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"clever " (motogp 06' Round-14 AUSTRALIAN GP)

\"clever \"   (motogp 06\' Round-14 AUSTRALIAN GP) _c0041105_14332845.jpg GPマシンとは異なり、人力だけでスピードを競う自転車競技には、明文化された競技規則のほかに多くの”不文律”が存在する

 数年前のツール・ド・フランス…この世界最高峰の自転車ロードレースで、トップの選手がゴールした瞬間、それを見ていたこの競技の伝説的存在、エディ・メルクスが吐き捨てた

 『何という恥ずかしい勝利だ!』
 
 この日のレースでは集団をやや離して2人の選手が逃げを打ったのだが、残りわずかとなったところで、後続に追いつかれるのを嫌った片方の選手が必死にペースを上げる反面、もう片方の選手はそれを”風よけ”に使って脚力を温存し、ゴール前でかわして勝利をさらったのだ

 もちろん、これはルール上禁止された行為ではなく、彼の勝利も当然認められた
しかし、メルクスの他にも多くの関係者、それに目の肥えたヨーロッパのファンたちは敗れた選手に惜しみない拍手を送り、そして勝者に容赦のないブーイングを浴びせた

 motogpでは、こんな勝ち方をしても誰も咎めない
 ましてやタイトルの懸かった終盤、ポイント差と相談しながらリスクを避けてライバルの真後ろでゴールしても、それは至極”当然”な戦法であり、むしろ”クレバー”なレースとして賞賛されるべきものかもしれない…
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 著しく変化する路面コンディション、それにレース中にマシンを乗り換えるといった異常事態…気が付けばニッキー・ヘイデンの目の前にはバレンティーノ・ロッシの姿があった
 このレースを含めても残り4戦、ポイント差は26…常にロッシの真後ろでゴールし続けることができれば、タイトルは彼のモノとなる
 
 しかし雨に濡れたフィリップアイランドで、ロッシのテールだけを見つめていた彼は、突如激しいチャージを開始し、そして抜き去ってしまったのだ
 
 それは、この数戦若きチームメイトが活躍するごとに強くなる自分への風当たりに対する反発だったのか、それともポイントリーダーとしての誇りを見せようとしたのか…とにかく、彼は何かの不文律にせき立てられるようにロッシをかわし、さらに前を目指そうとした

\"clever \"   (motogp 06\' Round-14 AUSTRALIAN GP) _c0041105_14381814.jpg しかしロッシはそれを許さなかった
 何度かのアタックで再びニッキーの前に出ると、リスキーな路面でさらにペースを上げた
 一瞬、離されかけたニッキーだが、これに反応するとすぐにまたロッシのテールに張り付き、そして二度と仕掛けることはしなかった…

 後は、そのまま5位でチェッカーを受ければよかった
 2ポイントを詰められるだけなら、残りのレースを考えればニッキーにとっては勝利に等しい”5位”だったハズだったが…

 最終ラップ、最終コーナーを立ち上がったところで彼が目にしたのはまさに”悪夢”だった
 
 最終コーナーを鋭角に立ち上がったロッシは、激しく振られながらもスロットルを絞り続け、フィニッシュラインまで100メートルほどのところでセテ・ジベルノーをかわし3位でチェッカーを受け、ニッキーはそのセテの後ろで”予定”どおりの5位でフィニッシュした

 あのままロッシを振り切るべきだったのか、それとも終始後ろについてタイヤと体力を温存するべきだったのか…

 悩めるポイントリーダーが出す結論は、この週末、日本で明らかになる

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by taros_magazine | 2006-09-18 14:52 | motorcycle diary


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