分かれ道

 仕事を終え外に出て、空を見上げたまましばらく悩んでいた
 『行こうか、それとも…』
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 こんなとき、いつも結論は決まっている。この日もやはり1時間ほど後には渓に立っていた

 しかし目の前に流れていたのは、いつもの澄んだ浅い流れではなく、濁った速い流れだった
 その流れと、先週の西野川からそのままフライパッチに残されていた2種類のフライを見つめて、ふたたび悩んだ
 『沈めるか、それとも…』

 結局、西野での強烈な印象が生々しく残っている右手で、ビーズヘッドの付いた小さなフライをティペットに結んだ
 しかし、目の前の小さなプールでは、西野のようなサイズはおろかチビ1匹マーカーを動かすことはなかった

 暮れていく日に急かされるように、下流に向かった
 そして小さな支流との合流点に立ながら、またもやしばらく考え込んでしまった
 『本流筋か、それとも…』

 この日の優柔不断さをそのまま現したかのように、10数メートルだけ本流筋を釣り上がって失望した後、今度は支流に入っていった

 この頃から辺りではハッチが随所に起きていた
 しかし、この期に及んでもまだ、迷いながらもフライを沈めて探っていた

c0041105_2320266.jpg ここまでまったく魚信を伝えてくれないマーカーを見ているうちに、どうせ釣れないのならと大きなパラシュートに結び換えて細い流れに投じた

 1投目で良形のイワナが飛び出した
 「居るじゃないか」という安堵感と「最初からコレでやってりゃぁ…」という後悔…
 そんな入り組んだ思いが伝わってしまったかのように、イワナは足下でフックを外して去っていった

 そのすぐ上の小さなプールでは、さらに大きなアマゴがフライをくわえたが、すぐに外されてしまった
 その反動で水面上を覆っていた枝に絡まってしまったティペットを回収すると、そこには自分のフライと、もう一つ誰かのフライが付いていた

 結局、その後も掛けてはバラすという悪循環に入り込み、最後まで魚をネットに納めることができずに1日を終えた

 こんなとき、帰り道ではいつも『何故ダメだったんだろう…』と考える
 
 選んだ日、場所、タックル、フライ…それぞれの”分かれ道”の、どこかで逆の道を選んでいたら、結果は違っていたんじゃないだろうか、と…

c0041105_23203469.jpg ふと、あの枝にからまっていたフライのことを思い出した
 
 『あのフライの主は、どんな道をたどってあそこに来たんだろう?』

 きっと、まったく違う”道”を選んでやってきたに違いない
 でも、自分とまったく同じポイントの、同じ枝にフライを絡め取られてしまった彼(彼女?)…

 『どんな道を選んだか、なんてあまり意味のないことなのかもしれない』

 そんなふうに考えると、この日の結果を笑って受け入れることができた
 カーナビが示す自宅までの帰路とはまったく違ったルートで家路を急ぎながら…


*today's tackle
rod:ELNOR 8'01 #3 (KEN Craft)
reel:RIVER BREEZE 3/4 (KEN Craft)

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by taros_magazine | 2006-05-14 23:29 | fly fishing diary


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