記憶 (Dedicated to "Camera ba-chan")
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 久しぶりに初めての川へやってきた
 いつも通っている寒狭川と根羽川の間に位置する漁協なのに、不思議と足を運ぶことのなかった名倉川…
 
 ここへ来る気にならない理由はいくつかあった
 整備された国道で名古屋圏から1時間ほどという、アクセスの良さによる混雑、要所要所に設けられた発電や取水用のダム、そして2000年の東海豪雨による壊滅的打撃…

c0041105_15563196.jpg そんな川にやって来たのは、”久しぶりの再会”という楽しみがあったから…
 『輝ける沢の辺で』のライズさん、『大好き!管理釣り場』のsammyさん、そして『Step into the river』のBILLさん…
 皆、web上で知り合ったフライフィッシャーたちだ 

 そんな気持ちのせいか、いつもは通り過ぎるだけの川がとても美しく見えた
 
 朝から1匹も釣れないというシビアな状況も格好の”話のタネ”。堤防に腰掛けて川を見ながら、いつもとはまた違ったランチタイムを楽しく過ごすことができた

 所用で午後からは家路に着かなければならなかったのだが、少しだけ遠回りをして寒狭川に沿って車を走らせた 
 
 いつも走り慣れている細い道…その脇に建てられた小さな倉庫を通り過ぎるとき、一人のおばぁちゃんのことを思い出した

c0041105_15564980.jpg もう何年も前…偶然見ていたそのテレビ番組に、自分が毎週のように通う寒狭川の風景が映し出されていた
 その脇の小道を、古びたカメラで写真を撮りながらニコニコを笑顔を振りまくおばぁちゃん
 その彼女の足が、小さな倉庫に掲げられた看板の前で止まった
 ”設楽ダム建設 絶対反対”
 「だーれも欲しくないわな、ダムなんて…」そう言って彼女はシャッターを切った

 彼女が岐阜の徳山ダムに沈む自分の村の写真を撮り続けている増山たづ子さんだということは、その番組の中で知った

 彼女が撮影したその倉庫の看板は、放送の翌週に撤去された
 この集落に住む人たちの思いも、彼女の村と同様に”過去のもの”にされてしまったのだ

 しかし、消えてなくなったわけではないと信じたい
 彼女の撮影した写真が、彼女が亡くなってしまった今も多くの人の心を揺り動かし、今まさに消えようとしている徳山村の記憶を”永遠のもの”にしているように、自分もこの川で釣りをしたことを、いつまでも忘れることはないだろう…

 たとえこの里がダムの底に消えようと… 
 
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 *「増山たづ子 徳山村写真全記録」(影書房)より

*today's tackle
rod:CFF Rightstaff 8'10 #2 (Caps)
reel:AMPEX SK-1 (Caps)

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by taros_magazine | 2006-03-26 16:12 | fly fishing diary


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