彼の名はバイク乗り 「Gさん」
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 その日は久しぶりの仲間たちとのツーリングだった
 市街地を抜け、奥三河に入ったあたりで自分が先導することになった

 気持ちよく晴れた夏の三河路…いつもは釣りに向かう通過点でしかないこの県道も、バイクなら走るコト自体がとても楽しく感じられる

 やがて上り坂のヘアピンを立ち上がったところで、鮮やかなイエローのマシンが脇をすり抜けていった

 シャープなカウリングと独特のサウンド…そのドゥカティ916はそのまま緩い上り坂のストレートの彼方に消えようとしてた

 しかし、そのドカ乗りが着ていた有名ブランドのジャケット…大排気量車に乗るライダーが好んで着用する…が、自分の神経のどこかを刺激した

 『おもしれーじゃねーか!』
 派手にヒザをつきだしてコーナーにアプローチするドカを追って、ギアを1速落としてアクセルを開けた

 気持ちよさそうに走っていたドカが、やがてミラーを気にしだした
 そしてナンバープレートの小さな文字まで読みとれそうな距離まで接近したところで、ドカはアクセルを戻し少しだけ路肩に寄った

 ほのかな優越感に浸りながらふとミラーを見ると、なんと自分の真後ろにも1台のバイクがついてきていた

 ミニバイクのフレームに250のエンジンを積んだダークグリーンのクレイジーマシン…GさんのTZM改だった

 『あのドカ、たいしたコトなかったですよねー』
 『あぁ、格好だけだね。せっかくいいマシンがもったいねーな!』

 休憩地点のコンビニで、さっきのドカをサカナにしながらも、本当はちょっとヘコんでいた
 登りの山道で、あのイカれたマシンで、2台のリッターバイクに事も無げについてきたGさん…その強烈な走りは、もう何年も前のことなのに今も鮮明に記憶している

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 そのTZM改をはじめ、何台ものバイクをプロショップ顔負けの技術でカスタムし、年甲斐もなくカッ飛ばしていたGさんが、今日亡くなった

c0041105_030818.jpg 自らの病状を知った後も、バイク乗りの魂を持ち続けて闘ってきたGさん…

 まもなく、奥三河の渓流釣りが解禁となる

 あの日、2台でドカを追いかけた田口から津具に向かうワインディングを、今年も何度も通るだろう

 彼の記憶とともに…


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by taros_magazine | 2007-01-26 23:58 | motorcycle diary


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