渇望
 
 フライフィッシングをはじめてかれこれ10年ほど。自分がこれまでに釣った魚のサイズは、アベレージにすると10~12センチくらいだと思う
 
 何しろ『釣れただけでたいしたモン』というスタンスでこれまでやってきた
 雨の後には養魚場の排水口の流れ出しに駆けつけ、梅雨明け頃の稚魚放流の時期には何の迷いもなく#20のフライをティペットに結びトロ場に入った

 とにかく、魚を釣りたかった。パーマークが見たかった
 いつしかパイロットフライは#18以下になり、淵を避けるようになった
 
 ただ、いつまでたっても”忘れられない感触”があった

 1997年、岐阜の旧河合村の下小鳥川。成魚放流とダムからの遡上モノというグッドサイズの宝庫だった川…その一番の人気スポットでのイブニングで仕留めた34センチのイワナ…
 震える”両手”でリリースしたあの1匹の感触が、いつまでたっても自分のフライ歴のハイライトになってしまっていた

c0041105_21514331.jpg 今日出掛けた寒狭川の支流は、小さいけれど綺麗なアマゴが釣れるところ…のハズだったのだが、禁漁を目前にすでに資源は枯渇しているようだった
 
 そんな中、”いかにも”のポイントから出た20センチほどのイワナが、#2のロッドを絞ってくれた
 まるでニジマスのように水面高く跳ね、石を越え、激しくアタマを振ったイワナ…
 
 このイワナが、今シーズン途中から自分の頭の片隅に芽生えかけていた”あるモノ”を刺激した
 『大物を釣りたい…』

 場所を変え、もう少し規模の大きな支流に移動した
 いつも粘る小さな瀬や細い筋を無視し、いつもはスルーしている淵を狙うことにした

 堰堤下の沈み石の陰…その脇を流れる#14のパラダンを、大きな影が追いかけてくる
 まるで高解像度のスローモーションの映像のように、その大きな口が開くのが見えた
 『…!』

 早アワセしてしまったフライは虚しく宙を舞い、心臓の鼓動は早送りの映像のように激しくなった

 その動悸の静まる間もなく、次の淵ではさらに大きな影がフライをチェイスしてきた
 そして2投目、ついにその悠に尺を越えそうなアマゴは水面を割った

 完璧なタイミングのハズだった。しかしまたもやフライは宙を舞った

 ついさっきまであれほどまでに激しく脈打っていた鼓動は、急速に平静を取り戻していった
 あのアマゴも二度と姿を見せることはなかった

 そして、大物に対する”渇望”だけが肥大した
 わずか1週間の漁期を残して… 
c0041105_21512382.jpg


*today's tackle
rod:Rightstaff 8'10 #3 (CFF) , EUFLEX XF8'02 #2 (TIEMCO)
reel:Caprice miu SG-1 (GRAIN) , Fates TM-1 (TENRYU)

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by taros_magazine | 2005-09-23 21:55 | fly fishing diary


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