「ありがとう」、"thank you"
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 彼のことを初めて知ったのは、レーシングヒーローという雑誌の1コーナーだった
 ”クラッシュキング”こと高橋サトシ氏が書いていた記事で毎回のように取り上げられていた一人の日本人少年…
 
 『だから、これからは”ノリック”の時代なんだ!』

 ちょっとくらいアメリカにダートの修行に行ったからといって、全日本ですらほとんど実績のない少年に後にライダースクラブ誌の編集長となる高橋氏が肩入れしている様は、一読者の自分から見れば滑稽にすら感じたものだった

 しかし、その走りはあまりに強烈だった

 当時空前の層の厚さを誇っていた全日本の500ccで、いきなりの表彰台獲得というリザルトもさることながら、マシンを路面にこすり付けるようなフォーム、そして表彰台でうれし泣きする姿を見た瞬間、彼のファンになった

c0041105_13242427.jpg その後、初勝利で号泣し、負けては悔し涙を見せるなど、喜怒哀楽をストレートに出す彼の前途に、自分もいつしか高橋氏と同様に”世界”を見るようになっていた

 そして運命の94年。史上最年少にして最後の全日本500チャンピオンとなった彼が見せた伝説的なライディング…ミック・ドゥーハンを力でねじ伏せ、ケビン・シュワンツを突っ込みでオーバーテイク、そして鈴鹿に訪れた一瞬の静寂と絶叫…
 
 この悔し涙の1戦で世界への道をついに切り拓いた彼は、その2年後の鈴鹿で優勝し、やっぱり号泣した
 
 だけど彼の涙は、多くの人に笑顔をもたらした
 
 彼が勝つと、まるでサーキット中に明るい光が降り注いできたかのように、皆が暖かいものを感じ、レース後の彼のインタビューはいつも笑いに包まれていた

 ノリックは、その記録だけでは到底表現しきれない多くのものを残していった
 
 今、きっと多くの人が、それぞれのノリックからの贈り物をかみしめていることだろう
 そしてそれは、言葉ではうまく伝えられない…

 だから、こんな当たり前の言葉でしか、今の気持を表現できない
 
 ”ありがとう、ノリック”
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 『アイツはピットから出て行くとき、マシンを押すスタッフに必ず”thank you !”って言うんだ。そんなライダーは他にはいないよ』(彼のWGP時代の担当メカニックの言葉)
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by taros_magazine | 2007-10-08 13:22 | motorcycle diary


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