重荷 (motoGP 2005' マレーシアGP)
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 勝てる可能性があったにもかかわらず、勝ちに行かないロッシを初めて見た気がして驚いた
 ロッシは、タイトルというものにそれほど高い価値を持たないタイプのライダー(あくまでもローソンやドゥーハンとの比較ではあるが…)だと思っていたからだ

 これまで、タイトルを確実なものにするには順位をキープするべきシチュエーション(雨であったり、先頭がタイトル争いに無関係なライダーであったりするような場面)であっても、彼は貪欲に勝ちに行き、時にはクラッシュしてしまうようなこともあった
 そしてチャンピオンになってもゼッケンは”46”で通し、長期安定政権が可能だったはずのホンダのエースの座を放り出し、ラリー選手権への出場やF-1のドライブさえも楽しんできた

c0041105_22272288.jpg そんな姿を見てきて、彼はレースを、そしてバトルを楽しむタイプのライダーであり、”チャンピオン”というものは、結果としてついてきた”称号”として彼自身理解しているのでは、と思っていた

 その彼が、このマレーシアラウンドを終えてもまだ4戦もレースを残している段階で、早々とタイトル欲しさに勝利を”放棄”することが理解できなかったのだが…

 もしかしたら、自分の(あるいは他の多くのファンや関係者の)こうした考えこそが、彼にこのような走りを強要してしまったんじゃないだろうか?と思ってしまうシーンがレース後に見られた

c0041105_22273329.jpg ウィニング(?)ランの途中、マシンを降り、7度目のタイトルを祝うTシャツとヘルメットを身につけ、コースサイドで待機していた白雪姫の物語に出てくるようなコスチュームをまとった”7人の小人”たちと並んでの記念撮影…

 こんな”仕込み”をロッシ一人で考えたり、ましてや手配できるわけがない
 彼の取り巻きが入念にプランを練り、そのためだけにマレーシアまで(もしかしたら日本にも)エキストラと荷物を送り込む…
 
 こんな一部始終を目の当たりにしたとき、ロッシは何を思ったのだろうか?
 
 自分に対する期待、そのために費やされる労力・費用…それに報いることができる唯一の行為が”タイトル獲得”であるという現実を思い知ったとき、彼は自らの”楽しみ”を封印し、スタッフのため、ファンのために2位を受け入れたのではないだろうか?

 用意された”ネタ”の規模とは裏腹に、チェッカー後の彼は得意のバーン・アウトも片足ウィリーもほとんど見せず、忙しく”セレモニー”をこなしているように見えた
 そしてインタビューの際に見せた表情…疲弊し、憔悴しきった中にかすかに見られた安堵の表情が、マレーシアの暑さのせいだけでないこともあきらかだった

 今や多くの関係者が”GP史上最高のライダー”と認めるバレンティーノ・ロッシ
 私たちは、まだ26歳の彼に一体どれほどの重荷を背負わせてしまったのだろう…
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by taros_magazine | 2005-09-27 22:36 | motorcycle diary


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