"yardstick" (MotoGP 08' Round-8 British GP)
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 ラップを重ねるごとに、ケーシー・ストーナーからコンマ3秒ずつ離されていくバレンティーノ・ロッシの姿が、長い間胸につかえていたひとつの疑問に答えを出した

 『ケーシー・ストーナーというライダーは、いったいどれほど速いのか?』

 最高峰デビュー2戦目にしていきなりバレンティーノ・ロッシを相手にドッグ・ファイトを演じて見せた時からこの日に至るまで、きっと多くのファンや関係者が明確な答えを出せずにいただろう

 
 もう何年もの間、MotoGPではライダーの速さを測る絶対的な基準が存在している
 それは言うまでもなくバレンティーノ・ロッシというライダーの存在である
 
 ロッシに対して『どれほど接近することができるのか』、『何回前に出ることができたか』、そして『何度勝利をもぎ取ることができたか』というような数値によって、他のライダーはその実力を示すことになった

c0041105_012516.jpg アレックス・バロスやカルロス・チェカでは手が届かず、マックス・ビアッジやセテ・ジベルノーでさえもロッシに指先を引っ掛ける距離まで接近するのがやっとだった
 そして2006年チャンピオンのニッキー・ヘイデンや、この日ロッシと熾烈な2位争いを繰り広げたダニ・ペドロサまでもが、その走りの性質においては対ロッシという基準が有効であるように見える

 しかし、ストーナーの速さだけは測定不能だった
 彼がどれだけロッシにタイム差をつけ、何回勝っても、彼自身の持てる速さを正確に現しているようには見えなかった

 その理由も明らかだった
 言うまでもなく、彼の速さを”デスモセディッチ+ブリヂストン”というハードウェアとの”パッケージ”でしか見ることができなかったからだ
 それ故に、マルコ・メランドリはその”パッケージ”を得ることでストーナーとの差の有無を確かめようとし、逆にロリス・カピロッシはその”パッケージ”を捨てることで、自らの速さを証明しようとした

 さらにロッシ自身がストーナーの最大の武器を手中に納め、FIMはレギュレーションまでも変更して、ケーシー・ストーナーというライダーの実力を、グランプリ・スタンダードに照らし合わせようとした

 それでも、ストーナーはロッシを中心とした同心円の輪の中に入ることを拒絶するかのように、BS勢総崩れのカタールで勝ち、このドニントンでは同じパッケージのメランドリに1分半の差をつけて勝利のチェッカーを受けた
 
 しかし、それ以上に衝撃的だったのは、このレース中盤、ペースを上げたはずのロッシをさらに離していったあの走りだ
 
 あのときハッキリと見えたストーナーの”速さ”…あれは、バレンンティーノ・ロッシという物差しでは測ることができない存在が、遂にその姿を白日の下に現した瞬間だったのではないだろうか?
 
 昨シーズンは自分に言い聞かせるように、そして今シーズンはある種の余裕さえ漂わせながら、インタビュールームでロッシが語る『20ポイントの重要性』…しかし、この日の彼の表情はこの数年で一番引きつった作り笑いに見えた
 さらに、ダニ・ペドロサに至っては笑顔さえ浮かべてストーナーの速さを称えた…

c0041105_0122120.jpg 様々な要因で、これまで意外なほどバトルにならなかったロッシとストーナー…
 2人があの2006年のカタール以来、久しぶりに真っ向勝負をしたら一体どういう結末を迎えるのか?

 新たなる疑問の答えは、もうすぐそこまで迫ってきているのかもしれない


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by taros_magazine | 2008-06-23 23:55 | motorcycle diary


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