"without him (part 1)" (MotoGP 2010 Round-4 Italy)
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 彼は、行く手を阻む高くそびえる壁でもなく、視界をさえぎる目の上のタンコブでもなかった
 彼は、自分を限界の向こう側に誘う重力であり、そしてレースを走る目的そのものだった

 バレンティーノ・ロッシのいないサーキットに一人放り出されたホルヘ・ロレンゾは、あの悲劇的なクラッシュ直後からロッシの残像を求めて彷徨い続けているようだった

 グリッドではいつもの”傲慢”なメッセージボードのかわりにロッシへの想いを表した
 レースではまるで地に足がついていない走りで、ダニ・ペドロサを易々と逃がした

c0041105_145942.jpg そして耐え難い屈辱的なリザルトであったにもかかわらず、"VALE46"の黄色いTシャツを着てポディウムに現われたロレンゾ

 それは、このムジェロに詰め掛けたチームメイトのファンのため、そして何よりもこのレースで彼が感じたあまりにも大きな心の隙間を埋めるため…

 しかし、このロレンゾの行為に対し、イタリアのティフォージ達は強烈な拒絶反応を示した

 この日、キレにない走りで2位に甘んじたロレンゾが見せたロッシへの”敬意”は、王者ロッシへのあふれる”愛”を隠そうともしないイタリア人にとって”侮辱”に等しい、到底受け入れられない行為だった

 ロレンゾが望んだものとは180度反対のはずだったムジェロの反応…
 しかし、皮肉にもこの瞬間、彼の胸にあいていた大きな穴は見事に埋まった

 彼にとってロッシは、壁でもタンコブでもなかった
 彼にとってロッシは、倒し、踏み越えていくべきライバルなのだ

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 沸き起こるブーイングを受け入れ、そして最後には笑みさえ浮かべてみせたロレンゾ
 
 ロッシ不在のグランプリで、ロッシの”存在”がロレンゾをさらに速く、強くしていく
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by taros_magazine | 2010-07-05 15:00 | motorcycle diary


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