逃げ水 (MotoGP 07' Round-11 USGP)
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 こうなることはレースが始まった直後…いや、フリー走行の時から分かっていた
 
 それでも、ザクセンの時のように『もしかしたら終盤になれば、ブリジストンタイヤが力尽きるんじゃないか…』という淡い期待を抱き続け、マルコに食らいついていったロッシだったが、力尽きたのは彼のミシュランタイヤの方だった… 
 
 そんなロッシの遙か前方で、ストーナーはひたすらハイペースで走り続けていた 
 その何かに取り憑かれたような走りは、彼の後ろにこのサーキットと抜群の相性を誇るバーミューレンがつけていたから…では決してない
 
c0041105_2155568.jpg 2位に対し十分なディスタンスがありながら、それでもストーナーがスロットルを開け続けた理由…
 それはいつまでたってもピットサインに表示されない『ROSSI』に対する”勝利宣言”だったのだろう
 
 彼は、GP屈指のチャレンジングなサーキットであるこのラグナセカで、フリー走行、予選、ウォームアップ、そしてファステストラップに勝利とパーフェクトな走りを見せつけることで、気が付けば今シーズン最大の”争点”になっていた『ロッシVSストーナー、勝つのはどっちか?』という構図に彼なりの最終回答を突きつけてみせたのだ 

 一方、この誰の目にも明らかなロッシにとっての”赤信号”とでも言うべき緊急事態の中にいながらも、レース後のロッシの言動は異様なほど冷静に見えた 
 
 歓喜のウィニングランを続けるストーナーを握手で称え、ピットに戻った後も感情的になることなく、前後のタイヤを軽く確認し、いつものようにスタッフとのミーティングのためにピットの奥へと消えていった
 
c0041105_21552810.jpg 昨年の同時期、『もうタイトルは意識していない』という言葉とは裏腹に、凄まじいまでの執念で最終戦の前には51ポイントをひっくり返してみせた彼が、今年は逆に『まだ可能性はある』と言いながらも垣間見せたあまりにも淡泊な”消化試合”…
 
 そんな裏腹な言動が示すのは、”もしかしたらロッシ自身が、置かれている状況を理解できていないのでは?”とさえ思えてしまう

 ”自身のコンディションはもちろん、マシンも悪くない。もちろん常にプッシュしているし、現に長いストレートのムジェロやテクニカルなヘレスで会心の勝利を挙げているのに、なぜ44ポイントもの差がついているのか?”

 昨年とは違ってノーポイントレースが少ないにもかかわらず、昨年と同じように大きなビハインドを背負っているこの状況が、彼には信じられない…いや、まったく理解できないのではないだろうか  
 
 今シーズン何度も、手を伸ばせば届きそうなところまで近づきながら、そのたびにスルリと逃げていくチャンピオンシップ…
 
 それは、Turn-6の彼方に現れては消える陽炎のように、ロッシを現実と非現実の隙間へと陥れていく…
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by taros_magazine | 2007-07-24 22:00 | motorcycle diary


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