"天秤座の男" (MotoGP 07' Round-9 Dutch TT)
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 ケーシー・ストーナーの走り…それは、他のどのライダーのそれとも一線を画す不思議な走りに見える

 ニッキー・ヘイデンのように、ある瞬間に肉感的な速さを爆発させるでもなく、ダニ・ペドロサのように全てを吸収しながら限界を高めていくタイプにも見えない
 そして、バレンティーノ・ロッシのようにサーキットのすべてを自らの勝利に引き込むような”華”も未だに見えてこない

 それでも、すべてのライバル達に見せつけてきた速さ・強さと、シーズン中盤までに積み重ねたチャンピオンシップポイント…その理由を考えたとき、もしかしたら『突出した要素がないことがその速さ・強さの理由なのでは…』と思えた

 グランプリで勝つライダーなら、誰もが1つは持っているであろう”世界一”の技術…
 あるライダーにとってそれは”突っ込み”であり、またあるライダーにとっては”立ち上がり加速”かもしれない
 そうした多くの要素で、ストーナーは何ひとつ”ナンバーワン”のモノは持ってないけど、そのすべての要素で僅差の”2番目”のポジションに位置しているんじゃないか…そんなふうに思えた

 そう考えると、いみじくもバレンティーノ・ロッシが『彼は絶対にミスをしない』と評したように、ストーナーの最大の武器は『あらゆる技術を極めて高度な次元でバランスさせることができる』というモノなのかもしれない
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 そうした天性の能力を天秤の右側の皿に、そして左側の皿に26ポイントを載せてやってきたオランダ…
 しかし、グランプリで最も古い歴史を誇るこのダッチTTは、ストーナーの精密な”天秤”の右側の皿に、小さな”重石”を載せてしまった

 ライダーズ・サーキットと言われたカタルニア、ドニントンを、それぞれドライ、ウェットの両方のコンディションで制した彼に、これまでまったく感じることのなかった”タイトル”という重石がのしかかってきたのである
 もちろん、今の段階ではそれはさほど大きなものではなかったが、彼の精密な天秤はそのわずかな重さにも反応してしまったことだろう

 結局このアッセンでは、スタートから逃げることも、序盤のアドバンテージを守ることもできず、およそ10ラップにわたってロッシの手のひらの上でもがき続け、そして突き放されてしまった

 かくして左側の皿に載っていた26ポイントは21ポイントとなり、天秤はさらに大きく傾きはじめた

 彼の天秤は、バレンティーノ・ロッシという”重さ”に対し、これ以上バランスを崩さずに耐えていけるのか?
 それとも、すべての”調和”を破壊するような強烈な走りに切り替えるのか?

 反撃を開始したライバル達とケーシー・ストーナーの本当の戦いが、今始まった

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by taros_magazine | 2007-07-01 00:21 | motorcycle diary


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