"Trauma" (motogp 07' Round-1 QATAR GP)
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 それは今年最初のレースの、ファーストラップを終えようとしているときだった
 最終コーナーを先頭で立ち上がったロッシの横を、イタリアンレッドのマシンが猛然と駆け抜けていった… 

 新レギュレーションの下で始まった開幕戦。公式練習でも、予選でも、ロッシとヤマハのコンビネーションは万全に見えた
 特に予選の最後に見せたフライングラップは、今年に賭けるロッシの決意の表れであるかのように力強く、そして華麗だった

 そのロッシの視線の遙か先で、ストーナーのドカティは赤い航跡を残しながら1コーナーに消えていった

 スリップストリームに付くことさえ許さない、その圧倒的な加速力とトップスピード…
 ロッシはコーナーセクションで幾度となく前に出るものの、その激しいチャージも最後のストレートで決まって徒労に終わる…そんなことを終盤まで繰り返していた

c0041105_0355693.jpg しだいにロッシの心の奥底に潜んでいた小さなキズが疼き出す

 思わぬアクシデントに巻き込まれた開幕戦、信じられない転倒を喫した最終戦…
 落としたポイントの重要さを嫌というほど思い知らされた昨シーズンの出来事が、彼の脳裏にフラッシュバックする

 『力を見せつけて勝負を賭けるべきか、それとも20ポイントを確実に獲得するべきか…』
  
 結局、ストーナーをプッシュしながらペースをジワリと上げ後続を振り切ると、ロッシはストーナーのミスを待つという”安全策”を選択した
 しかし、ストーナーはミスを犯すどころかさらにペースを上げ、ロッシのはかない望みを断ち切って初優勝を飾った

 レース後のインタビューで、昨年の開幕戦を例に挙げ自分に言い聞かせるように『上出来』を繰り返したロッシ…
 しかし、その彼の今回の走りは、まるで昨年のポルトガルGPのリプレイのようだった
 あのニッキー・ヘイデンが転倒し、思いがけず転がり込んできた”ポイントリーダー”の座を守るために、先頭のエリアスを追い切れずに2位に甘んじたあのエストリル…

 彼がタイトルを失ってから4ヶ月以上の時が流れ、マシンのカラーリングもすっかり変わったけれど、彼の心に刻まれたキズはまだ癒えていなかった

 ポイントの呪縛…
 
 全18戦の長丁場となる今年のグランプリで、開幕戦から20ポイントを”拾いにいった”バレンティーノ・ロッシのトラウマがそこに見えた
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by taros_magazine | 2007-03-13 00:01 | motorcycle diary


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