寒狭川での2日間 day-1 「イワナの谷」
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 アマゴで有名な寒狭川だけど、自分にとっては長い間『イワナの渓』だった

 大名倉の集落付近の路肩で夜明けを待ち、鳥の鳴き声を聞きながら釣り上がる…
 朝マヅメの大名倉川では、決まって瀬尻にグッドサイズのイワナが定位していた

 自分のヘタクソなアップストリームキャストでは視界にラインが落ちてしまうことも多かったけど、それでも何匹かは雑なエルクヘアカディスに飛び出してくれた

c0041105_22251062.jpg 開けたプールでは、大石の脇にいつも何匹かのイワナが付いていた
 毎回毎回、フライを替え立ち位置を変え狙っていたけど、結局一度も釣れなかった

 イブニングは、かつての森林鉄道の停車場跡の下の淵で過ごした
 水面の1メートル上空を夥しい数のカディスやメイフライが同じ方向に飛んでいく様は、まるでもう一つの川が流れているように見えた

 そこでは何匹かのイワナを釣ることができたけど、ときおり回遊してくる50センチ超の”主”だけはフライに見向きもしてくれなかった…

 これらの経験を全て『過去形』で語らなくてはならないのは、あの東海豪雨があったからだ

 あの大水でこの川の渓相は一変し、瀬はフラットな浅瀬になり、大石のプールは澱んだ水たまりになり、スーパーハッチも見られなくなった
 そして自分も、よりアクセスが良く魚影も濃い当貝津方面へと通うようになっていった…

 2ヶ月ぶりの釣り。そのフィールドとして選択したのは大名倉川のあの区間だった

c0041105_22254362.jpg やはり当時とは随分景色は変わっていたけれど、あの懐かしい”匂い”は戻っていた
 『あの頃は、こんなところにイワナがいたんだよな…』
 そんなことを考えながら何気なくキャストしたフライに、いきなり太ったイワナが飛び出した

 あまりの出来事にフライは見事にスッポ抜けてしまったけれど、その金色の巨体は何年もの空白の時間を埋めるのに充分な見事さだった

 そのまま何度か同じようなコトを繰り返しながら、流れが2筋に分かれているハズのところにやって来た

 『水が…ない…』

 メインの流れとなる左側に対し、かつてそこには幅1メートルほどのボサっ川が流れている谷があった
 そしてその流れには、まるでスレていない美しいイワナや、明らかに再生産された小さなイワナが棲んでいた

 あの頃、ボサをかき分けながらボウ・アンド・アローでイワナを狙っていたその谷は、乾いた石と枯れた葉っぱが積もった”ただの谷”になってしまっていた…

c0041105_22281990.jpg その後、良型のイワナを1匹ランディングしたところで納竿し、県道へ出て車まで戻っていった

 帰り道、ふと気になってもう一度あの谷を見下ろしてみる…
 
 すると、あの枯れ谷の上流部にわずかに残っていた水たまりのような小さなプールに、ハッキリとそれとわかる魚影が見えた

 『イワナだ!…こんなところに、まだいたんだ!』

 山の斜面から流れ落ちてくるわずかな清水が作り出す小さなプールには、25センチほどから10センチほどのイワナが何匹も見えた

 自然が残した”爪痕”と、自然が育む”生命”…

 大名倉川は、また大切な何かを自分に教えてくれた
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*today's tackle
rod:G882 #2 (Scott)
reel:CMR 3/4 (Marryat)

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by taros_magazine | 2007-05-09 22:31 | fly fishing diary


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