フィナーレ (F-1 2006' SUZUKA)
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 思えば、すべての喜怒哀楽がここにあった

 自分がこの鈴鹿に足繁く通うようになったのは、ちょうどF1が開催されるようになってからだった
 
 車に何日も寝泊まりし、街の銭湯まで自転車で出かけ、暑い夜にはボウリング場のベンチで涼み、車やバイクの本がいっぱいの本屋でヒマをつぶし、当時はまだ珍しかったバーベキューグリルを囲み、駐車場で夜を過ごした

 でも、年を経るにつれて観客席には空席が目立つようになった

 日本最大のスポーツイベントだった8時間耐久レースに訪れる観衆は、今ではプロ野球1試合分にも満たない人数だ
 2輪の世界GPは、悲劇的な事故の原因の追及もその対策もあいまいなまま、もてぎに場所を移してしまった

 そして今、F1が鈴鹿での歴史に終止符を打とうとしている

 その鈴鹿と同様、今期で引退を表明しているミハエル・シューマッハーが、白煙を吹き出したマシンをコースサイドに止めたシーンを見たとき、この20年に鈴鹿で体験した様々な記憶が自分の頭をよぎった

 87年の8時間耐久でのヨシムラvsTECH21ヤマハのラスト5分の大逆転、89年の世界GPでのシュワンツとレイニーの歴史的超絶バトル、同じ89年のセナvsプロストのシケインでの接触と幻の優勝、そしてアスファルトに横たわったまま微動だにしない加藤大治郎の姿…

 タイトル獲得が絶望的になったとは思えないほど、穏やかな表情で観衆の声援に笑顔で応えながらピットへと戻っていくシューマッハー
 このとき、彼もきっとこれまでのレース人生で体験した様々な喜怒哀楽を思い出していたんだろうと思う 
 そして、きっと自分がどれだけ”幸せ”なのかをかみしめながら歩いているのだろうと思った

 なぜなら、彼は担架でもヘリコプターでもなく、自分の脚で歩いて友の待つピットへ、そして家族が待つ家へと帰ることができるのだから


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by taros_magazine | 2006-10-08 23:06 | toyohashi diary


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