"straight flush" (motogp 06' Round-16 PORTUGUESE GP)
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 "HAYDEN OUT"

 この9文字がピットサインに表示されてからの22ラップ、バレンティーノ・ロッシの心は激しく揺れ続けていたに違いない

 この数戦、ロッシを脅かしてきたカピロッシやメランドリが後方に沈む中、鬼気迫るアタックで奪ったポールポジション、そして僚友コーリン・エドワーズの絶妙のアシストでモノにしたホールショット…
 このポルトガルGPのすべてが、ロッシの逆転タイトルに向かって動き出しているように見えていた
 
c0041105_072023.jpg しかし、ロッシにとって願ってもないほど”計算どおり”だったはずのレース展開は、最大のライバル、ニッキー・ヘイデンがクラッシュした瞬間から、微妙に狂い始めていった
 
 上がらないペース、開かないディスタンス…あの9文字が表示された後、彼のサインボードに表示される数字は、彼の心情を映しだすかのように、なんとももどかしく、そして小刻みに増えたり減ったりしていた

 『行くべきか、守るべきか…』
 これまでおよそ半年もの間、ニッキーが悩みつづけてきた”究極の選択”が、今まさにロッシに襲いかかってきたのだ
 そしてその迷いは、これまで自分の影すら踏ませたことのなかった”格下”のライダー、トニ・エリアスに先行を許してさえも消えることはなかった

c0041105_074365.jpg レース後、エリアスと”楽しむつもりだった”と語っていたロッシだが、この日のエリアスは”遊び相手”としては危険すぎたし、何よりこの日のロッシにはバトルを楽しめる余裕などなかったはずだ

 『2位でもニッキーに8ポイント差をつけて最終戦を迎えることができる』というチャンピオンシップポイント上の”余裕”を目の前にした彼は、逆にこのレースではコンマ1%のリスクさえも受け入れることのできない”余裕の無さ”を全身から漂わせていた
 ”6年連続のチャンピオン獲得”を大きく引き寄せた”最高の結果”だったはずのこのレースのクールダウンラップで、彼は派手なウィリーもバーンナウトもほとんど見せることなく、ただ安堵の表情を見せながら足早にパルクフェルメへ向かった

 これまで、ただひたすらに攻めつづけてきた”KING”バレンティーノ・ロッシの心に芽生えてしまった小さな異物…
 長くもがき続けてきた”ポイントリーダー”という呪縛から解き放たれた"ACE"ニッキー・ヘイデン…
 
 そして、エストリルの勢いをさらに加速させるエリアス、期せずして着せられた汚名の返上に燃えるペドロサ、そしてこの2年間で地に堕ちてしまった誇りを取り戻さなければならないジベルノウという、最高の舞台が用意された母国GPで必勝を期する3枚のJOKER…

どのカードが、どんなふうに絡み、そしてwinnerとなるのか…
長く、波乱に満ちたシーズンがいよいよ最終章を迎える

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by taros_magazine | 2006-10-17 00:18 | motorcycle diary


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