嗅覚(motogp 06' Round-3 トルコGP)
 
 何度も勝利に手が届くところまで迫りがら、あとわずか届かずにグランプリを去ったライダーがいた
 抜群の速さを持ちながら、何度かのケガが原因で輝きを失っていったライダーもいた

c0041105_6582584.jpg こんなふうに、”女神の後ろ髪”を掴みかけながらも、スルリとかわされてしまうライダーと、何度も勝利を、タイトルを獲得するライダーの違いはどこにあるのか?

 天性の資質、磨き抜かれたテクニック、恵まれたチーム体制…それらが重要な要素であることはもちろんだが、トップライダーだけが持っている何か…
 
 それは”運”と称されるもの以外の、もっと本能的なモノを身につけているかどうか、という部分にかかっている気がする

 この週末…くしくも”全てを持っている王者”ロッシが後方に埋もれてしまったレースで、グランプリの今後を担う若者たちは、自身が持つその”何か”を競い合う品評会のようなバトルを見せつけた
 
 先行するペドロサを、メランドリを、ヘイデンを、それぞれが犯すほんの些細なミスを”予測しているかのように”巧みに抜いていくストーナー、ニューカマーの心理状態を”見透かしているかのように”勝負所でキメたメランドリ

 いや、”○○のように…”ではなく、それこそが彼らが持っている”何か”なんだろうと思う

c0041105_6583859.jpg かつて、その”何か”を、ハッキリと見せつけたチャンピオンがいた
 89年の最終戦ブラジル…ランキング2位のウェイン・レイニーに10ポイント以上の差をつけていたエディ・ローソンは、このままシュワンツに続いて2位でチェッカーを受ければ2年連続のタイトル獲得となるレースだった
 その最終ラップ、彼の直前を走っていた周回遅れのライダーが彼の進路をふさぐような形でクラッシュしたのだ

 誰もが『巻き込まれる!』と思った次の瞬間、ローソンはまるでそのライダーがミスを犯し、転倒した車両が転がってくるラインを”知っていたかのように”、造作もなくその横をすり抜け、そのままチェッカーを受け2年連続のタイトルを獲得した

 危険を、相手のミスを、そして勝負所を嗅ぎ分ける”嗅覚”の鋭さ…これこそが、勝ち続けるライダーとそうでないライダーとの決定的な違いなんじゃないだろうか…

 そういった意味では、開幕戦でははっきりと見えなかったペドロサというライダーの資質も、このレースで垣間見ることができた

 それは皮肉にも彼のクラッシュシーンだった

c0041105_6585356.jpg 無理なブレーキングでフロントを滑らせた彼は、そのまま身体の左側面を激しく路面に叩きつけられた
 多くのライダーが、肘、そして鎖骨をヤッてしまうこのようなシーンで、彼はその瞬間、本能的にレーシングスーツの最も防護の厚い背中から落ちるように身体をよじらせたのだ

 この極限の状況下で、そんな動きをやってのける彼もまた、充分な嗅覚の持ち主だった


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by taros_magazine | 2006-05-02 07:02 | motorcycle diary


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