種蒔く人 (motogp 06' Round-13 MALAYSIAN GP)

c0041105_1225670.jpg まるで、ここがスペインかイタリアのサーキットであるかのような錯覚を覚えた

 それはレース終盤、バレンティーノ・ロッシとロリス・カピロッシが演じた超接近戦…そのときコース各所のテレビ中継用の集音マイクが拾った国際映像の音声の中に、マレーシアの観客の”絶叫”がはっきりと聞こえたからだ

 ヨーロッパや南半球の熱狂的な応援に比べ、この”グランプリ発展途上”のマレーシアのモータースポーツファンのレースの楽しみ方は、目の前を走り抜けていくモンスターマシンのスピードにため息をつき、その爆音に驚き、そしてこの世界的なイベントの場にいること自体を楽しむ、というスタイルだったように思う

 しかし、ロッシとカピロッシがこの日啓蒙した”とにかく、抜かれたら抜き返す”という、競争というもの究極の姿を見せたバトルは、そんな”行儀良い”観戦スタイルを木っ端微塵に吹き飛ばした
 この日、いつものようにセパンに集まってきたファンは、シートから腰を浮かせ、両手を振り上げ、2人のスーパーライディングに酔い、そして声を張り上げた

 そんな風景を日本で見たのはもう17年も前のことだ

c0041105_1232269.jpg 89年WGP開幕戦、鈴鹿のすべてのコーナーをパッシングポイントにしてしまったケビン・シュワンツとウェイン・レイニーは、それまでよく言えば”学者肌”、悪く言えば”オタク”的な観戦スタイルだった日本のモータースポーツファンを、わずか1時間足らずで”ラテン系”にしてしまった

 レースが放送された翌日には、これまで2輪のレースに興味を示さなかった知人たちまでもが『凄かったねぇ、34番のバイク』とか『惜しかったねぇ、3番の人』などと話していた
 
 その後、90年代にグランプリに吹き荒れた”日本人旋風”…
 もしかしたら、そのきっかけが、あの日のレースだったのかもしれないとさえ思う

 この日、セパンにも多くの若者達がつめかけていただろう
 その彼(彼女)らのうち何人かは、今頃レプリカヘルメットを購入したり、もしかしたらサーキットライセンスの取得方法を検索しているかもしれない
 テレビ観戦した子供達は、誕生日にポケバイをねだるかもしれない

 そうして受け継がれていく、グランプリの記憶とDNA…

 『この日ロッシとカピロッシが蒔いた種は、数年後きっと大きな実をつけるんじゃないか…』

 くしくもF-1の巨星、ミハエル・シューマッハーが引退を発表した日、そんなことを感じた
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by taros_magazine | 2006-09-14 01:28 | motorcycle diary


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