" team JAPAN " (MotoGP 2009 Round-17 VALENCIANA GP)

 鈴鹿の130Rでこんなシーンを何度も見てきた

 ブレーキングミス、オーバースピード、ブレーキトラブル…
 そんな時いつも思ったのは『外国人ライダーはやっぱり凄い』ということだった

 89年の8時間耐久。バックストレッチでブローしてしまった自らのマシンのオイルをリアタイヤに浴びたケビン・マギーのYZFは、130Rに進入すると同時にリアタイヤのグリップを失った

 そのまま200キロ近いスピードで深いグラベルに飛び出した彼は、スリックを履いたロードレーサーで豪快に砂塵を上げながら、タイヤフェンスの遥か手前でマシンを立て直し、そのままピットロードに駆け込んでいった

 それは”日本人には絶対にできない芸当”として自分の脳裏に今も焼きついている光景だ
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 だから青山博一がコースアウトしていった時、いままで何度も日本人ライダーが演じてきた姿…そのまま為す術なくスリップダウンし、砂利に埋もれたマシンに駆け寄る悲惨な光景…が頭をよぎった

 しかし、彼は転倒しなかった
 ダートで何度もバランスを崩しながらも決してあきらめず、フェンス手前でコントロールを取り戻すと一番ダメージの少ないルートを走ってコースに戻ってきた

 もちろんそれは青山の卓越した技術と冷静さがもたらした当然の帰結であって”奇跡”などではない
 しかし、この大一番で見せたあまりにもドラマティックなコースアウト劇…それはまるで、これまでグランプリを戦ってきた全ての日本人ライダーが、青山を転ばせまいと四方からマシンに手を差し伸べ、支えているようにすら思えてしまった

 そして11位というタイトル獲得の瀬戸際でレースに戻ってきた彼の後ろにいたのも日本人だった

 富沢祥也も、そして青山周平も、あの2コーナーのグラベルにいた”ライダー達”と同じように、後方から青山を支え、そして彼らの後ろにいる外国人ライダーを抑えているように見えた

c0041105_0455827.jpg やがて冷静さを取り戻した青山は、残りの17ラップを見事に走りきり、日本に8年ぶりの歓喜をもたらした

 それはこれまでタイトルを獲得した原田哲也や加藤大治郎のように”天才”がその能力を存分に発揮して獲得したのとは異なり、いくつもの壁や苦悩を乗り越え、絶対的な速さで勝るヨーロピアン達に対して日本人としての意地とプライドで対抗し、そしてつかみ取った栄冠だと思う

 これまでの誰よりも、そして今までのどの瞬間よりも" team JAPAN "を強く意識させたタイトル獲得劇…

 でも、だからこそ、”日の丸”を持たせてウィニングランをさせてほしかった

 今や圧倒的な勢力を誇るアプリリアに対し、”開発の止まったマシン”と言われ続けた今シーズン…自らのマシンに絶対的な自信と誇りを持って臨んでいたホンダの技術担当者は歯がゆい日々を送っていただろう

 そんなシーズン最後に遂に獲得した王座…そこで満天下に"HONDA"をアピールしたい気持ちは痛いほど理解できる

c0041105_0465592.jpg しかし、その方法として"RS250"と染め抜かれたフラッグを王者に持たせてサーキットを回らせることにいかほどの価値があるのだろう?

 RSが素晴らしいマシンであることは今シーズンの青山の走りと成績が何よりも雄弁に語っているのではないか?

 もし仮にタイトルを獲得したのがラファエル・デ・ローサでも、このフラッグを持たせたのだろうか?

 チーム、メーカー、そしてライダーが、栄光を分かち合うのにふさわしい方法はほかにもある

 日本のモータースポーツの屋台骨を背負っている偉大なメーカーにこそ、そのふさわしい姿を見せて欲しかった


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by taros_magazine | 2009-11-13 00:53 | motorcycle diary


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