Race for freedom (MotoGP 08' Round-3 Portuguese GP)

c0041105_23431689.jpg 2戦連続の”表彰台獲得”が、今の彼にとってどの程度重要なことなのか…それは世界でただ一人、M1+BSのパッケージで走る彼にしかわからないコト…

 それは充分にわかっているつもりだったが、それでもレース後の共同インタビューでのバレンティーノ・ロッシの不思議なまでの落ち着きぶりが理解できなかった…

 自分の記憶に刻まれたロッシ…それは、ただ目の前のライバル達を追いかけ、抜き去り、そしてさらに速く走ることに至福の瞬間を見いだしてきた驚速のファイター…
 そしていつしか全てのライダーに追われる立場となり、ベテランと呼ばれる年齢に達してもなお、ただ勝利だけを求めて己の持てる力を振り絞ってきた偉大なる王者…

 そんな彼が、ある日レースでの勝利よりも優先させるべきモノの存在にすり寄ってしまう
 2006年、エストリル…
 辛酸を舐め尽くしたシーズン終盤にもたらされた初めての甘い蜜…
 彼はその蜜の甘さに思わず我を忘れ、そして勝利の美酒を放棄した

 あの日、ロッシが失ったのはタイトルだけだったのか?
 エストリルの海風は、ロッシの情熱の炎までも吹き消してしまったんじゃないのか?

 今シーズンも序盤からMotoGPルーキーとのポイントを計算し、タイヤの開発に忙殺され、レースではなく政治的な発言で世界中から注目されてしまった彼の本心がいったい何処にあるのか、ハッキリと見えないままこの因縁のエストリルでの走りを見つめていた

 そんなもどかしさに輪をかけるリザルト、そしてインタビュー…
 
c0041105_23433013.jpg しかし、”負けた”レースを『悪くない結果』と自らに言い聞かせるように語っていた昨年とは違い、同じ単語を並べながらもその碧い瞳にはこれまでとは違う光が宿っていることに気づいた

 『もしかしたら、今ロッシはかつてないほど”自由”なのかもしれない』

 速く走り、勝つこと”だけ”に喜びを見いだしたあの瞬間…
 勝ち続け、タイトルの数を増やすことに価値を見いだしていたあの時代…
 そして、自らの力だけでは乗り越えることのできない壁を知った今…

 あの運命のエストリルから537日、この同じサーキットで、彼はまったく新しいチャレンジを”楽しむ”境地に達したのではないだろうか?

 才能に満ちた若いライダー達のほとばしる情熱を受け止め、逆境に立ち向かうタイヤメーカーの熱い魂とともに戦い、そしてこの素晴らしいスポーツを通じて世界中にメッセージを送る…

 そんな新しい楽しみ方を見つけた彼は、このままリザルトと折り合いをつけ、カドを落として丸くなるのか、それともかつて何度も見せつけたように、ファンやライバルの度肝を抜くような走りで再び頂点に立つのか…

 その答えが出る次戦は、昨年ケーシー・ストーナー相手に壮絶なブレーキング勝負を挑み玉砕した中国・上海…
 
 今、ロッシが心の中に秘めているモノが何なのか、それを白日の下に晒すには申し分のない舞台が用意されている

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by taros_magazine | 2008-04-14 23:52 | motorcycle diary


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