熱波 (MotoGP 08' Round-2 SPANISH GP)
     
 "Special Jerez atmosphere builds for big race"
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 毎年、決勝日だけで10万人以上の大観衆が押し寄せるこのヘレスでの3日間は、国際映像が冠したキャッチフレーズのとおり、掛け値なしに"Specail"で"Big"なグランプリだ

 そしてその異様な熱気は、これまでも幾多の信じられないような結末を演出してきた

 1996年にはスペインの英雄 アレックス・クリヴィーレの快走に興奮を抑えきれなくなった多くのファンが、トップスピードでGPマシンがレースしているコース真横まで押し寄せ、最終ラップの最終コーナーでの悲劇を彼ら自身が演出してしまった

 2005年には、やはり地元スペインのセテ・ジベルノーとバレンティーノ・ロッシが、その異様な熱気に呑み込まれたかのように、同じく最終ラップの最終コーナーで引くに引けないチキン・ランを演じてしまった

 そして今年のヘレスでも、125cc、そして250ccと、多くのライダーがその独特な雰囲気に煽られ、我を忘れての肉弾戦に興じた

c0041105_0134718.jpg そんなレースを目撃した大観衆はさらにヒートアップし、新たなる2人のスペインの英雄を迎えたMotoGPクラスのスタート時にはその熱気は頂点に達した

 サーキットを覆う熱波は、予選3番手だったコーリン・エドワーズのストレスを暴発させ、上り調子だったニッキー・へイデンの闘争心を暴走させ、王者ケーシー・ストーナーの尻に火を付けてしまった

 しかし、そんな熱いヘレスの中心に、氷のように冷静な男が3人いた

 他でもないスペインの2人の”英雄”、ダニ・ペドロサとホルヘ・ロレンツォ、そしてこのヘレスの"7times winner"バレンティーノ・ロッシだ

 デビュー戦となったカタールから2戦連続のポールで迎えたホームタウンGPで、ロッシを”喰う”というギャンブルに手を出さず、しっかりとマシンのコンディション把握しきってポジションをキープしたロレンツォ

c0041105_014578.jpg 毎ラップ、毎コーナー…いや、それこそタイヤの1回転ごとに、そのポテンシャルを研ぎ澄まされた五感で感じ取るように、丁寧に、それでいてハイペースで走り続けたロッシ

 そして過去2年、この”聖地”であと一歩届かなかった栄光のチェッカー…
 何が何でも欲しい勝利を目の前にしながら、限界の向こう側にある”快楽”の誘惑に耳を貸さず、自身のベストの走りに徹したペドロサ

 熱いヘレスのポディウムを占めた3人のクール・ガイ…

 その3人の中で唯一、レース序盤に一瞬だけ本能を剥き出しかけたロレンツォ…彼はカタールでのレースの後にこう言ったという

 『このクラスでは、子羊のような走りをしていたら食べられてしまう。一瞬も油断できない』

 決して満足できない3位でレースを終えた彼は、今その言葉を反芻し、あらためて感じていることだろう

 MotoGPに棲む狼は、ただ獰猛なだけではなく、とんでもなく狡猾で、そして冷徹だったと…

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by taros_magazine | 2008-04-01 00:10 | motorcycle diary


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