2位の価値 (motogp 06' Round-12 CZECO GP)

c0041105_175745.jpg 翼が生えたかのように軽やかに疾走するカピロッシの5秒以上後方、そして金縛りに遭ったかのようにまったく動けないニッキーの5秒以上前で、2人は壮絶な神経戦を繰り広げていた

 それまでトップのカピロッシとほぼ同タイムで走り続け、見る見るうちにロッシの背後に迫ったペドロサは、明らかにペースを落とし、その驚異的な洞察力をもって王者の走りの全てを見極めようとしていた
 一方、予選・ウォームアップとカピロッシにズバ抜けたハイペースでの走行を見せつけられたロッシもまた、ペドロサの気配を察知するや否や、あの予選最後のフルアタックの時とはまるで別人のような”普通の走り”に切り替えた

 たとえ勝利は得られなくても、ここでロッシに競り勝つことで自らの速さを知らしめようようとする若き野望と、25ポイントは獲れなくてもニッキーとのポイント差を縮める大きなチャンスを確実にモノにしたい王者のタイトルへの未練…
 まったく異なる目的のために何としてでも欲しい”価値ある2位”を目指し、噛み合っていないはずの両者の意思は、コース上で激しく交錯することなった

 いつまでたっても”奥義”を見せないロッシにシビレを切らしたかのように、ペドロサが”軽いジャブ”を放ったのは、いつもロッシが仕掛ける、あるいはスパートをかけるタイミングだった
 しかしロッシはそんなペドロサのイラ立ちを見透かしたかのように、接触ギリギリの強烈なブロックで”カウンターパンチ”を見舞った

 その後も仕掛けるペドロサ、押さえつけるロッシという異様なサイド・バイ・サイドをコース全周にわたって繰り広げた2人だったが、ほんのわずかなブレーキングミスでペドロサが離れたその一瞬、ロッシがマシンにムチを入れると2人の差はもう縮まることはなかった

 『ミスをリカバリーできなかった…』
 レース後のインタビューで悔しさを滲ませたペドロサ
 しかし本当に悔しいのは、ミスを犯したことなどではなく、最後にやっと引きずり出したロッシの”奥義”を、はるか後方でしか見ることができなかったことだろう

 はたして、この悔しさがバネになるのか、それともトラウマになってしまうのか…
 グランプリが海を超えて再びヨーロッパに戻った頃、それは明らかになる


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by taros_magazine | 2006-08-22 01:13 | motorcycle diary


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