"in memories of …"(MotoGP 2010 Round-12 SAM MARINO)

「おとうさん、とみざわ君だいじょうぶなの?」

「どうかな・・・大丈夫だといいね・・・」

「きゅうきゅう車きたかなぁ?」

「たぶん、もう乗ってると思うよ。中で先生が『大丈夫ですか?』って診てるよ」

「痛いのかなぁ?」

「痛いかもしれないけど、がまんしてるよ、きっと」

「だいじょうぶかなぁ?」

「・・・」

「なんか、しんぱいになってきちゃった」

「・・・」

「きっと大丈夫だよ。もう遅いから、先に寝てて。おとうさんすぐに行くから・・・」


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 でも、状況が良くないことはドルナの経過発表を待つまでまでもなく明らかだった

 コスタ医師が診て、命に別状がなければすぐにテロップが入るだろう時間になっても、Moto2のレースが終わっても、その朗報はもたらされなかった

 チーム…加藤大治郎が最後に所属した…の地元で勝ったトニ・エリアスの沈痛な表情は、疲労感が原因でないことは明らかだった

 MotoGPの決勝レースが周回を重ねていっても、病院へ搬送された以後の情報は入らなかった

 それは、最悪の結果がチェッカーを待って知らされるであろうことを暗示していた

 残酷なカウントダウンとなったMotoGPの最後の数ラップ…そして…

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c0041105_0524549.jpg娘はもう寝ていた

『とみざわ君、ダメだったよ…』



 でも、これだけはわかってほしい

 オートバイの競争は、いっしょうけんめい練習して、いっぱい頑張って、運転がものすごく上手になった人たちがやっているんだ

 その人たちは「死んでもいい」とか「ぶつかってもいい」なんて考えてないんだ

 ほかの選手たちとはかぞくのように仲が良くて、いつもはみんなえがおでお話してるんだ

 だけどものすごく速いスピードで走るから、ときどきころんじゃうこともあるし、けがをしちゃうこともある

 だからそうならないように、選手も、コースで働いている人たちも、みんないろいろ考えて頑張っているんだ

 おとうさんもこういうふうにころんで病院に行ったこともあるし、ずーっと前にはころんで死んじゃったお友だちもいる

 でも、オートバイに乗っていろんなとこへ行ったり、ほかの人と競争したりするのはほんとうはとても楽しいんだ

 きれいな景色を見て、風をからだで感じて、友だちみんなで笑ったり、喜んだり…

 でも、それでも悲しいけど死んじゃう人もいるんだ

 それは死んじゃった人が悪いんじゃないんだ

 ぶつかった人も悪くない

 誰も悪くないんだ

 だから、そういうときにはこう言うしかないんだ

『とみざわ君、ありがとう。ほんとにカッコよかったよ。ずっと忘れないよ』って





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富沢祥也選手のご冥福を心よりお祈り申し上げます
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by taros_magazine | 2010-09-07 00:59 | motorcycle diary


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