予感
 
 「電話がかかってくる数秒前に、呼び出し音が鳴るような気がした」とか、「あのブラインドカーブの先に、なんかイヤなコトがありそうなんでスピード落として進入したら、故障車が車線をふさいでた」とか…
 なにかを察知して身構えているところに、ズバリ何かが起きた、という話をよく聞く 

c0041105_21104882.jpg 「そんなのは『当たった』ときの記憶が『ハズレ』のときの記憶より強烈だから、より印象に残るだけだろ」などとアッサリ論破されてしまうこともあるんだけど…

 「出る、絶対!」
 水面を流れているフライを見つめながら、そう確信する瞬間がある

 選んだフライ、キャストするポイント、流れていくレーン…これらがすべてマッチしたことを、これまでの経験でわかっているから、そう予感することもあるんだろうけど、初めての川でも、とりあえず流したフライでも、そう確信し、実際に魚が飛び出してくることもある

 今日、静かな山村の間を流れる里川での体験したのは、後付の理論でも膨らんだ記憶でもない。その瞬間にハッキリと”予感”した、という事実だ
  
c0041105_20523985.jpg その貧相なパラダンが水面に着地した瞬間、「釣れる」と確信した

 いつもさんざん見慣れている、テールも省略した手抜きフライ…しかし、その手抜きパラダンは、希少種の蝶々が蜜をもとめて蘭に舞い降りたかのように、凛々しく水面に立ち、そして華麗に流れの中に身をゆだねていた

 まるで糸を引くような幻想的なデッドドリフト…時が止まったかのような甘美な一瞬

 そこには、これまでの経験や知識など介在する余地などない。水面に投影される残像と実像。そして、それにより揺り動かされる感性が支配する空間があった 

c0041105_20552269.jpg ふと我に返り、これが魚を誘い出す人造の道具だと思い出した
 「さぁ、食え!」と小さな声でつぶやいた瞬間、その道具は27センチのアマゴの上あごに掛かった

 こんな素晴らしい体験には、フライフィッシングをしたこともないような学者の説明は不要だ
 

*today's tackle
rod:FREESTONE XT8'08 #3 (shimano) , Cremona 7'11 #3 (coatac)
reel:TR-L solid (abel) , marquis #2/3 (House of Hardy)


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by taros_magazine | 2005-06-24 21:30 | fly fishing diary


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