"Delight" (MotoGP 2010 Round-7 CATALUNYA)
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 トップでチェッカーを受けたロレンゾのウィリーからは、不思議と”歓喜”の感情が伝わってこなかった

 わずか2ヶ月前のヘレス、あの母国グランプリでの初めての勝利に溢れる想いを抑えきれず、コースサイドで、ポディウムで喜びを爆発させていた彼…

 しかし、このカタルニアでロレンゾが見せた、何かを路面に叩きつけるように、ラフにスロットルを開け腕力でフロントを持ち上げるような暴力的なゴールシーン

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 それは、もう20年以上前に見たあるレースのフィニッシュのシーンを彷彿とさせた

 AMAでも、グランプリでも、常に”エース”として自分の前を走っていたエディ・ローソンとの、遂に実現した最高峰の舞台での真っ向勝負…

 89年のホッケンハイム…最終ラップの最終コーナーまでもつれたレースを、ウェイン・レイニーは持てる技術、戦略、そして執念にも似た強靭な精神力を、彼のポリシーである”120%”発揮して勝利をもぎ取った

c0041105_12224562.jpg そのレイニーがフィニッシュラインを通過する時に見せたガッツポーズは一種異様なものだった

 拳を堅く握り締めた左手を、何度も何度も激しく前方に突き出すように振りながらストレートを走り去る…

 その姿は、同年あの伝説の鈴鹿でのフィニッシュ直後、ラップタイムカウンターを読み違えたことに気付いた後の激しい”怒り”の意思表示にも似たアクションだった

 あのときのレイニーと、この日のロレンゾ…2人が見せた不思議な感情表現
 その根底にあるもの、それは…

 レイニーのガッツポーズ…それは、エディ・ローソンというたった一人の人間を倒すために、何故これほどまでの長い時間を要してしまったのか、という自分自身に対する”怒り”と、遂にそれを成し遂げたという”達成感”という相反する2つの感情を、精神が整理できぬまま身体が表現してしまったもののように思えた

 そしてロレンゾのウィリー
 それは、この1年片時も忘れることのできなかった去年のここでの屈辱…そのリベンジのためにすべてを捧げてトレーニングとテストを重ねてきたというのに、その倒すべき相手であるバレンティーノ・ロッシがここにはいないという”怒り”と、もうロッシが戻ってきても絶対に負けないという確信が持てるほどにパーフェクトなレースをしたという”達成感”が醸し出したものだったのだろう

c0041105_101534.jpg 1年前、ほんのわずかな隙をロッシに突かれた最終コーナーを臨むところに自らの王国の国旗を掲げたロレンゾ…

 ロッシを倒し、掛け値なしの歓喜のウィリーを見せる時…
 
 それは、彼の王国が”世界制覇”を成し遂げる時だろう
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by taros_magazine | 2010-08-13 09:55 | motorcycle diary


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