忘れ物
 
 20代の頃、春から秋にかけては毎週のようにバイクでツーリングに出かけては、飯盒やコッフェルを使ってキャンプを楽しんだ
 30代になると、林道や河原でお湯を沸かし、コーヒーで一息入れた
 そして数年前、キャンプ用食器なんかのアルミが脳ミソに激しく良くないらしいということを知った…

 ということで、このところ物忘れがヒドい
 『あ、あれだ、あれあれ…あのー…あれだよ、例のヤツ!』などという会話はもはや日常茶飯事で、先日は3年前まで一緒に働いていた同僚の名前を思い出すのに2日もかかった
 しまいにゃ調べモノをしようとPCを起動させ、グーグルのページを開いたときには、肝心の調べモノの内容を忘れている有様だ

c0041105_21425542.jpg そして先日、またまたやってしまった…
 いつものように堰堤のヨコに車を止め、ベストを羽織ろうとすると…『あ、ランディングネットが!』なかったのである

 先日もまったく同じコトをやってしまい、集落に1軒だけあったスーパーで買った、子供が使う虫取り用の網でイワナをキャッチしたばかりなのに…
 
 「はぁ…いったい何のために北海道のNAOさんや地元のharuさんの芸術作品のようなネットを持っているのか…」
とため息をつきながらふとトランクに目をやると、そこにおよそ渓流にはふさわしくないゴツいネットがあった
 
 「あ、そういえば来る途中に買ったんだ…忍野用」

 そう、今週末の忍野釣行に備えて、とにかく”柄の長いネットを”ということで、釣り具量販店に並んでいた980円のスライド式のネットを買ったばかりだったのだが、そのことすら”忘れて”いたのだった…

c0041105_21432242.jpg そんな力の抜けっぷりに合わせたかのように、小さな堰堤上のプールでは小さなアブラハヤがポコポコと釣れた
 
 昼下がりののどかな止水の釣りは、こんな状況でもなんとなく笑顔になってしまう
 ふと上流に目をやると、友人がやはり10センチほどのアマゴを釣って『アハハ』と笑っていた

 少し移動して流れ込みの浅い瀬を狙ってみた
 ついさっきまでアブラハヤの遊び相手になっていたパラダンが、そのとき何故か急に違うフライになったように凛として輝き始めた

 思わず腰をかがめ、フリップアップしていた偏光グラスを戻し、フライを凝視した

 一瞬の間をおいて、フライは飛沫とともに水中に消えた
 思いのほか激しいファイトを見せた後、980円のネットに納まったのは、この川特有の朱点の少ない、円形に近い斑紋の見事な色艶のアマゴだった

c0041105_2143382.jpg その後、下流ではイワナの顔も見ることができた。友人も滝下の淵でグッドサイズのアマゴを数匹釣っていた

 釣り始めた頃の脱力感は、納竿の頃には心地よい疲労感と満足感に変わっていた

 いつのまにやら重ねた40年の月日…これからもいろんなコトを忘れていってしまうだろうけど、釣りの楽しさだけは忘れそうもないナ…そう思いながら、アルミ缶に入ったコーラをグィっと飲み干した


 *today's tackle  
rod:EUFLEX XFP 7'09 #2 (TIEMCO)
reel:CFO 1 (ORVIS)

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by taros_magazine | 2006-07-28 21:50 | fly fishing diary


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