屈辱 (motogp 06' Round-9 英国GP)

c0041105_21111180.jpg 完璧なレース・ウィークだった
 
 コンマ5秒もの差を付けてのポール・ポジション、あわや転倒という激しいスライドを立て直し、再びトップに返り咲いたファイティング・スピリット、そして渾身のスパートで後続を振り切って独走で受けたチェッカー・フラッグ…
 
 ダニ・ペドロサはグランプリ”母国”のファンに、その溢れんばかりの才能と強さを見せつけたはずだった
 
 彼はその会心の勝利を自ら祝福するべく、マシンにまたがったまま立ち上がり、何度も両手を大きく振るという、彼にしてはめずらしいほどのストレートな感情表現で”目の肥えた”英国のファンの声援に応えようとした
 
 しかし、そのペドロサの視界に飛び込んできたのは、興奮しフェンスを乗り越え、雄叫びを上げながら…彼に一瞥をくれただけでその脇をすりぬけていく観衆たちと、その先で何百、何千という熱狂した群衆に囲まれているバレンティーノ・ロッシの姿だった…
 
 motogpのニューカマーに4秒近く遅れての2位フィニッシュだというのに、完勝したカタルニアでのウィニング・ランのように、ウィリーやバーンナウトを繰り返したロッシは、痛めている右手を何度もファンに手荒く叩かれることも顧みないファンサービスを繰り返した
c0041105_218137.jpg
 長い”ウィニング・ラン”の後、ロッシがパルクフェルメに戻ってきた時には、すでに”勝者”ペドロサの顔から笑顔は消えていた
 
 その時、ロッシが思わぬ行動に出た

 スタッフとこの日のレースについて何か話し合っていたペドロサのすぐ横で、ロッシは激しくリアホイールをスピンさせ、あたり一面を白煙に包んでしまったのだ
 
 いや、それだけならいつものロッシなら”アリ”な行為だったかもしれない
 ただ、彼がいつもと違っていたのは、ホイールスピンの最中も、そしてマシンを降りてスタッフに駆け寄った後も、何度もペドロサの方に向かって挑発するような視線を送っていたことだ 
 
 もちろん、その直後には互いに健闘をたたえ合う仕種を見せてはいたが、それはまるで”儀式”のように形式張ったものだった…
 
 表彰式でもファンの声援はロッシのものだった
 
 勝ったはずのペドロサがこのドニントンで味わったのは、勝利の美酒ではなく、ある意味ではあのなすすべ無く離されていったフランスGPよりも遙かに大きな屈辱だったのかもしれない
c0041105_2182350.jpg
 大観衆にも、そして国際映像にも完全に無視された若き才能…
 満身創痍の身体で、タイトなスケジュールをしのぎきった最強王者…
 
 今シーズン、ここまで微妙にスレ違ってきた2人の”ライン”が完全にクロスする日は近い

 taro's magazine mainsite …
[PR]
by taros_magazine | 2006-07-04 21:18 | motorcycle diary


<< 隙間 Dutch Weather (... >>