわけじゃない
 でも、ほんの数年前の、それも1日釣り上がって”釣果なし”ということもザラだった頃の思い出が、車の中で聴いていたドリカムの曲のように甘酸っぱく感じてしまうのは、きっと…

c0041105_003758.jpg 照りつける日差しの中で、ずいぶん昔のこと、あの頃のこと、そして遠くない未来のことを漠然と思いながら釣り上がっていたとき、ふと見た流れの中で水しぶきが上がった

 『ライズだ!』
 大きく張り出した枝と、その下の”いかにも”な流れ…
 それは、フライを始めて3年目の解禁の週、キャストに四苦八苦しながらやっとの思いで送り込んだフライでイワナをヒットした場所だった

 慎重に下流に回り込み、真下に垂れ下がった枝の向こうにいるはずのライズの主を想像する
 それはきっと、あの日釣れたイワナと同じようにオレンジ色のお腹をした、この川特有の愛嬌に満ちた表情のイワナに違いない

 ワンキャストでフライはライズの1メートル上流に落ちた
 そして、水面に向かって1匹の魚が浮き上がってくるのが見えた

 完璧な一瞬に思えた。しかし、軽く引っかかった感触だけを残してフライは波紋の中から戻ってきた…
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 帰りの車中、下流で大勢の若者たちが水遊びに興じる姿を見た
 
 そんな光景を見て、自分が彼らと同じような年代の頃、何度もコンサートを見に出掛けたバンドのCDをデッキに入れた

 ”もう、あの頃のことは夢の中へ 知らぬ間に遠く years go by …"

 自分が20年前に戻れないのと同じように、この川が東海豪雨の前のように輝くことももうないだろう
 そしてあと何年かすれば、巨大なダムが作り出す湖の底に沈んでしまう大名倉川。でも…

 ”Sugar, sugar, ya ya, petit choux 美しすぎるほど
 Pleasure, pleasure, la la, voulez vous 忘られぬ日々よ


*Lyrics from "Ya Ya (あの時代を忘れない)" (by keisuke kuwata)

*today's tackle  
rod:Freestone XT 8'03 #2 (Shimano)
reel:Silver Marquis #2/3 (HARDY)

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by taros_magazine | 2007-08-28 00:17 | fly fishing diary
あの時代を忘れない day-1 「根羽川」
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 自分がこの漁協管内に通い出した頃、この渓は禁漁区だった

 しかし、わざわざ禁漁にしなくても、こんな幹線国道のすぐ横を流れる細い谷で、釣りをしようなどと考える人間がいるなどと思えないような流れに見えた

 ある年、その下流の支流に入り、その小さな谷との合流点まで釣り上がると、この付近に表示されていたはずの”禁漁”を示すロープが外されていることに気づいた…

 その時、いつも漁券を買うよろづ屋での出来事を2つ、思い出した
 ひとつはその前年、よろづ屋のご主人が悲しそうに言っていた「最近は役所の方から『もっと禁漁区を減らせ』とわれとって…」というセリフ
 
c0041105_22372990.jpg そしてもうひとつ。それはこの年そこでもらったエリアマップのその谷から、”禁漁”の表示がなくなっていたこと…
 
 初めて足を踏み入れたその谷は、国道から眺めていたときには想像もできなかったほど濃密な自然の中にあった
 苔むした倒木、モリアオガエルの卵がべっとりと貼り付いた枝葉、そしてそれらが創り出す緑のトンネルの中の小さな流れからは、次々とイワナが飛び出した
 
 10センチほどの稚魚から25センチを越えるものまで…どれも痩せてはいたが、色黒で白班の小さなそのイワナたちからは、この厳しい環境の中で命を繋いできた”野生”がひしひしと伝わってきた

 そんな谷をかなり上流まで釣り上がり、脱渓点を探していたときのことだった
 いきなり上空の景色が開けて来たと同時に、山肌が大きく削り取られている場所があった

 そこで釣りを切り上げ、途中に見える林道らしきところまで這い上がると、その看板が目に入った

 ”別荘地 分譲中!”

 国道から伸びる荒れた未舗装路の先にある森の中で、その毒々しい赤い文字で書かれた看板を見たとき、ここが”解禁”されたわけを理解した…

c0041105_22375178.jpg もはや、この谷のイワナを保護する理由などない…いや、保護など不可能だったのだろう

 やがて何かの冗談にしか思えなかった”分譲地”には、洒落たログハウスが何棟も建ち並んだ 
 毎年、夏前の”書き入れ時”には、その別荘の建築に使われるモルタルをかき混ぜるのに使われた汚水の流入で下流まで川は白く濁った…

 
 そして、今年初めてこの谷に入ったこの日、イワナは最後まで顔を見せてくれなかった

 モルタルのカスが堆積したプールでは、この夏を迎える前に放流されたであろうアマゴがライズを繰り返していた

 この谷で、イワナが次々とフライに飛び出したあの日…
 それは、もうずっと昔のことのようだった


*today's tackle  
rod:EUFLEX XFP 6'09 #3 (TIEMCO)
reel:CANTATA 2200 (UFM ueda)

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by taros_magazine | 2007-08-27 22:53 | fly fishing diary