鮮血

 「また…だ…」

 やっとの思いで手にした1匹…そのアマゴの口元から流れ出る血を見たとき、言葉にできない衝撃を受けた
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 今までもランディングした魚が出血していたことは何度もあった
 何も考えずにバーブの付いたフックを使っていた頃は、外すのに手間取り出血させてしまうこともたびたびあった
 ほかにもスレ掛かりしたときや、深く飲み込まれてしまったときなど、申し訳ない気持ちを感じながらフックを外し、魚その後の無事を祈ってきた

 ところがこの1ヶ月ほど、どういう訳か釣れた魚の口元からは血が流れ出ていることが多かった
 そしてその口元を注意深く見てみると、まるで刃物で切ったかのように傷口が開いているのだ

 始めのうちは、使っているフックのせいだと思った
 
 大手メーカーが数年前に発売したそのフックは、先端部が平べったくなっており、”掛かりの良さ”を謳い文句に大々的に売り出されたが、その刃物のような先端形状が、ファイトする魚の口元を切ってしまうのでは?と思っていた

c0041105_193739.jpg でも、ある日違うフックを使っていたのに、同じように出血しているアマゴを見て愕然とした
 しかも、3匹立て続けに出血しているのを見るに至り、もはや自分自身の釣り方に問題があるとしか思えなくなっていた

 心当たりがあった
 今年の3月…寒狭で初めての尺アマゴに撮影前に逃げられてからというもの、一刻も早く写真を撮ろうとするあまり、フックの外し方が強引になっていたことを薄々感じていた

 さらに5月に二度にわたって体験した西野川での尺オーバーとのファイト…その感触が忘れられず、いつのまにか寒狭や根羽でも大合わせをしていたことにも気づいていた

 顔面を鮮血に染め、口をパクパクさせているアマゴを前に、自分ができること…
 それは1秒でも早く、その魚をもとの住処に帰すことしかないはずなのに、その苦悶の表情のアマゴの写真を撮影してしまった

 出血させてしまったことと、それを撮影してしまったことに対する痛烈な懺悔と後悔…
 それ以上釣り上がる気にもなれず、イブニングを前に川を後にした 

 今こうして眺めるその写真…
 それは、自分にとっては”伊達や酔狂”であっても、魚にとっては生死を賭けた格闘であること…それがフライフィッシングであるということを、あらためて胸に刻ませてくれた


*today's tackle
 rod:Euflex XFP 6'09 #3 (TIEMCO)
 reel:CANTATA 2200 (UFM ueda)

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by taros_magazine | 2006-06-15 22:03 | fly fishing diary


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