真の王者(motogp 06' Round-17 VALENCIANA GP)
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 序盤のロッシの転倒で得たアドバンテージを、中盤、そして終盤までなんとか守り抜こうと力を振り絞るニッキー
 一方、まさかの躓きで背負ってしまったハンディキャップを背負いながらも、折れてしまいそうな心を奮い立たせ、気力を振り絞って追いつづけるロッシ

 この超満員のバレンシアで繰り広げられた1戦は、まさに史上稀に見る混迷のシーズンとなった2006年のすべてを凝縮したかのように波乱に満ちた、そして見ていて胸が苦しくなるようなレースだった…

c0041105_6171270.jpg 前戦ポルトガルで遂に得た8ポイントのリード…しかし追いつめられているのはむしろロッシに見えた

 目の前にいるマシンの中からニッキーを探し、自分のポジションと獲得できるポイントを計算し、そしてニッキーのそれから”8”をマイナスする…
 順位が替わるごとに国際映像が2人のポイント差を表示していたように、時速300キロで走りながらロッシは何度も何度も暗算していたはずだ

 ニッキーとの直接対決ではなく、ポイントとバトルする彼の姿は、最後までトニ・エリアスを追い切れなかったあのエストリルでの精神状態をそのまま引きずっているようだった

 一方、ニッキーの走りに迷いは無かった
 『ロッシの前を走る』 このシンプルでありながら、現在のグランプリでは最も困難なチャレンジに対し、彼は果敢に挑んでいった

c0041105_6173983.jpg スタート直後のロッシとの接触にもひるまず、圧倒的なトップスピードを誇る2台のドカティに対しても一歩も引かない力強いライディングで、小さな灯りにしか見えなくなってしまったタイトルへの執念を見せつけていた

 そして…ロッシが、まるでビギナーのようなスリップダウンを喫してしまった後に築かれた、「30秒」という”大差”…
 
 ここで終わってしまったかに見えたシーズンだったが、グランプリでは”天文学的”とも言えるその大差を挟んで2人が繰り広げた最後のバトルは、チャンピオンシップを争うにふさわしい崇高なものだった

 ロッシは誰もが不可能だと思った大差をひっくり返せることを信じ、ニッキーもロッシの転倒を知った後も守りの走りにスイッチすることはなかった
 2人は、だたひたすらに自らの力だけを信じてスロットルをひねり続けた…

c0041105_6175582.jpg ニッキー・ヘイデンが手にしたトロフィーは、ロッシの何度かのトラブルがもたらした”ぼたもち”などでは決してない
 これまでの17戦、もがき、苦しみながら彼が積み重ねてきた努力が、誰よりも多いポイントに姿を変え、そして彼に”王座”をもたらしたのである

 一方、グランプリの舞台で初めて自らの王座を”失う”という経験をしたロッシ…

 歓喜のウィニングランを続けているニッキーに並びかけ、そして彼の手をしっかりと握りしめたあの印象的なシーンは、これまでロッシがタイトルを獲得するたびに見せてきたどんな派手な”パフォーマンス”よりも”王者”と呼ぶにふさわしく、そして美しいものだった

 かつてない混沌のシーズンだった2006年を締めくくる、本当に美しいフィナーレだった

 Congratulations! nicky , Grazie! valentino , and "Viva le Grand Prix !"

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by taros_magazine | 2006-10-31 06:03 | motorcycle diary


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