ミサノ (MotoGP 07' Round-13 San Marino GP)
c0041105_22473586.jpg
 原因が何かはわからなくとも、それがこのレースを戦う上で、そしてチャンピオンシップを争う上で、”致命的な一撃”であることは瞬時に理解できたことだろう…

 もはや” ただの乗り心地の悪いバイク ”と化したYZR-M1…それでもピットまでの長い道のりをノロノロと走り続けたロッシの胸中に去来したものは一体何だったのか?

 
 思えば80年代以降、この華やかな街にあるサーキットは、いつも壮絶なドラマを演出してきた

c0041105_22481459.jpg スタートミスで最後尾まで落ちた平忠彦が全車を抜き去って優勝した86年の250ccのレース
 
 観客席からのまばらな拍手とピットレーンからの冷笑の中、地元のキリが初優勝を”記録”した89年の500ccのレース
 
 91年、125ccで鈴鹿、ヘレスと驚愕の速さを見せつけた上田昇がトップ走行中に激しくクラッシュした直後、砂煙の中で見せた魂の叫び
 
 同じく91年のエディ・ローソンのカジバでのオープニングラップ奪取と、トップを走っていたミック・ドゥーハンを追い抜いたラップ遅れのウェイン・レイニーのプライド
 
 そして93年、そのレイニーの悪夢のようなクラッシュ…

 まるでかつてのローマのコロシアムのように、戦士の力を試し、勇者の運命をもてあそんできたこの高いフェンスに囲まれたサーキットは、今また一人の王者を葬り、そして新たな英雄を生み出した

c0041105_22495144.jpg 
 この事実上の最終決戦にチェッカーフラッグが振られた後、ケーシー・ストーナーはその目から流れ落ちそうになるものを隠すかのように、何度もシールドを下げては首を振った
 
 一方、ヤマハが発表した「まだ諦めない。残り5戦で全力を尽くす」というロッシのコメントには、絶望の中で必死にモチベーションを繋ぎ止めようとするチームの悲壮感しか感じられなかった

 
 クールダウンラップでも、パルクフェルメでも、ストーナーは彼のデスモセディッチのタンクを愛おしそうに撫で続けた
 わずか24時間前、ロッシが予選でのフライングラップ直後に、彼のM1のフロントカウルにしたのと同じように、何度も何度も…

 ストーナーのそんな姿を見るにつけ、こんな結果になってさえも、” ただの乗り心地の悪いバイク ”と化した彼の”相棒”をコースサイドに置き去りにできなかったロッシの心境が、ただただ痛々しかった
c0041105_22501222.jpg


 taro's magazine mainsite…
[PR]
by taros_magazine | 2007-09-03 22:55 | motorcycle diary


<< 沼田 憲保 (1966'... 胸騒ぎ (MotoGP 07&... >>