"without him (part 2)" (MotoGP 2010 Round-5 Great Britain)

 誰も彼についていけない
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 予選から波に乗るランディ・ド・ピュニエも、本来のキレを取り戻したベン・スピーズも、そして前戦ではぶっちぎって勝ったダニ・ペドロサも…誰一人としてホルヘ・ロレンゾの影さえ踏むことができない

 250cc時代の圧倒的な強さを彷彿とさせるようなハイペース…しかしあの頃のように2位以下を挑発するかのような”傲慢”なレースコントロールはそこにはなかった…

c0041105_15192098.jpg まるでピットサインさえ見ていないのでは?と思えるほど自分の走りに集中し、電波時計のように正確にラップを刻み続ける姿は、彼が”レース”をしている相手が8秒後方で肉弾戦を繰り広げているアンドレア・ドヴィツィオーゾやニッキー・へイデン達ではないことをはっきりと物語っていた…

 レース前、いつもなら余裕さえ感じさせる振る舞いを見せる”定位置”のポールポジションのグリッドでも、ロレンゾはこれまで見せたことがないような張り詰めた雰囲気を醸し出していた
 自身のツイッターのPRボードも、そして彼へのメッセージを掲げることもなかった

 そして完璧なレースでチェッカーを受けた後の派手なウィリーとパフォーマンス、さらにはチームとブリジストンに感謝を述べながらも、病室のチームメイトには言及しなかった

 そう、この日ロレンゾは、わずか2週間前にあれほどの動揺を見せていたバレンティーノ・ロッシの不在という異常事態に対し、パーフェクトな対処法を身につけてきたのだ

c0041105_15194337.jpg 迫りくるM1のエキゾーストノートが聞こえなくてもマシンにムチを入れることができる精神力を
 青と黄色のニンジンが目の前にぶら下がってなくてもハイペースを刻み続けることができる冷静さを…

 そして、大英帝国のファンの前でビートルズを模したファンサービスでレースを締めくくった彼は、ロッシのいないグランプリへの対処法を、世界中にアピールしているようだった

 しかし、世界中のファンにそれを受け入れてもらうため、まだ成すべき事があることは、ロレンゾ自身が一番良く知っているだろう

 バレンティーノ・ロッシという、記録と記憶の巨大な塊を打ち消す方法…それは、勝つだけでも派手なパフォーマンスを見せることでもなく、グランプリ史上に永遠に刻まれるようなバトルの主人公にならなければならない

 そしてロレンゾがその主人公を演じるなら、ロッシほど”脇役”にふさわしい相手はいないだろう
  
 今、舞台の幕はまさに上がろうとしているのか、それとも…
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by taros_magazine | 2010-07-05 15:21 | motorcycle diary


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