後悔
c0041105_23382727.jpg 寒狭川、宮川、大田切川、姫川、西野川…
 フライフィッシングを始めるようになる随分前から、それらの川が流れる地域へは何度も足を運んでいた
 
 高校生の頃からヒマさえあればバイクを乗り回していた自分にとって、奥三河はもちろん、愛知県に隣接する静岡や岐阜、それに長野あたりの山道は、走るにもキャンプするにも”格好のフィールド”だったから…

 やがて同じ場所に行く機会が訪れる。今度は革のツナギではなく、エントラントの”胴長”に身を包んで…
 
 そんな時、いつも浮かんだのは『あー、あの頃フライをやってたら…』という後悔にも似た感情だった

 川のほとりのテントサイトで夕食を作っている時、その数メートル横ではさぞかし沢山のライズリングが広がっていたことだろう…
 夜明けにコーヒーを沸かしながら寝っ転がっている時も、何匹ものトラウトが淵尻で悠々と流下物を待っていたのだろう…
 そして何より、当時はそれらの場所で釣り人の姿などほとんど見ることがなかったという記憶が、”失われた桃源郷”に対する想いをより切ないものに仕立て上げるのである

c0041105_23385038.jpg 先日、現地でフィッシングガイドもこなすニュージーランド人のPeter Schasching氏と、日本のトップキャスターの岡田裕師氏のフライタイイングを、自らもエキスパートフライフィッシャーであるgodzillaさんのはからいで間近に拝見する機会を得ることが出来た

 Peter氏の大胆でありながらも常に魚の視点を計算に入れてデザインされるフライ、岡田氏の美しくも実戦的なフライ、そしてgodzillaさんの技術と経験に裏打ちされた見事なフライ…

 それらの完成度の高さ、そしておそらくは鱒を確実に誘い出すであろうそのスタイルに感動したのはもちろんであったが、何よりもタイイングしている時の彼らの”目の輝き”に心を奪われた

 ポイントを説明しながらも、リズミカルに、そして楽しそうにフライを巻いていくその姿に、タイイングという行為そのものが、フライフィッシングの”楽しみ”を構成する極めて重要な要素のひとつであるという事実に、あらためて気づかせられたのである

c0041105_2345022.jpg 渓で見つけたなかなか取れないライズに、ありったけの知識と経験、そしてイマジネーションを総動員して対峙するときのようなスリルを、自宅で机に向かいながら…水面から飛び出してくるであろう魚を思いながら…味わうことも可能なのだと…

 自分はこれまで、フライフィッシングというものに実際に川に立つ以外の”楽しみ”をほとんど見いだそうとしてしてこなかった  
 
 でもこの日、大都会・名古屋のオフィス街の一室で自分が体験したのは、紛れもなく”フライフィッシングの楽しさ”だった…
 
 
 かつてバイクで走った川沿いの道を、フェルト底の靴を履いてため息まじりで歩いていたあの日のように、やがてロクにタイイングもせずにダラダラと過ごしていたオフシーズンを後悔する日がくるのかもしれない
 
 『あー、どうして何も考えずに手抜きなフライばかり巻いていたんだろう…』と…

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by taros_magazine | 2006-12-25 23:50 | fly fishing diary


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