"pure red" (MotoGP 2009 Round-14 PORTUGUESE GP)
 
c0041105_16512732.jpg 初めてバイクに乗った時の楽しさ
 初めてレースを走った時の興奮
 そして初めてグランプリで戦った時の喜び…

 電子制御の塊と言われるドカティのマシンを市販のスポーツバイクのように自由自在に振り回すケーシー・ストーナーの走りからは、そんな抑えきれない感情があふれんばかりに伝わってきた

 勝つほどに無口になっていった一昨年
 バトルを演じるごとに険しい表情になっていった昨年
 そして今シーズン、ついに悲鳴を上げた彼の肉体…
 それは”原因不明の奇病"のせいなどではなかったのだと今はっきりと分かった

 最速のマシンを得てバレンティーノ・ロッシに挑み、そして掴み取った栄冠…
 しかしその肉体を、そのハートを駆け巡っていた彼の熱き血潮は、勝てるライダーであること、そして王者であることという”呪縛”により、その流れを妨げられてしまっていった

 チャンピオンを獲得した2007年の、あのバランスの取れた華麗なライディングからは想像もできなかったほど激しい走りを見せ続けていた今シーズン…
 それは、冷えていく己の細胞に熱を取り戻そうと、必死で自らにムチを入れていた悲愴な走りだったのだろう

 そして遂に訪れた精神、肉体の限界…
 その時、彼と彼の仲間達が下した”休養”という決断は間違っていなかった

 パドックから遠くはなれ、チャンピオンシップという戦場から開放された彼は一人のバイク好きに戻った
 故郷で、旅先で、何気ない日常生活を過ごす中でゆっくりと”呪縛”から解き放たれていった彼の心と体に、やがてゆっくりと真っ赤な血が満たされていった

 エストリルにやってきたストーナーは、これまでに見せたことがないような笑顔でピットにいた
 テレビカメラに向かって手を振り、レースでは2位フィニッシュにガッツポーズを見せ、表彰台ではこれまで苦痛でしかなかった”疲労感”に心地よさを感じているかのように笑顔を絶やさなかった

 このレースを通じ、ストーナーはひとつの真実を私達に見せてくれた

 それは、ライダーが輝きを見せるために本当に必要なのは、勝利でもタイトルでもなく、レースが、そしてバイクに乗ることが本当に大好きだという、その純粋な気持ちなのだと…
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by taros_magazine | 2009-10-11 16:53 | motorcycle diary


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