Cross Road (motoGP 2005' チェコGP)
 
 ロッシは怒っていた
 思うように進まないセットアップに、実力差の出にくいサーキットに、そしてセッションのたびにゾロゾロと付いてくる”金魚のフン”に…
 フロントロウさえも逃した予選終了直後、いつもの軽快さを微塵も感じさせない暴力的なウィリーは、決してファンサービスなどではなく、やり場のない怒りを爆発させるかのような激しいものだった
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 ジベルノーは意外なほど落ち着きはらっていた
 今シーズン未だ勝利ナシ。しかしサマーブレイク明けのこのブルノで、彼の強さは際だっていた
 決して破綻を感じさせないスムーズかつキレのある走りを取り戻した彼は、予選でも狙い通りにトップタイムをたたき出し、決勝前のウォームアップでも誰よりも速いペースで何周も走り続けた
 
 その対照的な週末を過ごした二人が、決勝レースについては同じような展望を語った
 「きっと混戦になる」

 レースが始まっても、ロッシの怒りはおさまってはいないようだった
 何度もジベルノーのマシンをかすめるように、ときには接触しながらのオーバーテイクを繰り返す。ジベルノーの前に出ても突き放せず、むしろペースを乱して再びかわされる姿は、まるで彼の心理状態を表しているかのようだった

 そんなロッシの”挑発”にもかかわらず、ジベルノーは冷静だった
 強引に突っ込まれることを承知していながらも、あえてインを抑えるようなラインを通らず、大きなラインで自分のペースを守る。前で後ろで、さかんに仕掛けどころを探すロッシを気にも留めず、タイヤの消耗を抑えた走りを心がけているようだった

 その2人を1~2秒差で伺うカピロッシ、ヘイデン、ビアッジ、バロスら…一見、久しぶりの大混戦だが、これを予想していた前を行く2人だけは、このレースが”2人のマッチレース”であることを本当は見抜いていた

 ”勝負は最終ラップ”

 2人にとって、3位以下との差はコンマ5秒あれば充分だった
 どうせファイナルラップになれば誰もついてくることなどできないということを、この日の2人は暗黙のうちに共通理解としていたから…

 しかし最終ラップの残り半周を切ったところで、このレースウィークの運命が交差した
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 すべて順調に運んでいたジベルノーのマシンは息絶え、土壇場でセッティングを変えるほどもがいていたロッシがトップでチェッカーを受けた

 残酷なまでに対照的な両者のピットの風景、そして2人のライダーの姿…

 チームグレシーニを覆った突然の暗雲…しかし、その中に差し込んだ一筋の力強い光があることもまた事実だ
 「今日、一番”強かった”のはジベルノーだったと思うよ」
 ロッシがインタビューで語った言葉は、決して社交辞令でも敗者への気遣いでもないはずだ

 この日、ジベルノーは25ポイントを失ったが、ライダーとしての”輝き”とライバルからの”尊敬”の2つを取り戻したのだ
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by taros_magazine | 2005-08-29 21:23 | motorcycle diary


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