八つ当たり

 この2~3年、地元である寒狭や根羽へ行く回数と、忍野や西野、それに石徹白へ行く回数がほとんど同じような状況だった

 確かに高速道路の整備が進み、下伊那へ行くより石徹白へ行くほうが早かったりするという交通事情もあるだろう
 それに何より”魚影”という部分での魅力も大きい

 しかし、解禁からほぼ地元だけで釣りをしてきた今年、それ以外に大きな理由が…本能的に感じ取っていた理由があったことに気づいた…

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 明け方まで降り続いた雨は、この植林の合間を流れる里川を増水させ、田畑やむき出しの山肌から流れ出た土でその水を濁らせることは容易に想像できた

 そして、そんなコンディションの中で釣りができる数少ないフィールド…比較的川幅が広く、多くの堰堤が水量を調節しているこの支流に釣り人が集中することも予想どおりだった

 平日だというのに、合流点から中流域まで、めぼしいポイントには、どこもかしこも準備中の釣り人やいかにもの車の姿があった
 普段着そのままで川に降りようとする若いルアーマン、フル装備の自分と同年代の2人組、名古屋ナンバー、浜松ナンバー、豊田ナンバー…

 それらを横目に見ながらなんとか潜り込んだポイントでは、#18のフックすら口にできないようなサイズの魚が何度かアタックしてきただけだった…

c0041105_21545445.jpg 相変わらずコンディションは最悪だったが、混雑を避けて実績のある上流域に向かった

 中流域ほどではないものの、それでも普段の平日よりは格段に多い釣り人に閉口しながら目的のポイントに着くと、そこには真新しい轍が濡れた芝生にくっきりと残されていた

 小さな流れの細い筋を、いつもより慎重に、そして入念に叩くと、いつもより小さな波紋を残してイワナがヒットした

 何とも言えない疲労感に包まれた帰り道、魚籠を腰にぶら下げた初老の釣り人が川から上がってくる姿が目に入った

 それは、この都市近郊の里川ではごくありふれたスタイルのはずだった
 いつもなら『ここにも一人…』くらいの感覚でやりすごす光景のはずだった

 しかし、この日はその姿に強烈な嫌悪感を抱いた
 車を降りて「そんなに持って帰ってどうするつもりなんだ?」と言おうとさえ思った

 でも、それは”八つ当たり”なのだ

c0041105_21565293.jpg いつも『川に立っていれば、それで幸せ』みたいなキレイ事を口にしていながら、お気に入りのポイントで先行者に阻まれ、思うような釣りができなければ、、結局は”魚の数を減らす=自分が釣れる可能性を低くする”行為がやっぱり容認できないだけなのだ

 翌日、地元スポーツ紙の釣りコーナーには、その川での釣果が誇らしげに踊っていた
 ”アマゴ26匹!”という文字と、例によって新聞紙の上に並べられた無数のパーマーク…

 その写真から感じる強烈な不快感は、”命”とか”自然”というもの以前に、その数だけ減ってしまった”自分のターゲット”に対する悔しさなのだと思った

 それに先月の終わりに訪れた根羽川でも、東海豪雨の復旧工事がやっと一段落し、蘇りつつある渓に立ちながらも、復旧工事中に比べて格段に増えた釣り人の姿に閉口した…


 結局、どんなにその川を愛し、どれだけ通いつめても、何人かが魚籠をもってやってきたら、そこはもう渓流釣りのフィールドではなくなってしまう…そんなことを考えるのがイヤで、キャッチ・アンド・リリースの川へ通っていたのがこの数年だったんじゃないだろうか?

 ”魚がいる”、”魚影が見える”ということがC&Rの良さだと思っていた
 でも、本当に大事なのは”魚がいなくならない”ということだと、今あらためて思う

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*tackles  
(Apr 26)
rod:Euflex XFP 6'09 #3 (Tiemco) , reel:CANTATA 2150 (ufm ueda)
(May 14)
rod:G882 8'08 #2 (Scott) , reel:CMR #3/4 (Marryat)

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by taros_magazine | 2008-05-17 21:51 | fly fishing diary


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