思い出の川
 
 自分が普段、せっせと通っているのはこんな川である
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 およそ良識あるフライフィッシャーなら通り過ぎるか、あるいは避けて通るようなところかもしれないし、環境に詳しいフライフィッシャーなら、もしかしたら「こんな川にサカナだけ放流して、生態系を…」などと漁協に怒鳴り込むかもしれないようなところだ

c0041105_23204396.jpg いつしかこんな川で釣りをすることに何の抵抗も感じなくなっていた
 もちろん、阿寒川のような美しい景色の中でキャストするのはとても気持ちよかったし、西野川のような広い川原でのんびりとライズを待つのも楽しいと思う
 でも、たいして大きなアマゴが釣れるわけでもなく、数が出るわけでもなく、すぐ脇には幹線国道が走り、延々と両岸護岸された水路のような川で過ごす1日が、とても心地よいものになっていたのである

 今日も、この根羽川で午前中を過ごした

 前夜の雨が刺激となったのか、いつもよりちょっとだけ大きめのアマゴが何匹か顔を見せてくれ、今日も気持ちよく釣りを終えるハズだったが…
 
 帰り支度をしようとして気が付いた。家を出るときにフライをセットしたままのロッドが1本、まだ使われずに車に載っていた

c0041105_2334521.jpg 「大名倉に行ってみよう」

 およそ2ヶ月ぶりの寒狭川。それも大名倉地区となると、ほぼ4ヶ月ぶりだった
 
 自分が初めてフライフィッシングというものを体験した”思い出の川”。その寒狭上流屈指の清流として人気の大名倉は、この日本流との出会いから源流部近くまで、釣り人と思われる車は皆無だった

 川に入ってすぐに、ある種の違和感が身体にまとわりついてきた

 渓をせき止めるように横たわる何本もの巨木、灰色に変色した石垢、何年も放置されている川底に沈んだビニールシート…
 ここには真新しい護岸も、トラックがひっきりなしに走る国道もないけれど、根羽川よりも遙かに濃密な不快感が漂っていた

c0041105_23504371.jpg もうやめようと思い、フライをピックアップすると、ロッドに振動が伝わってきた
 ティペットの先には、22~3センチのイワナが食いついていた
 ネットに収まったイワナをしばし呆然と見つめていると、なぜかちょっと笑ったように見えた
 
 ようやく落ち着いた気持ちになり、川沿いの道を家へと急ぐと、人気ポイントの入渓点に1台のワンボックスが止まっていた

 「イブニングまで粘るのかな?」…
 車の回りでは、作業服姿の男性が3人…うち1人が持っていたのは『測量中』と書かれた大きな看板だった

 ダムに沈む”思い出の川”
 
 その現実を認めたくなくて、この川を避けているのかもしれない


*today's tackle
rod:Rightstaff 7'10 #2 (CFF) , FREESTONE FS 8'00 #3 (Shimano)
reel:CT 2/3 (Redhigton) , Caprice miu SG-1 (GRAIN)

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by taros_magazine | 2005-08-31 23:59 | fly fishing diary


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