"Legend" (MotoGP 08' Round-13 San Marino GP)
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 ただ勝ち星を積み重ねただけでは、決して到達できない領域がある
 どれだけ多くの記録を塗り替えても、それだけでは得られないものがある

 8耐で一度も完走すらできなかったケニー・ロバーツの美しくもはかないそのライディングの残像…
 ケビン・シュワンツ、ミック・ドゥーハンという怪物2人に真っ向勝負を挑み、そして散った94年鈴鹿での18歳のノリック…

 リザルトには何も記されない彼らの強烈な走り…しかしその記憶に刻まれた”感動”は、やがて多くの人々に共有され、そして後世に語り継がれていくことになった

 これこそ、「記録」という数字だけをいくら並べても手にすることのできない勲章であり、たどり着けない世界…”伝説”である 
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 人力だけでは絶対に超えられない壁を、機械を操ることで乗り越えていくモータースポーツはこうした”伝説”の宝庫だ

 この日、もはやアンタッチャブルと思われていたジャコモ・アゴスチーニの最高峰クラス勝利数記録に並び、イタリア人のGP700勝目をも獲得したバレンティーノ・ロッシ…

c0041105_23553575.jpg レース中に裁定の下った10秒のタイムペナルティをコース上でお釣りをつけて帳消しにした2003年のフィリップアイランド
 ブレーキレバーの折れたマシンで驚異的なラップを刻んだ2006年のへレス
 折れたシフトぺダルで800回近いギアチェンジを行い、最後方から追い上げて5ポイントをもぎ取った今年のアッセン
 そして記憶に新しいラグナセカ、コークスクリューでのダート上での切り返し…

 おそらくMotoGPのすべての記録を塗り替えるであろう彼は、その数字上の業績だけでなく、”伝説”というものが紡ぎ出されていく瞬間を、現在進行形で世界中に見せつけている

 レース序盤には、予選でコンマ5秒、決勝日朝のフリー走行では自分より1秒近くも速かったケーシー・ストーナーを、当たり前のように追い詰め、そしてブラック・ホールに引きずり込んだ
 中盤以降は追いすがるロレンゾに対し、今度はキッチリと3秒の差でコントロールするという、ストーナーが自身を自滅に追い込んだタクティクスを、まるでストーナーに見せ付けるかのようにパーフェクトにこなして見せた

c0041105_012741.jpg 週末には早すぎる伝説になってしまった加藤大治郎のメモリアルイベントでスピーチを行い、スタート前のグリッド上ではサッカー界の伝説、ディエゴ・マラドーナと固い握手をかわしたバレンティーノ・ロッシという”生ける伝説”

 その存在を前に、ついにストーナーはレース後白旗を掲げた…

 75ポイントという途方もない差を逆転するためには、それこそいくつもの”伝説”となる走りが必要になるだろう

 そしてそんな走りができるのは、他でもないバレンティーノ・ロッシ以外に存在しない…
 それをこのレースが終わるまで認めることができなかったケーシー・ストーナー

 しかし、彼ならこの屈辱と無念のミサノの日曜日を、新たな”ストーナー伝説”の幕開けとなった日として思い出させる時がきっと来るだろう

 そしてその時、彼が対峙する相手は…
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by taros_magazine | 2008-09-02 00:12 | motorcycle diary


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