答えのない疑問 ( MotoGP 07' Round-17 Malaysian GP)
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 それが競争である以上、最後に必ず栄冠を勝ち取る”勝者”が現れる

 そして、それが何十年にも及ぶ歴史を持つ競技であれば、単なる勝利者ではなく、その時々に”王者”と呼ばれる存在が君臨してきたはずである

 しかし、それら歴代の王者たちの直接対決による”王者の中の王者”というべき者の決定を目にすることは夢の中でしかできない… 
 
 
 モーターサイクルグランプリの歴史においても、これまで何人もの伝説的王者が存在した

 60年代ならMVアグスタで圧倒的な強さを見せたマイク・ヘイルウッドやジャコモ・アゴスティーニ
 70年代には"KING"と呼ばれたケニー・ロバーツ
 80年代に入るとフレディ・スペンサー、エディ・ローソンといった2人の天才
 そして記憶に新しいウェイン・レイニー、ケビン・シュワンツ、ミック・ドゥーハンという傑出した才能が次から次へと頭角を現した90年代…

 『彼らの中で誰が一番速いのか?』
 
 以前、海外のレース専門誌がグランプリ創生期から現在に至るまで、何十人ものライダーにアンケートを採り、その解決を図ろうとしたことがあった

 「自分以外で」という但し書きがあったせいか、シュワンツはレイニーの名前を挙げ、レイニーはシュワンツの名を挙げた
 
 しかし、何人ものライダーが『そんな質問はナンセンスだ』と回答を拒否したという
 
 そう、どんなに頑張ってアンケートを集計してみたところで、スペンサーとロッシのバトルは見ることが出来ないのである
 それにシュワンツがNSRに乗り、ドゥーハンがRGV-Γに乗っていたら、どちらか…もしかしたら、両方ともがタイトルには縁がなかったかもしれないのだから…

 
 そんな解決されない”究極の疑問”に対するジレンマ…
 それと同じような感覚を、このマレーシアのレースから感じてしまった

 『ストーナーと、同じパッケージでロッシやダニが走ったら…』
 『ヤマハにドピュニエやホプキンスが乗ったら…』
 『いや、ストーナーがRC212Vで走ったら…』

c0041105_2301234.jpg 予選9位からスタートし最後まで表彰台争いにさえ絡むことなくレースを終えたロッシの姿を、コーナーを立ち上がるたびにスモークを上げるミシュランのリアタイヤを見ているうちに、同じレースを走っている彼らの”速さ”を、客観的に計ることがまったくできなくなってしまった

 ホールショットを決め、最後までチャンピオンらしい力強い走りを見せたストーナーと、そのストーナーに手も足も出ない後続のライダーたち…
 
 昨年、ロッシとカピロッシが狂おしいまでのバトルを見せた、2本の長いストレートと何本ものラインがある幅広いサーキットでこの日繰り広げられたのは、まるでケーシー・ストーナーのタイトル獲得を祝うパレードランのようだった

 ロッシが走れば走るほど、ストーナー勝てば勝つほど、クッキリ浮き彫りになる、今グランプリを覆っているジレンマ…
  
 自らの力を信じ、これまで全力で走り続けてきた結果であったはずの勝利やタイトルが、今や来期のレギュレーション変更のきっかけになろうとしている

 長い長い”パレード・ラン”を終え、本当の”ウィニング・ラン”の最中もほとんど笑顔を見せなかったストーナーこそが、今そのジレンマを最も強く感じていることだろう
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by taros_magazine | 2007-10-22 23:01 | motorcycle diary


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